出発の朝は義理のお兄さんがサボーナの駅まで
車で送ってくれた。
「チェッレは安全だけど、
パドヴァは人も多いし、外人も多いし、気を付けるんだよ!
あと、ミラノの乗り換えの時も鞄には気をつけてね。
電車の中でも、鞄は前に抱えて持つんだよ!」
綺麗なイタリア語の発音をする義理のお兄さんは、
私に何でも教えてくれる素晴らし先生だった。
「うん!鞄には本当に気をつけるよ。
スーツケースは超重いから、
大丈夫だと思うけど(笑)」
朝、私のスーツケースを車のトランクに入れる時
「うぅ・・・。」と唸ったお兄さん。
トランクの重さを十分にご存知です。
「確かに(笑)
スーツケースは盗まれようがないね(笑)
でも、本当に。
家の奥さんも言ったと思うけど、
なにかあったら、すぐに電話してくるんだよ。
遠くても助けになるからね!」
ありがたすぎる。
サボーナの駅で
「ciusca(チュスカ)は、これ好きだと思うよ。」
と言ってエスプレッソのチョコをくれた。
前の日、まったく同じチョコを、
まったく同じセリフで白ヒゲのおじさんから貰ったなぁ(笑)
はい、このチョコ大好きです♪
予定よりも少し遅れて電車が到着した。
私の乗る車両は8号車。
今、お兄さんと立っているのは4号車の前。
「ciusca(チュスカ)!走れ!!」
え~~~!!
マジっすか?!
イタリア人でも、どっちが何号車だか把握してないらしく、
他にもホームをダッシュする人がちらほら。
ゼイゼイ言いながら、慌てて別れの挨拶をする。
コンパートメント式の電車に乗り込み、
席に着くと、窓の外でお兄さんが手を振っていた。
席に着くまで見守っててくれたんだ!
うぅ。
お兄さ~ん!!ありがと~!!
息も落ち着き、寂しさとともに窓の外を眺めた。
「あなた、クッキー食べる?」
ジェノバを過ぎたあたりで、
目の前に座っている奥様が突然クッキーをくれた。
お礼と自己紹介をし、パドヴァに行くことを告げる。
奥様はパドヴァの近くの街の出身らしい。
私の隣に座っていた超可愛いベリーショートの
女性が、それを見て微笑んでいた。
話をすると、実は彼女は東京に来たことがあって、
日本人の友達もいるそうだ。
ミラノ中央駅で降りる時に、奥様が
「それじゃあ、いい旅を。たくさん勉強してね♪」
と握手してくれた。
ベリーショートの女性も
「良い旅を!in bocca al lupo!!(イン・ボッカ・アッルーポ)」
と言ってくれた。
『in bocca al lupo』!!
私の大大大好きな言葉!!
先生以外のイタリア人に初めて言われた!!
超嬉しい!!
「crepi!!(クレーピ)」
と満面の笑顔で答えた。
イタリアで私に初めて
「in bocca al lupo」って言ってくれたのが、
こんなに可愛い女性だなんて、幸先が良い!!
ちなみに。
in bocca al lupo(イン・ボッカ・アッルーポ)は
直訳すると
「オオカミの口の中(に飛び込め)」
なんだけど、
なにかにチャレンジする人に使う
「頑張れ」って意味の言葉なんだよ。
元々は狩りに出かける人に
そう言ったんだって。
「覚悟決めて行け!!」
って感じで好きな言葉なんです。
返事の「crepi(クレーピ)」は正式には
「crepi il lupo(クレーピ・イッルーポ)」なの。
「狼なんかくたばっちまえ!!」
と、こちらも気合が入っていて大好きです。
さて、
ミラノ駅ではスリなどに気をつける時間はありません。
サボーナ到着の電車が遅れたせいで、
乗換時間はたったの5分。
しかも、駅に降りたら乗換のホームが遠い!!
またもやホームをダッシュ!!
走りすぎて、肺が痛い・・・・。
40㎏以上の荷物を持ってダッシュさせられるとかって、
またもや軍隊?
そんなこんなで、パドヴァに到着。
サボーナ出発時に寮に電話するのを忘れ、
学校の人に
「ウッファ(なんてこった的な意味)」
と言われた上に、寮まで行くのに道に迷った。
パドヴァ生活、この先大丈夫か?
と凹みながら、寮に到着。
道行くイタリア人に、道聞きまくったよ。
凹んでいたので、不安な気持ちで寮の
インターフォンを押した。
2階から寮母さんが出てきた。
どうやら寮は建物の2階らしい。
あれ?
表札が寮母さんの名前だったんだけど・・・。
ホームステイでは申し込んでないけど、
学校が間違ったのかな?
荷物を引きずりながら階段を一段一段あがる。
「大丈夫?出来る~?」
心配そうに声を掛けてくれる寮母さん。
「出来ます~!寮母さんですかぁ?
すみません、私、電話し忘れて。
しかも駅から歩いてきたから時間もかかっちゃって。
しかも入居の日を1日ずらしてもらっちゃって。
たくさん謝らないといけないことが!!」
ゼイゼイ言いながら階段を上がる私。
「大丈夫よ。言いたいことは分かったから、
ゆっくり上がってきなさい。」
2階に辿り着き、寮母さんと改めてご挨拶。
親切で、良い人そうな寮母さんだ。
狭い部屋を想像してたんだけど、
部屋広っ!!
確か月4万強円(400ユーロ)だったよなぁ。
なにかの間違いでは?
イタリアに着いてから、
ホテル→知り合いの家→寮と順を追うごとに
部屋が広くなってきているぞ!!
どうなっとんだ!!
共同のトイレ・シャワーもキレイだし。
洗濯物は寮母さんがしてくれるから
カゴに入れておいていいっていうし。
食事は自炊なんだけど、洗い物は寮母さんがするから
置きっぱなしにしておきなさいっていうし。
もう一回いうけど、
どうなっとんだ!!
あれ?
大丈夫だよねぇ?月4万だよね?
で、学校からは寮にはシーツがないから
自分で用意しろって言われてたのに、
綺麗なシーツがひいてあるし。
寮母さんに聞いたら
「シーツはこちらで綺麗なものを用意してるから心配しないで。
もし、持ってきたのを使いたいなら、
このシーツを洗濯する時に、あなたの物に変えてあげるわね。」
しかもですねぇ!
この寮!
ネットが繋がったんです!!
奇跡?
ねぇ、これって奇跡?!
これで月々のネット代が浮いた!!
収入のない身としては、超助かります(涙)
いい意味で想像と全然違う!!
最初は
「ここ使っていいのかなぁ?」
なんて、迷いながら荷物を出してたんだけど、
最終的に
「もういいだろう。何か月か住むんだし。」
と思って、ためらいなく棚に物を置きだした。
さすがに疲れたので街の散策はせず、
スーパーで水とヨーグルトだけを買って、
寮に戻った。
マンマが教えてくれたヨーグルト。
ひと段落してから、チェッレのお姉さんに電話。
「無事について良かったぁ。」
今朝別れたばかりなのに、とっても懐かしい声。
その後、マンマとも電話。
「いつでも好きな時に戻ってきなさい!!」
また、そう言ってくれた。
最後に叔父さんに電話。
「おぉ!!キッカかぁ!どうしたぁ!
無事かぁ!戻りたい時に、いつでも戻ってこい!!」
1年ぶりくらいの勢いで話をする叔父さん。
みんなに無事に着いたこと、
寮は広くて快適だということ、
寮母さんは親切で良い人だということを伝えた。
本当にさぁ。
「ちりとてちん(NHK連ドラ)」の草々兄さんの
『今日からお前が俺のふるさとや!!』
じゃないけど
『今日からチェッレが俺のふるさとや!!』
♪あぁ~誰にも~
ふるさとがある~ふ~るさとが~
あ~~~るぅ~~~♪
って思ったよぉ。
イタリアに素敵な家族が出来ました。



