村山由佳著、『放蕩記』 この作家聞いたことはあるが読んだことがなかった。たまたま雑誌で彼女の対談を読んで興味を持ち、図書館で借りてみた。いや、一気に読んでしまった。

この放蕩記は、いわば娘と母との葛藤を描いた話で、著者自身の体験も元になっているらしい。多分昭和一桁生まれの女学校出の母と、その娘の記憶が物語として書かれたいる。しつけに厳しく、母の前では常にいい子で逆らうことや口答えは許されない。口答えすると手が飛んでくることもしょっちゅうあり、家では専制君主のような母親に誰も逆らえない。
主人公の夏帆は、典型的な長女気質で妹のようにうまく母をかわすことができなく、いつも怒られている。弁が立つ母には絶対服従だ。しかし、10代になる頃から次第に反抗が始まり、母の前ではいい子だが一歩外に出ると、彼女なりの反抗を繰り返す。万引きあり、女子高での恋愛あり、大学に行ってからは、異性との奔放な交際。厳しい母を欺くのに、喜びを覚えている怖い娘だ。
この物語、多分男性にはちょっと理解しがたいのでは、と思ってしまった。女性特有の感情が書かれているからだ。主人公は私と年齢が近いので共感できるところが多くある。また、母親の性格が変わっているように書かれているが、こういうキャラの母親は、昭和の初め生まれの人に多い気がする。自分がいつも中心で、子供を所有物のように扱い、子供に八つ当たりをする。今の時代だと、結婚しない選択や、仕事もあるが、昔は女性はある年齢になると結婚しなくてはいけない。主人公の母親は、母親に向かない性格だったのかもしれない。
母親は歳をとり、痴呆が始まり、同じ事ばかり聞いたりすぐ忘れたりする。なんとなく現実にそこらじゅうにある話。強い性格の母に、影響を受け、反発する主人公は読んでいて痛い。
私も娘であり母親でもあるので、深く考えさせる物語だった。