JR東日本(ルミネ)と阪急グループ、新生マリオンでどちらも健闘していますね。まさか地方からの出張客まで心を掴まえてしまうとは、どちらもただの鉄道会社グループではありませんよ。これは恐れ入りました。
ここでのキーワードは、一流、上質、高級化、個性的、独立性、ブランド力、リーズナブル、カオスといったところでしょうか。マーケティングの勉強になります。
○大人の街「銀座」から流行発信 ルミネ・阪急メンズ好調(朝日)
http://www.asahi.com/fashion/topics/TKY201201230279.html
昨年10月にリニューアルを果たした有楽町マリオン。隣接して相次ぎ開店した「阪急MEN’S TOKYO(メンズ・トーキョー)」「ルミネ有楽町店」は共に業績好調だ。背景には、より広い顧客層を見据えた戦略がある。一方、銀座には新たな出店計画も。「大人の街」銀座・有楽町エリアが、流行発信地として見直されている。
◇阪急メンズ 狙いは「上質知る男」
阪急メンズのコンセプトは「世界が舞台の、男たちへ。」。大阪・梅田のメンズ館が2008年2月に開店した時の「ナイスガイメイキング」の表現より、一歩も二歩も踏み込んだ。
「それだけ日本の男性がおしゃれや身だしなみに関して進化・成熟してきたということ。一過性のトレンドでなく大きな潮流」と語るのは山口俊比古店長だ。
出店に当たり、ターゲットを一言でくくる言葉として打ち出したのが「ジェットセッター」。(ジェット機で)国内外を飛び回ってバリバリ仕事をし、お金に余裕があり、上質のものを知っている。そんな大人の男性をイメージする。
実際、顧客の中心は30代後半から40代の男性。出張で東京に来る地方のビジネスマンの姿も目立つ。北海道から九州まで広範囲にわたる。「週1回は東京と地方を行き来する。そんな生活を送る方々にとっての商圏が存在していた。日本男性の購買力を改めて見直しています」(山口店長)
世界初のメンズトータルブティックを出店したフェンディやジミー・チュウなどが人気。1階のフレグランスとかばん・革小物のコーナーも好評だ。フレグランスは目標の数倍の売り上げを達成。革小物では名刺入れなどを自分用に買い求める女性客も増えている。
◆3月16日にオープンする銀座6丁目のユニクロ新店舗イメージ
◇ルミネ 個性強い店の集合体
ルミネは、専門性が高く個性の強い店舗を選び、それを集合体として見せるのが人気の秘密。さらに、有楽町店では、各店舗の独立性をより高めたフロアづくりを進めたという。
「路面店が多い銀座エリアを意識し、街中の路面店を買い回る感覚を目指しました」。ルミネ有楽町店の重森淳一店長は語る。
それを象徴するのが、重森店長が「ぜひ出店してもらいたかった」と語るロンハーマンだ。建材にもこだわった店内は数部屋に分かれ、サーフボードが置かれるなど、ロサンゼルス発の自由な空気が流れる。
開店から約2カ月半。新聞や雑誌など約320の紙媒体、約50のテレビ番組から取材が殺到した。広域からの来店も多く、好調なスタート。開店前に用意した50万冊のフロアガイドは無くなり、増刷をかけた。
平日の夕方は女性客が増えるが、日中は子供連れのミセスも多く、週末はカップルや夫婦が急増する。そんな有楽町の街の特性を意識し、施設のあり方や店選びを進めたという。
ルミネ1の地下1階のレストスペースにはテーブルとイスの配置に余裕を持たせ、ベビーカーを持ち込んでの食事もできる。ルミネ2には人気のセレクトショップ、ユナイテッドアローズやトゥモローランドを配置。男女複合型の品ぞろえを厚くしている。
ルミネや阪急メンズの来客は銀座一帯に流れ出し、「銀座」が再び活気づき始めている。
3月16日には、6丁目の旧ギンザコマツのビル2棟が建て替わり、ユニクロとコムデギャルソンが入る。ユニクロの新店は過去に蓄積したノウハウを集積した地上12階建てのユニクロ最大の旗艦店。東京の人気ブランド、アンダーカバーによる商品群「UU」を目玉にする。
コムデギャルソンがロンドン、北京に続いて開店するドーバーストリートマーケットギンザ・コムデギャルソンは、7階建てのビルの6階までを使う。コムデギャルソンのブランドの他、ルイ・ヴィトンやセリーヌ、イヴ・サンローランといった海外有名ブランド、サカイやマスターマインド・ジャパンなど日本の若手人気ブランドも置く。
現在、中央通りにあるユニクロ銀座店は、低価格な姉妹ブランド、ジーユーに変わる。地上5階約1500平方メートルの巨大店となる。
老舗も多い銀座は、内外有名ブランドに加え、進化したセレクトショップの集合体やファストファッションと、世界でも最も実験的な売り場などが入り交じるカオスのような存在へと変身していきそうだ。(竹端直樹、編集委員・高橋牧子)