防潮堤や土地利用 国主導、住民の声遠く | clapton481のブログ

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第5部 復興計画①
防潮堤や土地利用 国主導、住民の声遠く 2011年10月22日

岩手日報社
 

 東日本大震災から7カ月余りがすぎた。県内の被災地は仮設住宅の建設が終わり、仮置き場へのがれき撤去もほぼ終了。各市町村は本格的な復興へと軸足を移し、まちづくりの基本となる復興計画の策定を急いでいる。地域主権が進まず、権限と財源を国が握る中、二度と津波による犠牲者を出さず、人口減少や少子高齢化など震災前から抱えていた課題を克服するまちをどうつくり上げていくか。復興計画策定の課題を探る。

 「もっと自信を持って話してはどうか。陸前高田を必ずどうにかするという覚悟で市民を引っ張ってほしい」 陸前高田市竹駒町の仮設住宅で暮らす元会社員村上勉さん(57)は、市が17日開いた復興計画素案の住民説明会で、思わず声を上げた。

 市の説明は高台移転に対する支援や浸水した土地の買い上げなど、最も肝心なところで具体性を欠いた。職員は「国の動向を見極める必要がありますので…」と繰り返すばかり。これでは流された家を再建して仮設暮らしを抜け出すまでに、どの程度の時間と金がかかるのか分からない。

 だが、市にはこれが精いっぱいの答えなのが現実。復興計画を策定するのは市町村だが、独自に決められることは多くない。むしろ防潮堤の高さや土地利用の在り方などまちづくりの根幹は、最終的な方針を国が示す仕組みになっているからだ。

 特に防潮堤の高さは、新たなまちづくりの範囲に直結する最も重要な要素だった。

 同市は約2千世帯が居住していた中心市街地が壊滅。全ての高台移転は事実上不可能なため、できる限り元の土地を活用しようと、今回の津波の高さ13・8メートルを上回る15メートルの防潮堤整備を目指した。

 しかし全国一律の安全水準確保を掲げる国の理解を得られず、高さは12・5メートルに決定。同市の復興計画は見直しを迫られた。

 市はさらなる宅地のかさ上げなどで安全性を補う方針だが、防潮堤を高くした方が費用がかからず、工期も短期間で済むという。

 一方、県中小企業家同友会気仙支部や陸前高田青年会議所が中心となって結成した陸前高田千年みらい創造会議(田村満代表)は7月、独自のまちづくりビジョンを提案した。

 防潮堤は道路のかさ上げなどで数メートルに抑える一方、高台への集落形成や避難路の整備に重点を置き、防潮堤整備の予算をそちらへ回すべきだと考えた。

 しかし、市に実現を求めたところ「こんな事業は国のメニューにない。市が単独で行えば、とんでもない借金を抱えてしまう」と受け入れられなかった。

 同青年会議所の高橋勇樹理事長は「東日本大震災では、防潮堤などハード整備だけでは人命を守り切れないことを思い知らされた。今回の経験を後世に伝え、住民が避難することを忘れない『多重防災』の取り組みが重要なのに、被災地や被災者の意見を重視しない国主導のまちづくりで本当にいいのだろうか」と疑問を投げ掛ける。

 防潮堤の高さ 数十~百数十年で起こる頻度の高い津波から人命や財産などを守ることを目標に設定。最大規模の津波に対して防潮堤を大幅に高くするのは費用や環境への影響などの観点から非現実的なため、ハード整備とソフト対策を組み合わせた多重防御の発想で人命を守る。全ての海岸で一定の安全度を確保する国の方針に沿った考え方だ。

【写真=陸前高田市の復興計画素案住民説明会。市の説明は肝心なところで具体性を欠いた=17日、陸前高田市竹駒町】