皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

9月24日(金)に開催された予算決算委員会文教分科会において、令和2年度決算審査を行いました。文教分科会ですので、船橋市の教育委員会に関する事柄(学校教育や生涯学習など)についての決算審査です。

 

*文教分科会の録画中継はこちらからご覧いただけます。

 

すでに実施された事業の反省から今後の予算編成に生かすという観点でいくつかのテーマに関して質疑をいたしました。今日はその結果についてまとめたいと思います。

 

(1)令和2年度の総括

令和2年度は船橋市にとっても、まさにコロナとの1年になりました。令和元年3月1日に本市で第1号となる陽性者が確認されました。そして、同年3月から3か月にわたる学校の臨時一斉休校。そして、令和2年度には2回の緊急事態宣言の発出もありました。船橋市教育委員会にとっての令和2年度はどのような年度だったのか?という総括的な質問を最初にさせていただきました。学校教育部からは、本当にコロナに振り回された1年、ほぼコロナ対策に奔走した1年だったという率直な回答がありました。しかし、何より子どもたちに与えた影響は大きく、通常授業はもちろん、部活動や行事など様々な活動に制約ができてしまったということでした。公民館や図書館などを所管する生涯学習部としては、1年の半分以上を施設の休館や利用制限措置とせざるを得ず、部の存在意義にも関わるような深刻な1年だったということでした。しかし、そのような中でも、図書館では無人(非接触型)の予約棚の導入、公民館などではオンラインを使用した講座の開設など、新しい日常を意識した活動を生み出すことができた側面もあったということでした。

 

(2)GIGAスクール構想

そのような令和2年度だったのですが、コロナ禍だったからこその特徴もありました。決算額が例年と比較して激増しています。船橋市の教育費は、毎年約250億円程度なのですが、令和2年度は約330億円と、約80億円も増えています。その要因は、令和3年4月に開校した塚田南小学校の建設費用が入っていたこともありますが、メインはGIGAスクール構想実現のための費用です。具体的には、全ての市立学校への構内通信ネットワークの整備、電子黒板導入、学習用ドリル導入、そして、市立小中特別支援学校の児童生徒への1人1台の学習用端末の整備などです。当初の予定では、1人1台端末の整備は令和5年度までかけて行う予定でしたが、コロナ禍によりその必要性が高まり、令和2年度中の整備が実現しました。早期実現は喜ばしいことではありますが、当初予定より大幅に早まったためのひずみが生じている面もあります。

 

①オンライン授業について

ICT機器の活用については各学校で差が生じてしまっています。その一例にオンライン授業があります。船橋市教育委員会は、本年9月1日からの新学期開始にあたって、(希望者への)オンライン授業の実施を実現することを全校に通知しています。そのための接続テストや研修会を実施しており、9月13日からスタートできる体制を整えていました。しかし、蓋を開けてみれば、9月24日時点でも、実施している学校は全80校中47校という状況です。もちろん、そもそも児童生徒や保護者からの需要がない学校は結構だと思いますが、コロナの心配などで登校を控えている生徒はまだ一定数います。少なくとも、そのような学校ではオンライン授業を実施する必要があるのではないでしょうか?その点について尋ねたところ、市教委としては、通常教育に戻る9月27日以降も、コロナ感染が心配で登校しない児童生徒には「出席停止扱い」措置を継続するため、最低限、定点カメラによる授業風景の配信といったオンライン授業は実施させたいということでした。そして、学校現場としても、「オンライン授業は絶対にやらない」という方針の学校は無いということで、技術的な問題などについては、船橋市総合教育センターから指導を行うなどして実現していきたいということでした。迅速な対応をお願いしたいと思います。

 

②校内通信ネットワークについて

令和2年度に市立船橋高校を含む、全ての市立学校で校内通信ネットワークを整備しました。しかし、一部通信システムに障害が生じているということで、繋がらなかったり、回線が遅くなってしまったりといった問題が生じているようです。この原因について尋ねたところ、この問題は全国的に起こっているようであり、文部科学省が対策に乗り出している。船橋市が国の基準に則っていない(不良な)システムで整備したわけではなく、現在、原因究明と改善のために動いているということでした。せっかく通信ネットワークを整備しても、肝心のインターネットが使えなくては元も子もありません。こちらも迅速な対応をお願いしたいと思います。

 

③市立船橋高校への学習用端末の整備について

国のGIGAスクール構想は、その対象が小中学校だけでなく、高等学校も含まれています。しかし、1人1台端末の整備は小中学校に限られており、高等学校は含まれていません。したがって、市船に関しては校内通信ネットワークの整備のみ行われました。それでは実際の現場(市船)はどうなっているのかというと、生徒たちは、私用の端末を使って学校のICT学習を行っているということでした。つまり、ほとんどの生徒は私用のスマホを使っているという実態です。スマホの小さな画面で、有効なICT学習が実施できるでしょうか?令和2年度には、新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金がありました。これを活用して、市船の生徒への学習用端末の整備に使用しても良かったと思います。市船事務局からは、今後、国や県の動向を見極めつつ、端末の整備を進めていくという回答を得ましたので、着実に進めていただきたいと思いますが、児童生徒にとっての1年というのは、我々大人の1年とは大きく異なりますので、児童生徒のためになることであれば、大人の事情ではなく、少しでも早く実現してほしいと思います。

 

(3)部活動指導員について

令和2年度は、文化部活動にも学校外からの指導員を導入できることとなりました。同年度の派遣実績は4校に6人だったということです。ちなみに、運動部への部活動指導員の派遣はこれより以前からできるようになっています。令和3年度の派遣実績は14人とのことです。本制度の導入は、子どもたちが専門的な指導を受けられることと、教員の負担軽減に資することです。実際に指導員になっていただく方には、(大会への引率などで)責任が伴うこと、学校部活動の時間(平日の午後など)に体が空いている人が少ないこと、時給などが高くないこと等の課題はあるものの、大学生や定年退職した教員などのご協力をいただくなど、もっと改善の余地があると思います。船橋市教育委員会としても、その意義は強く感じているようなので、ますます積極的な推進を期待するものです。

 

令和2年度における船橋市の教育費全体としては、当初予算編成時には想定できなかったコロナ禍による多くの補正予算があったものの、どれも必要な補正であったこと、そして、不適当と思われる支出などはなく、コロナ禍によるやむを得ない不用額を除いては、おおむね当初予算通りの執行がなされていることから、決算は認定としたいと考えています。

 

2021年9月28日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ