皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

令和4年船橋市議会第3回定例会にて昨年度(令和3年度)の船橋市の決算が認定されました。

今日は船橋市の財政状況について解説したいと思います。

 

船橋市の決算規模を、市民の暮らしやまちづくりに必要な基本的な行政サービスを行うための会計である一般会計から見てみましょう。


まず歳入ですが、決算額は総額で約2,541億円。そのうちの約40%を市民の皆さんや市内企業などに収めていただいた市税が占めています。それ以外は、国と千葉県から支出・交付されるお金、そして、借金である市債などがあります。

 

 


 

 

次に歳出ですが、決算額は総額で約2,434億円。本市が最もお金を使っている分野は、子育て支援や高齢者福祉、生活保護などの福祉にかかる民生費で約45%です。2番目が保健・医療やごみ処理などにかかる衛生費(約14%)であり、新型コロナウィルス感染症対策などはここに含まれます。そして、教育費(約11%)へと続き、借金返済の費用である公債費(約8%)と続きます。歳入との差額(約107億円)は翌年度への繰り越しと、市の貯金になります。

 

 

 


*船橋市には一般会計の他にも特定の事業を行うための特別会計(国民健康保険事業や介護保険事業など6会計で、決算規模は約1,050億円)と、独立採算による特定の事業を経理する企業会計(市立病院、地方卸売市場、下水道事業の3会計で、決算規模は約580億円)があります。

近年の本市の財政を語る上で特筆すべきことは、市の裁量である程度自由に使える市の貯金としての財源調整基金の残高が約244億円となり、過去最高レベルにまで増えてきていることです。その理由について説明します。

 

 

 


まず歳入についてですが、下の表(一般会計歳入決算額の推移)を見ると、国庫支出金と県支出金が令和2年度と3年度でかなり伸びています。これは、地方創生臨時交付金など、いわゆる新型コロナウィルス感染症対策経費が国と県から降りてきたということです。このお金で本市のコロナ対策経費は概ね賄えました。次に、譲与税・交付金等も伸びていることがあります。これは、令和2年度の国勢調査により、本市の人口増が考慮され、地方交付税の割り当てが増えたことなどが要因です。そして、市税を見てほしいのですが、例年とほとんど変わりません(約1,010億円)。コロナ禍において大幅な減収を予想していたのですが、ほぼ前年度並みの収入を確保できた事実があります。

 

 

 

 

次に歳出については、コロナ禍において様々な事業が中止・延期となったり、一部の介護サービスや医療費などにおいて利用控えが生じたり、といった要因によって、事業費が抑えられたことがあります。そして、忘れてはならないことが、令和元年と2年度に実施した行財政改革の集中的な取り組みにより約22億円の経常経費を削減できたこともあります。
 

私はこれまで、本市の財政危機を訴えてきましたが、この事実(結果)だけを見ると、コロナ禍において、地方自治体の、少なくとも船橋市の財政状況は好転しています(その要因の一つとなった多額の交付金・支出金を出した国家財政は不安になりますが…)。

 

しかし、これはあくまで一時的なものであり、コロナが収束すれば元に戻っていくと考えます。本日(10月21日)の総務委員会で示された令和4年度版将来財政推計(下表参照)を見てもわかるように、本市には今後も海老川上流土地区画整理事業、新医療センター建設事業、東葉高速鉄道新駅設置、児童相談所整備、消防庁舎建て替えなど、約300億円もの市費の投入が見込まれる大型事業が控えています。そして、福祉にかかるお金は毎年増え続けていきますし、借金返済のための費用である公債費も毎年170億円近く払い続けなければなりません。さらに、円安やコロナ、不透明な世界情勢に起因する物価高は今後も続くことが予想されており、コロナ禍で潤った市の貯金(財源調整基金)は必要な時には使わなければなりません。一時的に好転したとはいえ、本市の財政状況は今後も注視していかなければならないのです。

 

 

 

2022年10月21日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ