只今、研究の内容の変更を求められ、モチベーションが下がっています。
というのも、こんなことがありました↓
数か月前、〇〇省のお偉いさんに会って、
〇〇省では、高齢者の転倒予防の装置についてどのような研究がなされているのかを聞かせていただきました。
聞かせていただいたお話は、カメラを複数台使って、高齢者の動きを撮り、機械で解析し、転倒予防に役立てるようなシステムを開発しているというお話でした。
そこで、僕は、
(カメラで動作解析をするということは、ハイスペックのコンピューターがいるから高コストになるだろうからすべての福祉施設に設置するなんて無理だろうし、なにより監視されているみたいで高齢者にとっては嫌だろうなぁ)
と、思いました。
その後、色々考えて僕が思いついたアイデアは、高齢者の足の圧力を測ることで、転倒予防に役立てるシステムでした。
具体的には、足の圧力から転倒につながりそうな動きをしようとした場合に転倒する前に高齢者本人に知らせ、
転倒しにくい動きをしてもうらうように促すシステムす。
これなら低コストで済み、高齢者をカメラで監視しないので心理的負担も少ないだろうと。
また、足の圧力からどこらへんの筋肉が弱っているのかがわかるみたいなのでリハビリにも役立つ可能性もありました。
ところで、工学修士号を取るためには、
学術的に新規性があること(例えば、実験によりなんらかの法則を見つけること)
システムや装置を作ること
この二点が必要です。
さらに、二年間で少ない予算内でこれをしなければなりません。
アイデアを思いついてから、
世界のどこかで同じ研究がされていないかを調べるために、英語の論文を含め何百本も論文を読み(知らないまま学会で発表すると『盗作』という犯罪行為になります)、
本当にこの二年間でそれが作れそうなのかを精査し、十分見込めそうなので研究計画書を作り、研究室の先生に提出し、すんなりGOサインが出ました。
(学部の研究では粘土の研究をしていたので、全くの畑違いにもかかわらず、たった数ヶ月でここまで構想を練れるなんて、我ながらスゴイな。と、若干自画自賛していました。笑 だって、数十年間高齢者の転倒の研究をされているたくさんの世界の研究たちが研究していないことを、ど素人の僕がたった数ヶ月でアイデアを実現レベルまでに練ったんですから(後々、周りに聞けば、割と普通に皆さんそのレベルのことをされているみたいです。みんな、すげえわ!) まあ、スムーズにいけたのは、運がよかった点もありますが・・・)
・・・・・・・・で、ここまでは良かった。
昨日、事件が起こります。
人を対象とする研究の場合、倫理委員会に承認を得てから、実験を始めなければならないのですが、実験許可が下りるのは、一ヶ月から半年ぐらいかかります。
医学部の場合、大体は2,3ヶ月かかるらしいですが、
以前、先生から工学部の場合は大体一ヶ月だと聞かされていました。(学部によって倫理委員会は設置されています)。
実験ってそもそも成果が出ないのが当たり前で、でも成果が出ないと修士号なり、博士号なりが取得できないので、
そのようなジレンマを抱えながら、皆さんなんとか取得していきます。(成果が出るかわからないのに、短期間で成果を出さなければ、周りから色々と追い込まれるので研究者で鬱を発症される方は多いです)
なので、この倫理委員会の承認期間って、短い研究期間を考えればけっこう死活問題だったりします。
そのようなものも見越して、僕は研究計画書を作りました。
で、昨日、先生に倫理委員会の申請書類について聞きました。
僕 『先生、倫理委員会の承認期間って、大体一ヶ月ですよね?』
先生 『え?長くて半年かかるよ。だから、早く提出して。あと、12月に中間発表会あるけど、けっこう審査が厳しくて、去年は何人か留年させられたよ。学会発表レベルの成果求められるから。』
(え??)
僕 『転倒経験のある高齢者で協力していただける方って、たしか何個かの介護施設にいらっしゃるんですよね?』
先生 『ダメダメ。もし実験中に何か怪我されたらどうなるの??いろんな意味でえらいことなるよ。それに、その場合、仮に実験許可が下りたとしても、許可下りるまでに一年以上かかるよ。とてもじゃないけど間に合わないと思うけど』
僕 『日常の動作をしていただくだけなんですけど・・・・。というか、そもそも転倒予防の研究をしているのに、転倒経験者の協力を得られないと、研究として成り立たなくないですか?』
先生 『あのね、研究以前に、高齢者に怪我させないほうが大切だから。そっちが第一優先だから。つまりね・・・・』
・・・・・・と、しばらく注意をされ続けました
え?研究許可下りるまで最大で半年?
てか、その前に、なぜこの前、研究計画書を提出したときに、「転倒経験者を被験者にすることは無理だよ」って、忠告しくれなかったんだろう・・・・・。
僕の研究は、転倒経験者を被験者にしなければ成り立たないんだけど・・・・・・・。
という、疑問が頭の中を駆け巡りました
そして、授業のレポートやら試験やら色々やらなあかんことあるのに、研究を練り直し、また論文を何百本も読んで、世界で誰もやっていない研究を数日間で見つけるなんてほぼ無理じゃね??
しかも、来月から大学病院での実習が始まるから、さらに忙しさが加速されるんですけど
先生に注意されてから、K先輩に「こういうことあったんですけど・・・」って泣き言を言ったら、
『いやぁ、俺も以前に修士論文提出前に先生から「この方法ダメだよ」って言われてスゴイ困ったことがある』
『この方法ダメだよ・・・・って、つまり、その方法から出た研究成果って使い物になりませんよね?』
『そうそう。俺の半年間の努力が一瞬でパーになった。しかも、修士論文提出前にだよ。毎週研究報告会あるのに、なんでそのときに言ってくれなかったんだろうって思ったよ。まあ、忙しい方だから、それまで気づかれなかったんだろうけどね・・・・・・・』
それを聞きながら、以前、先生が「Kくんの修士論文微妙だったんだよね・・・」って、おっしゃられていたことを思い出した。
それが原因か!!!!
なんだか、雲行きが怪しくなってきた・・・・
さて、どうしよう・・・・・・。