皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

本日(8月18日)は船橋市議会建設委員会が開催され、表題の通り、海老川上流地区土地区画整理事業による海老川流域の治水への影響について、執行部より説明がありました。明日(8月19日)から市民の皆さん向けの説明会も開催されますが、議会へは一足早く説明があったということになります。今日のブログでは、その内容についてまとめてみたいと思います。

市民の皆さんへの説明会の日時についてはこちら

 

1.経緯

そもそもは、これから着工される海老川上流地区土地区画整理事業(海老川上流地区のまちづくり/ふなばしメディカルタウン構想)の実施によって海老川流域の治水対策に悪影響が出るのではないか、主に海老川下流域にお住まいの市民の方々から水害を心配する声が出されていました。船橋市議会においても同様の懸念の声が複数上がっていたという事実もあります。今年の1月18日に開催された千葉県都市計画審議会においても、船橋市に対して、「当該事業による海老川流域の治水への影響に関する検討を続け、住民に対しご理解いただけるよう丁寧に説明を重ねること」という附帯意見がなされました。そういった声を重く受け止めた船橋市は治水の影響に対するシミュレーションを実施することになりました。この度、その検証結果が出ましたので報告があったということになります。

 

2.結論

浸水シミュレーションによると、土地区画整理事業を実施することによって、区画整理地内の下流域への浸水の深さは概ね浅くなることがわかりました(一部、土地区画整理地内やその周辺では浸水の深さがより深くなるところはありますが)。つまり、土地区画整理事業を実施すると、むしろ市内(特に海老川下流域)の治水対策としては効果が上がるということです。ただし、上述した通り、土地区画整理地内やその周辺では一部浸水の深さが増加する場所もありますので、その点については土地区画整理組合と協議を続けて改善を図る努力をしていくということでした。

 

治水対策の効果が上がる理由としては、区画整理事業地内にできる6つの調整池の存在や、千葉県が進める海老川調節池(貯留量約55万㎥)、海老川や飯山満川の掘削や拡幅が進展することなどが挙げられます。

 

【図1】区画整理事業地内の調整池

 

【図2】海老川水系流域治水プロジェクト

 

 

3.シミュレーション結果

シミュレーションの検討の方法ですが、土地区画整理事業実施「前」と実施「後」のシミュレーション結果を比較することで治水への影響を検討しています。

*土地区画整理事業実施後のシミュレーションには、当該事業地内に設置する6つの調整池の整備や、千葉県の掲げる「海老川水系流域治水プロジェクト」に基づいた海老川調節池の暫定利用(約3万5千㎥の貯留)と海老川の河床掘削などの効果を含めて検証しています。

 

(1)高頻度の降雨の比較

●海老川流域の24時間雨量が163㎜と想定

●いわゆる10年に1度の降雨と言われているもの

●海老川水系河川整備計画の目標とする降雨

 

【図3】

 

図3は、土地区画整理事業実施前の浸水想定区域図が左の図(①)であり、実施後の予想図が右の図(②)になります。

 

【図4】

 

図4は、土地区画整理事業実施前のと実施後の浸水想定を比較したもの(①と②を重ね合わせたもの)になります。

赤系の色で表されている場所は浸水深が増加しているところであり、青系の色で示されている場所は浸水深が減少しているところになります。一目瞭然ですが、青色系で示された場所が多くなっています。つまり、10年に1度の雨量では、浸水深は概ね減少していることがわかります。

*ただし、浸水深は減少しますが、浸水被害が完全に解消されるわけではないことに注意。

 

(2)想定最大規模の降雨の比較

●海老川流域の9時間総雨量が516㎜を想定

●いわゆる1000年に1度の降雨と言われているもの

●水防法に基づく想定しうる最大規模の降雨

 

【図5】

 

【図6】

 

下流域では浸水深が概ね減少していることがわかります。

土地区画整理事業地内とその周辺の一部で浸水深が増加している場所がありますが、医療センターなど事業地内の土地利用やかさ上げの仕方などによって、より低くなっている場所に影響が及ぶためと考えられます。この対策については、「結論」の部分で上述した通り、市は土地区画整理組合と協議して改善を図っていく(例:浸水深が増加する場所のかさ上げを手厚くする等)とのことでした。

 

(3)計画規模の降雨の比較

●海老川流域の9時間総雨量が221㎜を想定

●いわゆる50年に1度の降雨と言われているもの

●海老川水系河川整備基本方針の目標とする降雨

 

【図7】

 

【図8】

 

ご覧の通りであり、想定最大規模の降雨の比較と同様の傾向が見て取れます。

 

シミュレーション結果から、海老川上流地区地区のまちづくりを実施した方が、市内(特に海老川下流域)の浸水対策は改善されることがわかりましたので、海老川上流地区の土地区画整理事業を着工していくべきだと考えます。

 

ただ、懸念をお持ちの市民の方々には、明日からの説明会でしっかりと説明することはもちろん、今後も丁寧に説明を尽くしていくべきだと考えます。今日の建設委員会での執行部の説明は、データの出どころやその内容に対して、千葉県やシミュレーションを委託した業者に依存しているところも多く、心もとなさを感じたことも事実です(船橋市はしっかりと理解しているのか!?)。確かに、海老川調節池事業や海老川の掘削事業、そして、飯山満川の拡幅事業などは千葉県が主体の事業なので、市が口出ししづらい事情もあるのかもしれません。しかし、当該事業について市民に説明をするのは船橋市ですし、当該事業に多額の市税を投入するのも本市です。もっと主体性をもって取り組んでほしいと思いますし、本事業に関しては千葉県に対しても遠慮する必要はないと思います。その上で、様々な意見をお持ちの市民の皆さんと議論していくべきです。そうやって本事業への理解を得ていくことが大切だと思います。なので、できれば説明会には市長にもご出席いただき、ご自身の耳で市民の意見を聴き、ご自身の目で雰囲気を感じていただき、そして、ご自身のお考えを直接市民の皆さんに述べていただきたいと思うものであります。

 

 

ご参考:海老川上流地区土地区画整理事業の概要

 

 

 

2022年8月18日 船橋市議会議員 石川りょう

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