皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

表題の通り、今日は船橋市における教職員の部活動に関する意識調査報告書についてブログを書きたいと思います。

この調査は、船橋市内の小中学校で部活動に携わっている教職員が、部活動に対して実際にどのように感じているかを聞き取ったアンケートになります。

 

現在、文部科学省は2023年度~25年度の3年間かけて、学校部活動を地域部活動に移行しようとしています(最初は休日のみ)。こういった国の動きを意識して、船橋市教育委員会としても、市の実情を把握しておこうという取組であり、私がこれまでの船橋市議会で取り上げてきた内容でもあります。

 

 

調査期間は、令和4年1月31日~2月16日でした。その結果を取りまとめた報告書が上がってきました。

調査対象は、上記した通り、船橋市内の小中学校で部活動に関わっている教職員(講師含む)であり、対象人数は1,039人であるところ、調査に回答してくださった教職員は1,011人だったということで、有効回答割合は97.3%と極めて高いものとなりました。

 

 

1.勤務している学校種

中学校が約70%と多いのは、学校部活動が小学校よりも中学校に多いからです。

 

2.年齢

20代が40%、30代が36%であり、2・30代だけで75%(4分の3)を超えています。

このことから、船橋市において部活動に関わっている教職員は2・30代が中心であるという特徴がわかります。

 

3.経験年数

教師経験2~5年が33.9%で、6~10年が22.4%、11~15年が13.6%です。2・30代が中心であることがわかっていますので、これは当然の帰結になります。

 

 

4.部活動への関わり方

現在では、部活動には主顧問と副顧問と2人以上の教職員が就くことになっているのですね。私の時代(30年近く前)にはなかったと記憶しています。運動部も文化部も、主顧問よりも副顧問の人数の方が少しだけ多いことが特徴です。

 

5.負担を感じているかどうか

この設問が今次アンケート調査のメインだと思います。

●(部活動に対して)負担を感じていない人が17.5%

●負担ではあるが、やりがいを感じている人が38.7%

●負担と感じている人が43.8%

 

この結果から率直に感じることは、現実を受け入れなければならないということだと思います。

実際に部活動に携わっている教職員の半数近くは、部活動に対して負担を感じているという事実です。

やりがいを感じている人もいらっしゃいますが、それでも負担であると感じている人も40%近く。

部活動に対して全く負担とは感じていない(むしろ、やりがいや生きがいを感じている)人は20%弱しかいないのです。

これらの数値を「しか」ととらえるのか、「も」ととらえるのかは、人によって様々と思いますが、私にとっては、部活動を負担と感じている人が約44%「も」いて、負担と感じていない人は約18%「しか」いないと感じます。

 

6.部活動指導におけるやりがい

1位:児童生徒と教員の人間関係の構築を図れること

2位:児童生徒の技術向上や体力向上につながること

3位:児童生徒が大会や試合で良い結果を残したときに充実感を得ることができること

 

これらは、部活動に携わっていれば当然に得られるやりがいだと思います。

しかし、これらをもってしても、負担であると感じている教職員の方が多いということが衝撃でした。

 

 

7.部活動指導における負担

1位:部活動指導のためにプライベートの時間が少ないこと

2位:部活動指導のために教材研究や生徒指導にかける時間が少ないこと

3位:試合の審判や大会の役員などの部活動指導に付随した業務があること

4位:専門ではない部活動の顧問をしなければならないこと

 

2・30代が75%以上を占めている現状において、その世代の教職員に部活動によってプライベートの時間が少なくなっているということは致命的なことだと思います。私は、部活動に対してやる気や生きがいを感じていらっしゃる教職員の方々を否定する気持ちは毛頭ありません。ご自身のプライベートの時間なども児童生徒たちのために費やしてくださる教職員の方々は尊敬に値すると思っています。しかし、いくら教職員を目指したとはいえ、2・30代の若者にプライベートの時間が少ないというのは考えものだと思います。現在、全国の都道府県で深刻な教員不足に陥っている現状がそれを物語っていると思います。

 

2位の部活動指導のために教材研究や生徒指導にかける時間が少ないことというのも重大です。

教職員の職務の本分は授業なのではないでしょうか?

部活動という「学校教育の一環」(学習指導要領による)ではありますが、中央教育審議会が「必ずしも教師が担う必要のない業務」と言い切っている業務のために、本来の教職員の仕事が満足にできていない、本分の支障になっているということであれば、それは大きな問題です。

 

8.スポーツ庁の「令和5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行」の方針について

「知っている」と「聞いたことはある」だけで86.7%ということに少し安心しましたが、知らない教職員の方も10%強いるということには驚きました。上記した通り、文科省の方針では23年度~25年度を改革集中期間としているため、来年度以降、この動きが本格化してくれば、認識はより広まっていくものと考えます。

 

 

9.休日の部活動が地域に移行した場合の影響について

1位:土日の拘束時間が減り、教職員の負担軽減につながる。

2位:土日の指導者との連携が必要となり、現場は混乱する。

3位:個々の児童の把握が難しくなる。

4位:生徒指導面における問題が増えそうで、逆に負担となる。

 

この結果を見ると、現場の混乱や逆に負担が増えるのではないかという心配もあるものの、やはり、教職員の負担軽減になるという期待が最も大きいことがわかります。

 

10.土日の部活動が地域に移行した場合、関わりたいか

「関わりたい」と「関わりたくない」が半々のイメージです。

やはり、自身が関わらなくていいのであれば関わらないという教職員が半数いらっしゃるということは重く受け止めるべきだと思います。

 

「関わりたい」と答える人のうち、「兼業できる等の制度が整えば」という条件を付けている人が30%弱と最も多いのですが、これは要するに、兼業をして、教職員として以外の対価をもらえれば関わってもいいという考え方も含むものと解釈しています。学校部活動は、これまで教職員の方々のボランティア精神によって成立してきた側面が極めて大きいと考えています。価値観が多様化し、教師という職務が「ブラック」と呼ばれてしまうような時代にあって、以前のようなやり方はすでに通用しなくなっていると感じます。上述しましたが、それが全国的な教職員不足という現状につながってしまっている一因とも推察されます。

 

今後の学校部活動をこれまでと同様のやり方で存続させるのであれば、部活動に携わってくださる教職員の方々にそれなりの対価をお支払いしなければ担い手がいなくなってしまうと考えます。そうでなければ、現在、文科省が進めようとしているように、学校部活動の地域移行化を進めなければならないと考えます。地域の総合型地域スポーツクラブやボランティアの方々への移行、または、民間に委託などです。いずれにしても、学校部活動を存続させるのであれば、行政のお金はさらに必要になってくると予想しています。

 

開会中の令和4年船橋市議会第2回定例会の一般質問(6月6日)では、この調査結果を踏まえて、

(1)船橋市としてはこの調査結果をどのように評価しているのか?

(2)文科省の進める学校部活動の地域移行化を来年度以降、どのように進めていくつもりなのか?

といった点について聞いていこうと考えています。

 

2022年5月18日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ