暴力団など反社会的勢力による証券市場・取引への介入を排除するため、日本証券業協会(安東俊夫会長)と警察庁は、導入を検討している「反社会的勢力データベース」に、警察庁が保有する暴力団情報を提供することで合意した。取引約款などに暴力団排除条項を義務付けるなど厳格な自主規制規則も7月から実施する。証券市場を舞台にした暴力団排除の取り組みが前進する見通しになった。

 日証協による暴排活動については、国家公安委員会が昨年3月、暴力団対策法上の不当要求情報管理機関に登録。約300社の会員各社がそれぞれ所有する反社会的勢力の情報の集約を進めてきた。

 しかし、データベースの機能充実には、警察が蓄積した情報の活用が不可欠だとして、安東会長が先月、安藤隆春警察庁長官に支援を要請。警察内部で検討した結果、提供可能との結論に達したという。利用のガイドラインは今後検討する。ただ、データベース構築には数十億円が必要とされ、運用開始は早くても来年度以降になる見通しだ。

 一方、自主規制規則では、新規顧客の口座開設の際、(1)反社会的勢力ではないとの確約を取る(2)該当すると判明した場合は契約を解除--などの条項を契約書や約款に盛り込むよう求める。ある捜査幹部は「証券業界は、97年の証券不祥事で浄化が進んだ大手から中小、ネット専門までさまざま。暴排に関する統一的な取り組みができる意味は大きい」と評価する。

 巨額の資金を得やすい証券取引への介入を巡っては、暴対法で資金確保が難しくなった暴力団が、金融知識のある元証券マンらと結託。上場基準が緩和された新興市場などで資金獲得活動を繰り返しているとの指摘がある。

 実際に07~08年、大証ヘラクレス上場の通信サービス業者の株価を不正に操作した証券取引法違反容疑で、大阪府警がパチンコ情報提供会社を摘発。中心人物は山口組系の元暴力団幹部だった。今年3月には、ジャスダック上場のIT関連企業が破綻(はたん)直前に約9億円の架空増資をしたとして、警視庁が暴力団との関係が疑われる健康食品販売会社役員を金融商品取引法違反(偽計)容疑などで逮捕した。

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