短編映画「祈っているだけでは救われない楽園で」
誰かに与えられているような現実。
明日は何が貰えるのかな、何を贈ったら嫌な顔されないかな。
自分の足で、君は塀の外にピクニックに行かなきゃならない。
この作品は、誰もにその靴の紐を結ばせるだけの映画。
アパートのドアに掛かる大そう頑丈なレトロな鍵。
マラソン走者の僕は、誰もいない道を走っている。
途中長い坂や、海岸、雪山、ところどころで出会う人々音楽に背中を押されて、進んでいく。
僕の部屋の隣に住む「幼馴染の今でも好きなあの子」がいる。
あの子の部屋には、数百枚の絵が散らばっている。
夜遅くまで、あの子は夢中で絵を描き、コーヒーをすする。
僕は長い距離を走ることができた。
アパートの階段を上り、白い息を吐きながら頑丈な鍵穴に手を触れる。
僕の財布、時計、荷物全部をゴミ箱に捨てに行く。120円だけ残して。
自販機でボタンを押すと、鍵が出てくる。
鍵穴の向うには、うらぶれた僕がギターを抱きながら寝ている。
ドアの前の僕は鍵を開けて消える。
ギターを置いた僕は、外へでてゴミ収集車を見つけて走り出す。
「すいません、僕の荷物はいってませんでした。」
「貴方のものは、もうあなたの中にあるじゃない。全部ね。」
あの子の部屋を訪ねる「久しぶり」と言って、無数の絵を整理する。
「なあ、今から旅行にいかないか?
電車も無いから歩いていこう。
・・・疲れたからさ、
ゆっくり一緒に歩いてくれないか。」