だいぶ髪が伸びた。

 

伸ばすようになって1年。

 

1年で、10センチ以上は伸びたかな。

 

肩まで伸ばしたことがないので、途中でデジタルパーマをかけた。

 

そのほうが、伸びても楽だから。

 

そして、ここまで伸ばした理由は、1年前、セネガルの伴侶が私の髪に触れてくれたから。

 

一緒に過ごしたのは3週間弱。彼はだいぶ弱っていたけれど、毎晩彼のとなりで添い寝した。

 

ときどき、私が隣にいることを確かめるように、優しく髪をなでてくれた。

 

目が見えなくなっていた彼にとって、私のまっすぐな日本人の髪に触れることで、長年遠くにいた私が、今度こそ本当にそばにいることを実感したかったのだろうと思う。

 

その後、互いの夢が叶ってホッとして束の間、まもなく彼は亡くなった。

 

私も、彼のぬくもりを忘れたくないから、まだ彼の触れた髪を残しておきたい。

 

今日ふと、ミーティングの予定を決めるのに手帳を見ていた。

 

6月のとある日付が提案されたが、私はその日付を眺めながら、それが「結婚して1周年記念の日」だと気づいたのは数時間後。

 

こうして忙しくしていると、ふと彼のことを思い出さなくなる瞬間がある。

 

こうやって、時間と共に、忘れたくないのに忘れていることが増えていくのだろう。

 

もうすぐ1年。長かったのか、短かったのかはわからない。

 

髪の長さが、そのまま時間の長さを物語っている。

 

そして、時に、彼ではない誰かに触れられることもあるこの髪。