ベリーティーソーダ
初めて舌に乗ったその味は
想像したよりも甘く、ほんのりと懐かしい気もした
『今日は珍しいですね』
店員さんのその言葉に、『木曜は午後から休みなんです』と応えた私
何秒かの後、
『そうなんですか 平日に休みって、いいですね
木曜日はコーヒーよりも甘いものの日なんですね』
いつもの笑顔
その口元がとても綺麗で、紅を引いているかのようだよなー と感じつつ
あ、ワタシってばトンチンカンな返事しちゃったよー と、ようやく気付いた
ランチを過ぎた時間
落ち着いた店内は、遠慮なくソファ席に構えていられた
ゆったりと、背もたれに身体を預け
ウーンと伸びをした
顔を上げたせいか、気管の奥から咳がこみ上げた
ゼボゼボと、とめどなく出てくる圧が顔を朱くさせるのを感じた
あ~ 止まってくれ~
喉がもげるぅ~
しかも、ウルサイやーん
カウンターの奥から、おだんごチャンが出てきた
『これ、よかったら
落ち着いてからどうぞ』
持ってきてくれたのは、カップに入ったお湯だった
咳が途切れず、口を押さえながら会釈を返すのが精一杯
ようやくおさまってくれた後に、ルージュ君がおしぼりを持ってきてくれた
ホントに、このお店好きだなぁ
なんか泣いちゃいそう
この子たちってば、もぉ~ お小遣いあげちゃいたいッ
そんな想いに
え?これ、年取ったって……コト?
別の意味で、泣きたくなった(;´ω`)
いーさ いーさ
なんてこたぁない
幸せなナミダだもんねー
誰しもが、一年に一度は年を重ねるんだもんさー
大人の階段の~ぼるぅ~♪
キミはまだ♪
(; ̄Д ̄) ハッ
シンデレラ って、やっぱり十代、よね?
さすがに二十年は、追い越し過ぎよね
そんなシンデレラなら
ガラスの靴は“落としてしまった” じゃなくって“ウヒヒ 落としてきてやったゼ!!”にストーリーが変わっちゃうやんッ
独り、クダラナイ思考にうなだれ
ベリーティーソーダをまた飲んだ
新しい本を開き、読み進めていると
おだんごチャンが
『もう一杯置いておきますね
どうぞ、ごゆっくり』と、カップを取り替えてくれた
キレイに切りそろえられた爪がピンク色で、思わずギュッと握り締めたくなった私はもはやオッサンの域に近付いているのかもしれない
小説の世界に入ろうと思ったが、今日は何故か目で追うだけで頭に入ってこなかった
諦めて、栞をはさみバッグにしまった
カウンターの向こうの二人を眺めていると
中で遅い昼食の準備をしていた
ところどころ届いてくる話し声
『………オニイ……タベテ…』
んー 兄妹?
いつもは、店長って呼んでたような
似ては、ない かな。
会計の時に、聞いてみた
『ゴキョウダイなんですか?』
『あー そうなんです、姉なんです』
『え?お兄さんじゃなくて??
こっそり、会話聞いちゃいました』と、笑ったら
『え?まぁ双子なんですけどね
あぁ、オレ老けてんですよ。昔っから』
と、目元が綺麗な弧を描いていた
へぇー 思ったよりも若い二人なんやわ
しっかりしたもんだなー
帰り道に、ウンウンと感心したワタシは
また一つ歳を重ねたコトを深く実感してしまったのである
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