シンガポールでは住み込みのメイドをいとも簡単に雇うことができます。住み込みのメイドを斡旋するエージェントがたくさんあるのです。もちろんパート(通い)のメイドを雇うこともできます。

 

私がシンガポールに来た16年前。引越し前に1週間、下見を兼ねて私の両親と一緒に来星しました。グランドハイアットに滞在し子供達がまだ小さかったので両親に子供達を見てもらいながら私と夫は家を決めたり、娘たちの学校を見に行ったりと忙しい1週間を過ごしました。会社が斡旋してくれた不動産の人に連れられてたくさんの物件を見ました。そのどれにも窓もない小さい部屋があり、私はその不動産やさんに「これは物置ですね。」と聞くと「いいえ、メイド部屋です。」との答え。その時点でかなりのカルチャーショック💧

 

とても気に入った物件があり、サインをし2週間後に引越しを決めて娘のベビーベッドやその他すぐに必要なものを買い慌ただしく日本へ帰りその2週間後に来星しました。幸い近所の人たちはとても良い人々で、楽しいシンガポール生活が始まりました。

 

が、数週間後、船便が届き片付けをしながら突然腹痛に苛まれ、出血。病院へ行き診断結果は、「過度のストレスでホルモンバランスが崩れた」とのこと。私、自慢じゃないけれどストレスとは無縁な人生をそれまで送ってきたので自分でもビックリ!夫が泣きそうな顔で「通いのメイドを雇おうよ。」と。そしてローカルの新聞を買いエージェントに手当たり次第電話をしました。でもそのほとんどが住み込みメイドのエージェントでした。電話をするのにも疲れ果て、これが最後と思いながらその新聞の一番下に出ていたとてもとても小さなエージェントの電話番号に電話。「住み込みではなく通いでメイドさんをお願いしたいのですが。」と言うと「どちらにお住まいですか?」と。「〇〇です。」と言うと「あー〇〇ですか!一人〇〇で働きたいという人がいます。では明日彼女を連れて伺いますので、面接していただけますか?」と。

そして次の日、エージェントはその人を連れてやってきました。私も初めての経験なので、面接って何をどう聞けばいいのかさっぱりわからず。とりあえずエージェントの人と話し、続いて本人と話すととてもいい感じ。エージェントは「どうですか?」と聞くので「はい、気に入りました。」と言うと「オーケー!」そしてエージェントにエージェントフィーを払い、その日からその人は我が家の通いのメイドさんとなりました。彼女のような完璧なメイドは後にも先にももう二度と出てきません!週3日来てくれて完璧な仕事ぶり。特にアイロンはクリーニング屋よりもずっとプロフェッショナル。

 

彼女はベビーシッターもしてくれたので、私と夫が時々ディナーに出かける時は来てくれて、子供達に夕食を食べさせ読み聞かせやお話をしながら寝かしつけてくれたり。金曜日や土曜日の夜にお客様が我が家にディナーに来た時は、必ず次の日の朝早くに来てくれて、私たちがまだ寝ている間に魔法使いのごとくキッチンやダイニングルームを綺麗にしてくれました。4年間ずっと遅刻早退まったくなしに働いてくれましたが、彼女も年を感じたらしく「そろそろリタイアしたい。」と言われ、私たちの引越しと同時に彼女はリタイアしました。今でも彼女は我が家では特別な存在で家族ぐるみのおつきあいをしています。

 

私は彼女をメイドとしてみたことが一度もなく、ずっとシンガポールのお母さんと呼んでいました。右も左もわからない乳飲み子を抱えた新しい国での生活は、彼女によってとても充実したものになったのです。だから今でも本当に感謝しているし、いつも気にかけています。娘がアメリカから帰ってきた際は必ず会いに来てくれます。彼女は、あんなに小さかった娘たちが成長し、一人はアメリカの大学で勉強しているということは感慨深いものだと、以前私に言ってくれました。これからもこの縁を大事にしてずっとずっと元気でいてくれることを願っています。