自分の核 | 人生 曇りのち晴れ (ときどきイジり)

人生 曇りのち晴れ (ときどきイジり)

自分の記録と思考整理日記です。
真面目と悪ふざけのギャップ激しめです。
読書様を勝手に友達扱いし、イジります・・
スンマセン♪(´ε` )

最近、時間がある時は
意識的に本を読むようにしている。


最近ネットを見ていてよく思うけど
ネットには余計な情報が沢山ついているし
向こうから寄ってくる情報には
ロクなモノがない事が多い。

本を読むにしても
好きなジャンルは男なので
どうしたってビジネス書が多いが
その中でも起業家が書くノンフィクションは
結構好きで、たまにチェックしている。

起業家が書く自伝は
その人の人間性がよく出ていて
若手の人は勢いがあるので
自社や自分の自慢になりがちだし
この人だから出来た事でしょ、
となりがちだが、

そんな中でも自身の失敗を述べている本は
レベルは違えど
自分にも鑑みて参考になったりする。

数ある起業家のノンフィクションを
読んできたが、その中でも
俺が最も痺れたエピソードを

結構な長文になるが、シェアしたいと思う。





マンションなど投資向け物件を展開した
自身が起業・経営する不動産会社が
サブプライムローン問題の影響で
400億の負債を抱え
会社を民事再生し、自身は自己破産。

壮絶な経験を通り越し
まさに地獄を見た著者が
再度起業し、復活するまでのストーリーを
描いた本である。


その中でも
サイバーエージェントの藤田社長
(このアメーバーブログの親分ね)
とのエピソードは何度見ても震える。
















高橋会長の次に謝罪に行ったのは
藤田晋さんだった。
東京地裁に民事再生が認められ、
最後の株主名簿を
チェックしていた時のことである。

「あれっ?これは何かの間違いだろ?」
私は思わず声を上げた。
株主名簿に、藤田さんとサイバーエージェントの名前が残ったままだったのである。

あの日、藤田さんは
「役員にもエスグランド株は
売った方が良いと言われている」と言った。

その後の沈黙を
私は株を売り払うという意味だと
勝手に捉えていた。

ところが、名簿に掲載されている持ち株数は
当時から1株も売られていないことを
示していた。


私は財務担当に確認した。
「この最後の株主名簿は間違いないよね?」
「ええ、間違いありませんが、
何かありましたか?」

「いや、何でもない」

私は大急ぎで藤田さんに電話して
アポイントを取った。




「結局、会社を倒産させてしまいました。
申し訳ありませんでした」

私はまず詫びた後、
「ただ、以前相談に来た時に、
藤田さんは役員からエスグラント株を
売却するよう、圧力を受けていると
おっしゃっていました。
あの時の沈黙は、うちの株を売ると言う
意味ではなかったんですか?」

「いや、売ると言った覚えはないよ」

藤田さんは笑顔を浮かべながら
真相を話してくれた。


俺が投資する時は、経営者に投資する。
エスグラントの上場前、杉本君が
出資してくれと来た時だって、
俺は杉本君がどんな事業をやっているのか
なんてあまり知らないままで
すぐに出資することを決めただろ。

こいつは経営者として
成功するヤツだと感じたから出資したんだ。


民事再生の7、8ヶ月前かな、
杉本君が相談に来た時、
投資育成の部門やマーケットの状況から
エスグラントは潰れると的確に読んでいた。
役員会でも全員が売却に傾いていた。
俺自身「この会社は泥船だ」と言った。

でも、俺はエスグラントコーポレーションという不動産会社に投資したわけじゃない。

杉本宏之という経営者に投資したんだ。

だから、最後は売らなかった。
結局、潰れちゃったけどね。



私は藤田さんが株を売らなかった理由を
説明してくれるのを、頭を下げて聞きながら
必死で身体の震えを押さえていた。



なんてことだ。
私は藤田さんを信じ切れなかったどころか、
裏切られたとさえ思っていた。

大幅に価格が下落していたとはいえ
上場前に出資していた原価の安い株を
売り払えば、それだけ損害を
減らすことができたはずだ。


でも、藤田さんは
私を支える気持ちの証文ように、
エスグラント株を持ち続けてくれた
ということである。

思い返せば、あの民事再生前、
最後に会った夜にも、藤田さんは
「現実から目を背けるな、
抜本的な改革をして最後まであきらめるな」
と言ってくれていた。


私が身体の震えを必死に我慢していると、


藤田さんは最後に言った。




「杉本君を信じたんだ。 今でも、
その判断は間違っていなかったと思ってる」












この日、不思議と涙は出なかった。


ただ、自分への情けなさと怒りで
手と身体の震えが止まらない
人生で初めての体験をした。

「俺は経営者として
大切な何かを忘れていた」
と痛感した。



サブプライム問題で
事業に陰りが見え始めても
「杉本さんはすごい」などと
甘い言葉で私を持ち上げたファンドの連中は
1株残らず売り抜けていた。


でも、厳しい言葉で
私を叱咤してくれた藤田さんは
私を信じ続けてくれていたのである。



あまりにも対照的な現実が、

私に人生の真理を教えてくれた。



この後も、藤田さんはことあるごとに
ゴルフや宴席に連れ出していただいた。

しかし、
藤田さんのほうから
この件について触れることは、


ただの一度もなかった。











自分が売った恩を、相手に被せず

酒の入った飲みの席でさえ、

一切触れない。










まさに自分が意識して求めている世界。






何年も前の本だし、もう何回も読んでるけど
最近、このエピソードを読んだ時に
ふと、頭に浮かんだ言葉がある。

スーパーボランティアと一躍注目を集めた
尾畠(おばた)春夫さんが
以前、インタビューで語った言葉。





かけた情けは水に流せ。

受けた恩は石に刻め。


尾畠春夫さんは久しぶりに見た
ちゃんとした大人である。


身なりや肩書きで自分を虚飾した人は
この世に沢山溢れてるけど
そういう表面的な次元では決して測れない
ちゃんとした大人。


彼はたまたま子供を助けて
一躍有名になったけど
あの事件がなくても、
全国的に名が知れなくても、彼は決して
自分の生き方を曲げる事はなかっただろう。

今も人知れず彼のように
生きている人は全国にいるはずだ。



もう一度、自分に刻まないといけない。




かけた情けは水に流せ。

受けた恩は石に刻め。