全く料理と関係ないのだけれど、私は昔から書くことが好きでいろいろな公募や出版社、新聞などに投稿してきました。遠い遠い昔には、とあるティーン雑誌と契約して毎月詩を書いていたこともあります。なので未だに時々書いています。そして先日とある賞に入選しました。

そう遠くはない将来の本帰国に向けて思ったことを書いてみたものです。

 

ありがとうシンガポール

 

輝いて見えた街並みが思い出とともに甦る

けれどもそれは徐々に薄れていき

もう心ときめかないことに気づいた旅から帰った早朝

空港はがらんとしていて、迎えに来たタクシーの中から見たこの国特有の景色は

車窓をものすごいスピードで流れてゆく

まるで私の心から思い出を剥ぎ取って行くかのように

 

昔は近隣諸国へ短期間の休暇に行っても帰ってくるととても嬉しかった

匂いや温度、花々の香り、そしてタクシーの匂い

家に帰ってきたとホッとする気持ちがどこかにあった

でもそれは子供達との生活がこの国にあったから

毎日を精一杯生きてしなければいけないことをこなして

そして子供たちが心地よく楽しく過ごせるようにと頑張ってきた日々

それは何にも代えられないとても大切な日々

でも子供たちが巣立った今は?

 

自問自答する

そして答えはもう出ている

この国で21年間暮らした

とても素敵な国

でも子供たちがいない今、私の居場所はここではないと本能的に察してしまった

 

自分の生まれた国へ、育った国へと思いは果てしなく続き

やっともうすぐ帰れる日がやって来ることに、戸惑いと興奮と少しの不安を抱きながら

それでも希望を持って帰りたいと考える自分がいる

 

輝いて見えた街並み

心ときめいた街角

いつからどこからどう消えてしまったのか説明するのは難しい

瞬きをした一瞬だったような気もするし

長い長い時間をかけてそう気づいたような気もする

 

でも私はこの国がこれからもずっとずっと好きだろう

心ときめかなくなってもまたこの地に降り立った暁には

きっとこの国で過ごせてよかったと思い

この地の匂いや温度が懐かしく

切なくなる想いを抱くのであろう

 

だから言いたい

この地にありがとうと

素敵な国、明るい国、外国人に優しい国

ありがとうシンガポール