山田百合耶という名前が恥ずかしいほど似合っていない思いながら十五年生きてきた。そんな彼女も晴れて都立の高校生になった。さほど有名ではない都内の進学校だが、百合耶は一応頑張って勉強した。合格したときは両親も姉も喜んでくれた。桜の舞い散るあたたかな日差しの中で百合耶は真新しい制服の匂いを嗅ぎながら校門をくぐる。
「おはよう、山田さん。」
同じ一年二組で少し話しをするようになった里見由香が声をかけてきた。
「おはよう。いい天気だね。」
百合耶も笑顔で答える。
「今日、一時間目から実力テストだって。アンビリバボよねー、全く。」