日本でも他の国でも、これまで失業保険なるものを受け取ったことは人生で一度もない。

 

それは、幸いながら、留学などの海外移住期間を除いて、日本にいる間は大学卒業以来、働いていない期間がほとんどなかったからだ。

 

さて、渡仏して1年半、周りの友人たちに勧められて、このたびハローワーク(こちらではPole emploiと呼んでいる)に行ってみた。

 

約5か月にわたってパートタイムの仕事をし、その契約が先日終わったのだが、日本の感覚でなんとなく、6か月未満のパートではそもそも失業手当の対象にならないのではと思っていた。

 

友人の話では、まずその職場からいつからいつまで働いたという就労証明を取り付けること、そのうえで、Pole Emploiのホームページから登録手続きをするようにとのこと。

 

言われた通りにHPへ行くと、本当に今どきは何でもネット上で分かりやすく手続きできるもんだなあと感心するのだが、必要項目を入力すると、さっそく3週間後にハローワークで担当者と初回面談するためのアポまで取り付けることができた。

 

その後、アポを待たずして、失業保険の計算書が数日後に郵便で届き、その計算によると、私の働いた日数(あるいは時間数)は、失業保険の対象になることが判明。もらっていたお給料の約6割の金額が、最大で働いたのと同じ期間受け取れるそうだ。もちろん、次の仕事を積極的に探すことが条件で、毎月現状を報告する義務がある。

 

さて、そうこうしているうちに、面談の日がやってきた。失業率の高いフランスにおいて、ひと昔前のハローワークのイメージといえば、建物内のあちこちに求人情報が張られ、面談するにも数時間待ち・・・という印象だが、今はすべてネット上で求人情報もアポも取るので、がらんと静かで待ち時間もなかった。

 

私の場合、基本的にフランス人と同じようにフランス企業で働くということはあまり想定しておらず、本格的に仕事を探すのであれば日本人ネットワークを通じて探すのが妥当だが、まあそれでも何かしらチャンスがあればということで、まずは履歴書の作り方のワークショップに参加するようにとの指示が出た。あとは手続き上の確認や質問をこちらからしたり、1時間ほどで面談は終わり。

 

その一週間後、指示されたとおり履歴書作成ワークショップに参加した。この日の参加者は私を含めて3名。講師の方が、ポイントを押さえた履歴書や志望動機の書き方、面接時には第一印象が大事とか、自己アピールの仕方とかを半日かけて説明してくれた。

 

これまで若い人の履歴書作成や面接のアドバイスをしたり、時に推薦状を書く立場だった私にとっては、何も真新しいことはなかったのだが、知っていることを改めて他の人からフランス語で説明してもらうのは貴重な経験だった。また、Pole Emploiのマイページ上で履歴書が作れる仕組みになっており、午後からは個別に実際に履歴書を作成するところまでをやった。フランスもずいぶん公共サービスが改善されたのかなあと感じた。

 

そして、自分の今後についても何となく中期目標ができて、来年から本格的に仕事復帰できるように色々と検討していきたいと思う。過去はもう後ろに置き去って、この1年で、すっかり仕事とさよならした後の「喪」は明けた。それは仕事以外のことを充実させるという長年の希望を半分叶えたからで、一度思い切って今いる場所を離れてみる、ということの大切さをかみしめたから。

 

フランスはバカンス気分はそろそろ終わりで、世の中は新学期に向けて心の準備を始めているところ。私もこの1年サバイバルしてきて、2度目の新学期のほうが状況を知っているだけに、ちょっと怖い。荒波で迷子にならないよう、プランづくりを始めよう・・・。