皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

今日は、ご紹介してもう3回目(これが最後)となる本「日本進化論」(落合陽一氏)から、人生100年時代のスポーツの役割について考えたことを書かせていただきます。

 

正直申し上げますと、私はこれまで、スポーツ施策は自治体などをはじめとした公の仕事ではないと考えていました。

私の基本的な考え方は、何でもかんでも政治や行政ではなく、マンパワーも財源も少なくなってきてしまっている昨今では、自治体の仕事は、本当に公の仕事としてふさわしいことだけに絞っていくべきだと思っています。そのような中にあって、スポーツの推進を自治体が行うことが果たして「公の仕事」と言えるのか?その点に懐疑的だったということです。

 

しかし、この本を読んで、スポーツ振興策も考え方によっては自治体の、公の仕事と言える側面があるのではないかと考え直した次第です。

 

人生100年時代におけるスポーツの役割は3点あると、本書では述べられています。

①予防医学的効果

②ストレスの解消

③コミュニティの形成

 

スポーツをすることによって健康になり、病気にかかりづらくなるというのはわかる気がします。そして、私も週に1回の頻度でフットサルをしているのですが、とても良いストレス解消になっていることは実体験として感じています。

 

しかし、私がこの3点の中で最も注目している点は、③コミュニティの形成なのです。

どういうことかと言うと、スポーツを通じた人と人とのつながりの構築。簡単に言うと、スポーツを通じて友だち(仲間)をつくることです。スポーツって友だちをつくりやすいですよね。スポーツを通じた仲間の集まり(コミュニティ)をつくることです。

 

友だちをつくること、人と人とのつながりをつくることはとても大切なことです。

マズローの5段階欲求の中にも、「所属と愛の欲求」とある通り、人はどこかに、何かに属していたいと思う生き物なのです。スポーツを通じてできた仲間内、コミュニティに所属することで、この欲求は満たされます。

現代的に言うと、ソーシャルキャピタルと言いますが、人とのつながりは「生きがい」でもあるのです。

 

少し想像すれば思い当たる点が、皆さんにもあると思います。

例えば、外出しよう、遊びに行こうと思うときのモチベーションは何ですか?

友だちと一緒に行くことではないでしょうか?

何か地域の行事に参加しようと思うときはどういうときですか?

友人や知り合いに誘われたときが多いのではないでしょうか?

 

もちろん、自立心の強い方や必要がある場合などは、一人で出かけたり、イベントに参加したり、新しいことを始めてみたり・・・と、一人でできることもあると思います。しかし、人に誘われたから、友だちがいるから・・・という理由で行動を起こせる人が多いのではないでしょうか?かくいう私もその一人です。ソーシャルキャピタルはモチベーション、大きな動機付けでもあるのです。

 

若い人も高齢者も、男性も女性も、根本的にはそんなに違いは無いと思います。

特に、高齢化社会を迎えている我が国においては、「人とのつながり」(ソーシャルキャピタル)は重要です。

 

私の住む船橋市においても、独居の高齢者の数は年々増加しています。

孤独死なども社会問題化しています。

 

このような状況の一つの解決策が、人とのつながり(友だち)をつくること。

その友だちづくりの一つの有効な方法としてスポーツ振興があるのだと思います。

「スポーツを通じた人とのつながり、コミュニティづくり」を押し出すことは、特色ある地域づくりという意味で意義のあることかもしれないと考えるようになりました。

 

そういう意味では、昭和61年から船橋市が掲げる「スポーツ健康都市宣言」は先見の明があったのではないかと思います。

 

*スポーツ健康都市宣言

私たち船橋市民は、地域に根ざしたスポーツ活動を通じて健康で豊かな心とからだを育て、活力ある近代的な都市をめざして、ここにスポーツ健康都市を宣言します。

一 市民一人ひとりがスポーツに親しみ、健康な生活を営もう。

一 みんなでスポーツを楽しむ機会をつくり、こどもを健やかに育てよう。

一 スポーツを通じて、いきいきとした地域の輪を広げよう。

一 スポーツを通じて多くの仲間とふれあい、はずむ心を世界に伸ばそう。

 

船橋市では、この1月から、行財政改革の名のもとに、市営スポーツ施設(運動公園、グラスポなど)の駐車場料金の有料化が始まりました。スポーツ健康都市宣言の精神が少しおざなりにされていると感じざるを得ない状況が散見されるようになりました。

 

もう一度「スポーツ健康都市宣言」を見つめ直し、この宣言をどう生かしてまちづくりを行っていくのか改めて考えることが大切ではないかと思います。

 

公営のスポーツ施設の数に限りがある、そもそもスポーツができる公園自体も少ない、仕事や家事が忙しくて運動ができない・・・課題は様々あることはわかっています。

 

しかし、スポーツの持つ価値(特に人と人とのつながりの創出)を再認識し、まちづくりに生かしていけるように、私自身、考えていきたいと思います。

 

2021年1月19日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ