皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

今日は、船橋市の「有価物・資源ごみ回収費」の見直しについてまとめます。

 

まず「有価物・資源ごみ回収費」の事業の説明ですが、当該事業は、昭和30年代に有価物・資源ごみ回収実施団体(自治会・町会やPTA等)が回収拠点を設置し、その自主的な活動として、有価物や資源ごみを集団回収したことが始まりです。それを業者が回収し、紙再生業者や古布加工業者などの民間事業者に売却したり、外国に輸出したりして収益を上げていました。その収益の一部を協力金として有価物・資源ごみ回収実施団体が受け取り、町会・自治会活動やPTA活動のために使っていたということになります。自分たちで回収拠点を作って集めた有価物・資源ごみを回収してもらい、その対価を受け取っていたというスキームには事業の正当性があったと思います。

 

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▲ 以上は全て船橋市役所環境部クリーン推進課による船橋市議会市民環境経済委員会での報告資料より抜粋

 

しかし、平成8年に船橋市におけるごみの回収方法が、ごみ収集ステーションに一元化されました。それ以降、市民の皆さんはご自宅近くに設置されている収集ステーションに、可燃ごみや不燃ごみはもちろん、有価物や資源ごみも出すようになっています。つまり、有価物・資源ごみ回収実施団体が自ら回収拠点を設置することなく、有価物や資源ごみは(ある意味自動的に)集められ、民間事業者等に販売されているという形に現在ではなっています。このスキームだと、対価としての「協力金」を回収実施団体が受け取るという事業としては、正当性が失われてしまったということになると考えます。言い方は悪いですが、有価物・資源ごみ回収実施団体は(回収拠点の設置など)何もやっていないのに、お金(協力金)だけは受け取っているという形になってしまっているということです。

 

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▲ 船橋市役所環境部クリーン推進課による船橋市議会市民環境経済委員会での報告資料より抜粋

 

さらに問題なのは、現在では有価物や資源ごみの売却収益はなくなってしまっているのです。なくなっているどころか、回収経費の方が売却益を上回ってしまっており、事業としてはマイナス(赤字)なのです。ちなみに、令和2年度だと、有価物に関しては、売却収入が0.9億円、回収経費が2.3億円であり、収支はマイナス1.4億円。資源ごみに関しては、売却収入が2.9億円、回収経費が7.2億円であり、収支はマイナス4.3億円となっています。それにもかかわらず、資源ごみ回収団体には「協力金」として、現在でも1キロあたり3円が支払われているのです。ちなみに、令和2年度は有価物で総額5,484万円、資源ごみで総額1,903万円が税金により支払われています。

 

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▲ 船橋市役所環境部クリーン推進課による船橋市議会市民環境経済委員会での報告資料より抜粋

 

本年1月17日に市民環境経済委員会が開催され、執行部から、同事業は「令和3年度末をもって廃止する予定」という報告を受けました。上述した通り、私自身も、同事業にはすでに正当性がなくなってしまっていると考えており、廃止すること自体には賛同です。

 

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▲ 船橋市役所環境部クリーン推進課による船橋市議会市民環境経済委員会での報告資料より抜粋

 

この意思決定は良いと思います。

しかし、いつも通り、廃止の仕方(市の意思決定の仕方)が悪いと思います。

決定が急過ぎるのです。

 

確かに、本事業は平成31年3月に策定された船橋市行財政改革推進プランの中で「その他検証が必要な事業」として、「見直しが必要と考えられるもの」と位置づけられました。しかし、その後、当事者である肝心の町会・自治会やPTA等に対して十分な説明や報告などはなく、昨年12月に「今年度末で廃止する方向で考えています」という一方的な通知をしただけで今回の意思決定になったと聞いています。

 

▲ 「船橋市行財政改革推進プラン」から抜粋

 

12月という時期は、町会・自治会にとって、すでに来年度の予算を考えている時期です。中にはすでに決まっている団体もあると思います。正当性を失っている事業とはいえ、毎年当たり前のように入ってきていたお金(協力金)であるため、多くの自治会・町会では、この協力金を来年度の予算の中に入れ込んでいたと考えられます。これを事前の十分な説明や相談などがなく急に決定されても…というのが多くの町会・自治会の正直なところではないでしょうか(現に私のところにも複数の町会や自治会関係者の方々から問い合わせをいただいています)。

 

「いつも通り」と申し上げましたが、船橋市(役所)では、この数年以内でも、同様の(急過ぎる)意思決定が何度か行われていると感じています。例えば、可燃ごみの収集回数の見直し(平成30年10月1日)や、運動公園やグラスポの駐車場料金改定(令和3年1月1日)などです。利用者(当事者)や議会の意見を十分に聞くことなく、説明も不十分なまま、市役所だけで急に決めてしまうのです。

 

1月17日の市民環境経済委員会の中でも、この市の意思決定に対して、多くの委員(議員)から疑問や慎重な声が上がりました。かくいう私も、1月28日のりょうCafé Zoomでご報告した通り、委員会終了後に担当部(環境部)に連絡し、やり方が乱暴で急過ぎるため、(将来的な)廃止自体には賛成だが、実施は延期するべきだと申し上げていました。

 

▲ 「りょうCafé Zoom」の資料より抜粋

 

その後、1月31日に執行部(船橋市役所)から連絡があり、廃止時期が半年間延期されることになり、改めて自治会連合協議会にも説明することになったということです。

 

その結果は是とするものの、やはり私には、頻発する「船橋市の急過ぎる意思決定」に疑問が残ります。

なぜそのような意思決定の仕方になってしまうのか?

そのプロセスはどうなっているのか?

これは船橋市役所の文化というか、慣習になってしまっているのではないかと危惧をしています。

 

今月15日に開会する令和4年船橋市議会第1回定例会では、この点を解明するために質疑に立ちたいと考えています。

 

2022年2月4日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ