戦争は酷(むご)く愚かな行為だ…
沖縄タイムス
(2時間1分前に更新)
戦争は酷(むご)く愚かな行為だ。中でも悲惨で卑劣なのは空襲だろう。武器を持たぬ民間人が犠牲になり、地域に根を下ろした暮らしが無差別に破壊されていくのだから
▼67年前のきょう、多くの県民が逃げ惑い、命を落とした。戦闘機のごう音や爆弾の落下音が、空を切り裂く。生まれ育った家を焼かれ、防空壕で爆撃音に耐える。その恐怖は想像を絶する
▼10・10空襲の連載企画が本紙の社会、地方面で掲載されている。「鉄の暴風」による火炎と灼熱(しゃくねつ)の地獄。時間と場所、わずかな違いが生死を分けた
▼「あの日が沖縄の苦難、悲しみの始まりだった」。8日の地方面に載った金城光栄さんの言葉が印象深い。戦争が終わっても苦難や悲しみは終わらない。今もおびただしい数の不発弾が足元に残され、私たちの生活を脅かし続ける現実がある
▼体験者の心にも深い傷を残している。医師の蟻塚(ありづか)亮二さんが、戦争によるPTSDの症例を報告した(9日付本紙)。不眠や抑うつ症状に悩まされる人がいる。90代の認知症の女性は夜中に「空襲だ」と叫ぶという
▼壮絶な体験から数十年たって症状が現れることが多いようだ。いつまでも人の心に巣くう戦の本当の怖さが見て取れる。沖縄戦は過去のものでない。なお現在進行形で、多くの人を苛む実情を心に刻みたい。(平良哲)