皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

今日ご紹介する本は、今の日本が抱えている様々な問題を、政治(Politics)と技術(Technology)を掛け合わせた概念である「ポリテック」によって乗り越え、我が国を新しい段階へ進化させようという趣旨で書かれたということです。この大変に興味深い「序章」を(書店で)立ち読みさせていただき、購入をして、この年末年始に読みました。

 

現在の我が国の古い体制や閉塞感を打ち破る鍵がテクノロジーであり、政治はそれをしっかりと取り入れていくべきであるという趣旨であり、様々な分野と実際の事例を挙げてその活用の仕方を解説するという内容になっています。

 

我が国の特に深刻な問題のうち、本書で最初に取り上げられているテーマが労働生産性でした。現在、我が国の生産性は世界30位前後だということで、1960年代くらいの順位に戻ってしまっており、先進国の中で一人負け状態ということでした。

 

我が国の労働生産性が低いことの理由の一つに、20世紀(戦後の高度成長期)に固定化された、働き方に対する古い価値観があると。それは、終身雇用を前提とした安定のレールであり、皆と同じような働き方をし、同じような暮らしを送ることで人々の幸福を保障していた。しかし、そもそも終身雇用は高度経済成長期に、業績が右肩上がりに成長することを前提につくられたものなので、すでにGDPが減少傾向にある今の日本において、このシステムを継続することは難しい。戦後の高度成長があまりにもうまくいきすぎて、その成功体験を忘れられず、いまでも引きずっている会社や組織が多いのだと思います。その結果が「失われた30年」、現代の我が国の生産性の低さに表れてしまっているのだと思います。

 

世界はすでに、工業化社会から情報化社会へシフトしています。

さらに我が国の国内状況は少子高齢化。

これまでと同じような価値観や働き方(終身雇用・年功序列)では通用しなくなってきていると思います。

 

それではどうすればいいのか?ということでの様々な提言に、本書では様々な分野から迫っているのですが、私が注目したのは、デンマークの例です。同国も少子高齢化で我が国と似たような人口構成なのですが、①産業構造と②行政の効率化によって、GDPは2000年代以降も安定して伸び続けているとのこと。

 

①前者に関しては、主要産業を流通や小売業へ。ゼロからものをつくる産業ではなく、既存の製品に価値を付与する産業へとシフトしているということ。

 

また、②後者に関しては、テクノロジーを活かした政府運営の効率化を図っているということで、様々な分野で広く電子化が行われているということでした。つまり、両者ともに共通していることは、生産性を上げるために、すでにあるテクノロジーを利用して初期投資を可能な限り抑え、人間の介在を減らすことで、経費の面でもマンパワーの面でも効率化を図る「限界費用ゼロ化」を進めているのです。まさにポリテックの先進例と言えるのだと思います。

 

実は、私が市議会議員を務める千葉県船橋市は、姉妹都市にこのデンマークのオーデンセ市があります。船橋市の身近には大変参考になるモデルが存在することになります。せっかく姉妹都市協定を結んでいるのです。これを活かさない手はありません。ただ交流事業だけを行うのではなく、生産性についての考え方、経済成長についての方策、未来を見据えた戦略など、お互いに様々な分野で学びあえる姉妹都市を目指すべきだと考えます。

 

また、ここには書きませんが、私は「まちづくり」に関しても、ヨーロッパ、特にデンマークなどの北欧には学ぶべきところがたくさんあると考えています。よく、人口を引き合いに出して、人数が少ない国だからできることであって(ちなみにデンマークは約570万人)、1億2千万人を超える人口を抱える日本では同じことはできないという議論があります。もちろん、国によって様々な条件や要因があり、簡単には解決できないことではあると思いますが、最初から諦めるのではなく、学べるところは学んでいくという姿勢が大切なのだと思っています。

 

少し話がそれてしまいましたが、また明日以降、本書で述べられている教育やスポーツといった分野から、今後の我が国の進化について考えていければと思います。

 

2021年1月5日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ