皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

3月13日(月)に、船橋市長は千葉県副知事と八千代市長と共に、国土交通副大臣に対して、東葉高速鉄道の経営安定化に向けた支援に係る国への要望活動を行いました。

 

私は開業当初から高校通学のため同鉄道を利用しており、本件にはとても高い関心を持っています。また、地元・芝山の鉄道利用者の方々から、高額な運賃についてのご相談をいただくことも多いため、今日はこの要望活動の内容についてブログにまとめさせていただきます。

 

1.東葉高速鉄道の現状

 

東葉高速鉄道は、日本鉄道建設公団(現 鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が建設し、完成後に事業者に譲渡するという民鉄線建設方式(いわゆる「P線方式」)により建設されたことなどの理由から、開業当初より約3,000億円という多額の長期有利子負債を抱えてスタートしました。そのため、他の路線よりも割高な運賃設定となっているにもかかわらず、長期債務の元利償還が経営を大きく圧迫しています。

 

本鉄道の経営安定化に向けては、平成9年度から平成28年度まで、船橋市や八千代市、そして、千葉県などの自治体と東京地下鉄株式会社(東京メトロ)による増資や、国と自治体による利子補給、鉄道建設・運輸施設整備支援機構による償還猶予等の支援を実施してきています。これまでの地元自治体による財政支出は約498億円に上ります。

 

また、沿線開発等による利用者増の取組や経費節減等の経営改善のための取組などの努力もなされてきました。船橋市においては、飯山満駅周辺のまちづくり(土地区画整理事業)に加え、海老川上流地区では計画人口3,300人の土地区画整理事業(メディカルタウン構想)が進められており、さらに同地区内には市の請願による新駅の設置が進められています。

 

このように、地元自治体は今後の開発の余地が限られる状況になるまで、沿線開発に最大限の努力を行ってきたところであり、現在、沿線人口は開業時の28万1千人から令和3年度時点では35万9千人にまで 増加し、1日平均乗車人員も、7万1千人から令和4年度上期では14万1千人にまで増加しています。これらの結果、本鉄道は、平成22年度から12期連続の黒字を計上するまでになり、有利子負債も着実に減少させてきました。しかし、依然として約2,300億円の長期債務を抱え、毎年の元本償還と金利負担が経営に重くのしかかっている状況です。

 

2.東葉高速鉄道が多額の有利子負債を抱えて開業した理由

 

本鉄道が、当時の帝都高速度交通営団(現 東京メトロ)による地下鉄東西線の延伸路線として計画されたにもかかわらず、様々な経緯により、営団による整備ではなく、多くの地元負担により第三セクター鉄道を設立し、有償資金を大半とするP線方式による整備を行わざるを得なかったことが大きく影響しています。

 

沿線住民からは、このような建設経緯に疑問を持つ声があることに加え、いわゆる宅鉄法という法整備と建設のための無償資金制度まで手当てされたつくばエクスプレスの整備との対応の差異を問う声も多く上がっています。

 

このような状況を受けて、船橋市をはじめとした地元自治体は、平成17年に本鉄道の経営安定化に向けた新たな資金の投入をはじめとした支援について国に要望しましたが、まずは自治体による支援の効果を見極めるべきとの見解が表明され、国からの支援策は検討されず、抜本的な経営安定化に至りませんでした。また、平成31年にも、長期債務の元利償還金の負担に対する抜本的な支援について国に要望しましたが、国からの支援はなされていません。

 

3.東葉高速鉄道の今後の見通し

 

このような状況の中、新型コロナウイルス感染症の度重なる感染拡大等の影響により、鉄道利用者が減少したことで運輸収入は大きく落ち込んでおり、今後の運輸収入の回復状況や金利動向等によっては資金不足に陥る可能性があります。コロナ禍は少し落ち着いてきたとはいえ、運輸収入は感染拡大前の水準には回復しておらず、今後の見通しが未だ不透明であることに加えて、物価高騰、金利の上昇傾向を考慮すると、長期債務の元本償還や利払い負担による厳しい経営状況にさらなる負担が加わることは明らかであり、資金不足への対応はこれまで以上に必要となっています。

 

本鉄道の建設の経緯や、これまでの自治体による支援、沿線開発等による利用者増の取組にもかかわらず、割高な運賃水準が改善されず、住民からも要望の多い運賃値下げないし通学定期割引率引上げが実現しないこと等の状況を踏まえると、自治体のみによる更なる支援について、県民、市民の理解を得ることが非常に難しくなっています。

 

4.国への要望事項

 

(1)東葉高速自立支援委員会等における支援のあり方の協議に対するより積極的な参画など、関係者が一体となった支援策の検討に一層の関与をしてもらうこと。

(2)利払い負担に対する補助をはじめとして、長期債務の元利償還金の負担に対する抜本的な支援について検討してもらうこと。

 

 

以上が今回の沿線自治体から国(国土交通省)に対する要望活動の内容です。上述しましたが、すでに船橋市をはじめとした千葉県や八千代市による支援のための財政支出は約500億円に上っています。自治体のみによる支援には限界があります。つくばエクスプレスとはまったく異なる建設経緯と運賃の差はひどいものがあると思います。今次要望活動に対応された豊田俊郎国土交通副大臣は、東葉高速鉄道の沿線自治体である八千代市の市長を3期務められた千葉県選挙区の参議院議員であり、事情はよくご理解いただいているものと推察します。国による支援の検討を大いに期待するものです。

 

2023年3月14日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ