皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

3月14日に開催された船橋市議会文教委員会にて、船橋市立八栄小学校の通学区域の見直しについて、教育委員会より報告がありました。すでに、地域では2回の説明会が開催されており、文教委員会ではその結果が報告された形となります。

 

最初に、この報告を聞いての私の所感(あくまで私見です)のポイントを述べておきます。

 

1.今回の通学区域の見直しにかかる船橋市教育委員会の目的は、児童数の多い八栄小学校の学区を変更することで、児童数の少ない市場小学校と夏見台小学校の児童数を増やすことなのですが、現時点で教育委員会が考えている方策では、両校に入学する児童はあまり増えず、八栄小学校の児童数は増え続け、近い将来、より強力な方法(より強制的な学区変更など)を取らざるを得なくなるのではないか?

 

2.仮に、今回の学区変更が奏功して、八栄小学校の児童数が想定通りに少なくなったとしても、今年の5月以降に竣工が予定されている海老川上流地区のまちづくり(土地区画整理事業)による人口流入により、近い将来に、再び通学区域の見直しという措置をとらざるを得なくなるのではないか(米ヶ崎町は市場小学校の学区になる可能性がある)?

 

 

なぜ、私はそのような結論(考え)に至ったのか、以下に教育委員会からの資料をもとに解説していきたいと思います。

 

 

最初に八栄小学校の現在の学区を見てみましょう。

ポイントは、海老川上流地区のまちづくり(土地区画整理事業)の事業範囲である米ヶ崎町がすっぽりと学区の中に入っているということです。現時点での船橋市の予想では、区画整理事業の工事が終了するとされる令和14年度までに約3,300人の人口が当該地区に増えるということです。しかし、この人数は、令和14年度に一斉に増えるというわけではなく、当該事業の工事は早ければ今年の5月以降には開始される予定ですので、住宅が建っていき次第、人口は(児童数も)徐々に増えていくと考えられます。

 

 

船橋市教育委員会が地域の方々を対象に行った第1回目の説明会で提示した学区変更案です。

地図上のピンク色で囲まれた地域の、令和5年度からの新1年生は夏見台小学校へ。

緑色で囲まれた地域の、令和5年度からの新1年生は市場小学校へ、となるということでした。

 

しかし、本案を提示したところ、参加された地域住民の方々から様々なご意見(主に反対意見)が出されたということで、第2回説明会(本年2月20日実施)で、船橋市教育委員会は以下の図のような新しいアイデアを提示したということです。

 

 

まずは紫色で囲まれたエリアを新設しました。

当該エリアは「選択学区」ということで、基本的には八栄小学校の学区となりますが、夏見台小学校を選択することもできるという地域です。

 

以下は私の予想ですが、これでは選択学区の大半の児童が八栄小学校に入学すると思います(選択しなければ八栄小学校になるため)。

文教委員会の中で、選択学区の児童からどうやって夏見台小学校への入学者を増やそうというお考えか?という質問がありましたが、教育委員会からは、八栄小学校の状況(生徒数が多いこと、余裕教室が少ないことなど)を地域の方々に説明することや、夏見台小学校への見学会など、夏見台小学校の魅力を知ってもらうことで増やしたいとおっしゃっていたのですが、これで実現することができるのか不安です。

 

 

次に、先述したピンク色で囲まれた地域(基本的には夏見台小学校の学区になる)の中で、斜線がかけられている地域は、小学校入学時に「通学指定校変更申請」を教育委員会に提出することで八栄小学校に入学することができるという措置です。

これだと、当該地域の児童は八栄小学校を選択するのではないかと予想します。

 

 

次に、これも先述した緑色で囲まれた地域(基本的には市場小学校の学区になる)の中で、斜線がかけられている地域は、こちらも小学校入学時に「通学指定校変更申請」を提出することで八栄小学校に入学することができるようになるということです。

 

地図上の赤色の点線で示された通学路をご覧ください。

船橋市場の間を通る道(海老川沿いの道)が通学路として指定されておらず、子どもたちは遠回りをしなければならなくなっています。

この点について、文教委員会の中で私から質問させていただいたところ、歩道の改良などを行い、この道も通学路にできるように努力し、市場小学校を選んでもううことのインセンティブにしたいという趣旨の回答を得ました。しかし、それでも、当該地域から市場小学校ではなく、八栄小学校に進学を希望する児童は多くなるのではないでしょうか。

 

 

上の表は、船橋市教育委員会が推計している今後の八栄小学校の学級数と児童数です。

このまま学区変更などの何の対策もうたないと、令和4年度には、普通教室数の限界数である31学級に達し、令和5年度には32学級、6年度には34学級、7年度には35学級・・・と年々増加する予想となっています。

 

しかも、(私にとっては)致命的なことに、この推計には、海老川上流地区のまちづくり(土地区画整理事業)による人口増は想定されていないのです!もっと増える可能性もあります。

 

上述した通り、八栄小学校には普通教室が31教室しかありません。

その他に、普通教室に改装できる余地のある教室は、家庭科室と図工室の2教室しかありません。

つまり、本当の限界は31+2=33教室です。

現時点の推計では、令和6年度の34教室でオーバーしてしまいます。

 

こうなってしまうと、採れる手段は以下の通り。

①校舎新設

②仮説校舎新設

③1クラスの人数を法定数以上にする

ということしかありません。

 

しかし、八栄小学校のグラウンドには新校舎や仮設校舎を新設できるほどの広さがありません。

建設すれば、グラウンドでの活動を著しく阻害してしまうことになると思います。

そして、今の時代にプレハブの仮設校舎という発想もなかなか難しいものと考えます。

また、1クラスの人数を法定数以上にするという措置は、文科省の進める少人数学級の実現に逆行するものでありますし、新しい生活様式がスタンダードになる将来、これも時代に逆行する現象となってしまうでしょう。

 

 

こういった状況を避けるために、上述してきたように、令和5年度から通学区域を変更し、市場小学校と夏見台小学校に児童を分散させた場合に、八栄小学校の学級数と児童数はどうなるのかという推計が上の表になります。

 

学区変更がうまく(想定通りに)いけば、令和7・8年度にマックスである33学級には達するものの、その後は減少に転じ、今の八栄小学校のキャパシティでもなんとか受け入れることができるというものです。

 

ただし、令和7・8年度は図工室と家庭科室を普通教室に転用する措置が必要であり、その場合、図工の授業は普通教室で、家庭科の授業における調理実習などは、校内で出来ず、近隣の公民館などで行う可能性も考えられます。

 

 

ここで、八栄小学校の児童を分散させたい先である市場小学校と夏見台小学校の状況も見ておきましょう。

上の表のとおり、八栄小学校と異なり、両校ともに余裕がある状況です。

特に、市場小学校は、令和2年度まで受け入れていた塚田第二小学校に入学予定だった児童たちが一斉に転校することを受け、令和3年度の児童数は前年度の3分の1になっており、その後も減少を続ける予想になっています。令和9年度には6学級となり、全学年単学級になることまで予想されています。これは、今次廃止される金杉台中学校と同様の状況になる可能性があるということです。

 

以上のような状況を考えると、船橋市教育委員会が八栄小学校の児童を市場小学校と夏見台小学校に分散させたいと考えるのは合理的ではあります。特に市場小学校の状況を考えると、先に述べたように、新しい街である米ヶ崎町のメディカルタウンは、学区変更によって市場小学校の学区に編入される可能性が高いと予想できます。

 

 

最後の表は、学区変更実施後の八栄小学校と市場小学校、そして、夏見台小学校の児童数と学級数の変化の推計です。
ただし、これは学区変更がうまくいった場合の予想です。
 
私は、上述した通り、この予想の通りうまくいくかどうかについて、決して楽観的ではありません。
したがって、私は最初に述べたような予想(あくまで私見ですが)を立てているということになります。
 
最後に、文教委員会の中で、私から、船橋市教育委員会としては、この案(第2回説明会で示した案)で最終案とするのか?住民説明会はもうやらないのか?と尋ねたところ、市教委としては、この案を最終案にすることを考えていること、そして、地域住民の皆さまには、もう一度(つまり第3回)説明会を開催する予定であるとの答弁を得ました。
 
2022年3月15日 船橋市議会議員 石川りょう