中国で今、進行している地殻変動 | Passのブログ (情報部屋)

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中国最新事情、重要な記事なので、長いですが全文引用します。

○中国、不動産バブル崩壊で不良債権170兆円温家宝の党批判、党に背く公的メディア。中国社会で進む地殻変動~宮崎正弘氏(Financial Times JBpress)

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/19931

今、世界中で中国バッシングが巻き起こっている

◇宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏

評論家、作家。国際政治・経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウォッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。近著に『中国が日本人の財産を奪いつくす!』(徳間書店)『自壊する中国 ネット革命の連鎖』(文芸社)『震災大不況で日本に何が起こるのか』(徳間書店)『オレ様国家 中国の常識』(新潮社)など。


宮崎 尖閣諸島をめぐる動きなどから、中国は日本ばかりをいじめていると思われがちですが、それは違います。今、一番いじめられているのはベトナム、次いでフィリピンです。何しろ彼らは、自国の領土を中国の軍艦に占拠されているんですから。

アジアだけじゃありません。中国の狼藉は中南米にもアフリカにも中東にも及んでいる。石油などの資源を採掘するかと思えば、そこで働いているのは中国人ばかりで、現地にはさっぱり利益が還元されなかったりします。

結果、今、世界中で中国バッシングが起きています。これは中国の戦略的なミスと言うべきでしょう。あまりにも急激なアクションで諸外国に警戒心を与えてしまった。

ヒトラーがどんどん軍備を拡張して、片っ端から他国の領土に手を出したのに似ています。あのころ大国がドイツへの警戒を強めたように、今はアメリカが完全にいきり立っている。昔、派手に戦争をやったはずのベトナムと手を組んで軍事演習をするくらいです。

こういう状況の変化を捉えて、もう少し大きな枠組みから日中関係を見直した方がいいと思います。

中国で今、静かに進行している地殻変動とは?

私が注目しているのは、そんな中、中国国内で地殻変動の予兆がいくつも見て取れることです。特に例の高速鉄道事故が起きて以来、今までなら考えられなかったようなことが次々と起きています。

まず、公的なメディアがいっせいに、中国共産党中央宣伝部の指示に背くということがありました。反旗を翻したわけじゃないにしても、指示とは違う報道をしたんです。

天安門事件以降、こんなことはほとんどありませんでした。地方の小さな新聞が中央の指示に逆らう報道をしたことはあったにしても、その場合、編集長が解雇されたものです。しかし、今回はそれもありません。

先日、大連で起きた抗議デモの顛末も異例です。広場で一日中座り込みが行われたのに、無理矢理解散させるということがなかった。のみならず、大連市で一番えらい党委員会書記が出てきて、彼らの要求を飲んだのです。

普通なら警官隊が出てきてボコボコにぶん殴ったり、催涙弾を撃ち込んだりするはずなのに・・・。これは大連モデルとでも言うべき、前代未聞の出来事です。大きな変化が兆していると見るべきでしょう。

党にすれば「邪魔者」。なのに温家宝が失脚しない理由

大地震にしても鉄道事故にしても、中国では何かあると温家宝首相が現地に行ってパフォーマンスをしますよね。彼は言うなれば「謝り係」のようなもので、実質的な権力はありません。

彼のポジションは中国の行政機関である国務院のトップですが、そもそも国務院は共産党の独裁的な支配をカムフラージュするためにあるようなものです。むろん軍を動かすこともできません。

ともあれ、その温家宝は最近、改革を断行しなければ中国が抱える問題はより深刻化する恐れがあるなどと盛んに発言しています。言い方は遠回しですが、これは完全に党を批判している。

自分たちの権力を維持することしか頭にない共産党の上層部にとって、彼は明らかに邪魔者です。昔だったらとっくに失脚させられています。それができないのは彼が庶民の熱烈な支持を集めているからです。

かつて鄧小平がそうしたように、この人気を利用してクーデターを起こすことだってできるはずですが、しかし温家宝にはそこまでの覇気がないんですね。血みどろの修羅場を乗り越えてきた革命家と違って、彼はテクノクラートですから。

いずれにしても、彼らの対立関係も中国の劇的な変化につながりかねない火種のひとつです。

中国経済はバブル崩壊の危うさに満ちている

政治にもまして深刻なのが経済です。今や上海、香港、深セン、3市場を合わせた時価総額は東京を上回る規模ですから、何かが起きれば世界的な金融パニックに発展する可能性がある。

鉄道の現状だけを見ても、中国経済の行き詰まりは明らかです。中国の鉄道はすでに24兆円もの赤字を抱えている。かつて日本の国鉄が民営化されたときの赤字額と同じですが、実質的には全然違うんです。

購買力平価で換算すると120兆円くらいに相当します。これをどう克服するかという青写真もないまま、今も赤字が日々膨れあがっている。地下鉄にしても空港にしても、状況は似たりよったりです。

そして不動産。中国は人民元のレートを守るために、ずっとドルを買ってきました。人民元を刷ってドルを買い、再び元に戻すということを続けてきた。そのあぶく銭が市場に流れ込んだせいで、中国の不動産価格は押し上げられてきたのです。

世界のファンド筋や華僑からの投機資金も、それに拍車をかけました。いつバブルが弾けるか、分かったものではありません。

そこで見過ごせないのが、中国各地の開発公社に対する銀行の巨額融資です。開発公社とは、土地を売る権限を持つ地方政府が、マンション開発などを行うためにつくった機関。

開発資金は地方政府が銀行に開発公社への融資を命じて調達するのですが、そこに地方政府の保証はありません。開発公社への融資額は総額250兆円ほど。どう考えても、そのうち170兆円は不良債権になるでしょう。

こういうめちゃくちゃな実態を、日本のマスコミはちゃんと報道しないといけません。

化学兵器処理など断固拒否! 日本は中国に毅然と対せよ

中国が沿岸部に造っている原子力発電所は、各国の技術をいいとこ取りしたものです。フランスやロシアの技術をつぎはぎして、これは中国独自の原発だから安心ですと言っている。高速鉄道と同じ論法ですから、これは大いに不安です。

仮に事故が起きた場合、地球の自転による偏西風は放射性物質を真っ先に日本に運びます。中国内陸部には被害が及ばない。つまり、中国の原発問題は日本の問題なんです。政治家は原発の安全性について、中国に要求の声を上げるべきでしょう。

もうひとつ毅然とした対処が必要なのは、遺棄化学兵器問題です。戦時中に遺棄したのは日本なのだから日本が処理せよと言われたのにハイハイと応じて、すでに600億~700億円を費やしています。下手するとこの負担は1兆円くらいに膨れあがりかねません。

国際法上、遺棄兵器の管理責任は中国にあります。なのにどうして日本は、要求されるがまま処理を約束してしまったのか? 石原慎太郎みたいな政治家が出てきて、あれは前政権がした約束だから私は知らないと突っぱねればいいと思います。