
心意の定まらぬ、おぼろな状態。
後ろを顧みて立つ姿を表す
文字上部に
心を付けて
後ろに心を残しながら
立ち去ろうとするさまを
巧妙に表現した一文字。
(白川静著 『字通』より引用)
本来の成り立ちには
そんな意味合いがある。
たとえば
愛する人の元から
去らなくてはならなくても
心は残して
向かうべきところへ。
そのような情景を
想い浮かべてみる。
そこに「愛」は在る。
「愛」は完全無欠
ではない。
先日書いた「無」とは違って
かたちがあるようで
ない。
「愛」さえあれば…
でもない。
おぼろで
後ろを顧みながらも
前へ進もうとする
その人の姿勢こそが
「愛」の強さを
表しているのではないかと
わたしは思う。
結局は
「愛」も
前を向いてるんだね。
『感じる書』アーティスト 石川呼穹
