皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

REASAS(リーサス)という「地域経済分析システム」をご存知でしょうか?

国が平成27年4月からインターネットで公開を始めた日本全国の地域経済に関わる様々なデータ集です。

今日は、この中から、特に「地域経済循環図」を用いて、我がまち船橋の全体像を把握してみようという試みです。

RESASのページはこちら

 

まず、下の図が、船橋市の2015年の地域経済循環図になります。

 

 

現時点での最新版は2015年のデータです。これでは古いだろう?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、地域経済の構造は5年くらいでそう大きく変わるものではありませんので、現時点(2020年)での船橋市の状況にも十分当てはまるものと考えます。

 

(1)生産(付加価値額)

まずは、左下の生産(付加価値額)を見ると、船橋市は圧倒的に第3次産業(商業・運輸通信業・金融業・電気ガス事業、公務、その他のサービス業)の割合が高いことがわかります。第1次から3次産業までを合わせた生産の総額は1兆8,359億円。これが所得として分配されます。

 

(2)分配(所得)

真ん中上の図の通り、その分配は、市民の所得である「雇用者所得」と、企業や自治体に入る「その他所得」に分かれます。船橋市においては、雇用者所得の総額1兆6,137億円のうちの6,628億円が地域外からの流入となっていることが特徴です。つまり、都内をはじめとした船橋市外で働く市民の皆さんの所得がこれであり、雇用者所得の3分の1弱が市外から入ってきているということになります。この雇用者所得とその他の所得の合計額である2兆5,415億円は、論理的には市内の消費に回せるわけなのですが、そうは問屋が卸さないという事情になっています。

 

(3)支出

上の図の右下をご覧ください。支出の内訳は、①民間消費額、②民間投資額、③その他支出に分類されています。民間投資額(民間企業の設備投資)については域外からの流入が見られるものの、民間消費額とその支出が船橋市外に流れていることがわかります。民間消費では約3,000億円が域外に流れておりますが、これは、船橋市民が船橋の外でお金を使っていることを表しています。その他の支出のほとんど(約5,000億円)が市外に流出していますが、以下の図を見てください。

 

 

流出しているのが何なのかを知るには「移輸出入収支額」を見ることになります。

まず全体を俯瞰すると、船橋市は第1次~3次産業全てがマイナスの値となっており、これは域外からモノを買っていてお金が流出していることを表しています。さらに細かく産業を見るために以下の3つの図をご覧ください。

 

 

 

 

鉄鋼や住宅賃料業、食料品、運輸・郵便業、印刷業、電気業などを除くほとんどの産業でマイナスの値(棒グラフが下に伸びている)となっています。つまり、船橋市のほとんどの産業は域外からモノを買っているため、お金が流出していることを表しています。

 

もちろん、全てを船橋市内で賄えるわけはありません。特に、農業や漁業などの第1次産業は他の地域や外国から移輸入しなければなりません。ただ、今後の船橋市としては、域内で生産できるにもかかわらず、わざわざ域外から移入しているものはないかということを問い直してみてもいいかもしれません。

 

(4)地域経済循環率

一番上の図の左上の数字をご覧ください。

ここに「地域経済循環率」が書かれています。これは、生産を分配で割った値であり、地域経済の自立度を表しています。100%を超えていると域内の自立度が高いと言えます。逆に100%を割っていれば自立度は低いとなります。船橋市は72.2%なので、地域経済の自立度は低くなっています。船橋市は典型的な「ベッドタウン型」に分類されますので、域外からの雇用者所得はたくさん入ってきますが、域外での消費額も多くなってしまっているのです。地場産業の活性化などに取り組み、船橋市内でもっと経済を回せる政策(取り組み)を実施し、地域経済循環率を上げる努力が必要になると考えます。

 

ちなみに、同じくベッドタウン型である本市の近隣市の地域経済循環率は以下の通りです。

市川市:61.3%

松戸市:61.5%

習志野市:71.8%

柏市:74.1%

鎌ヶ谷市:50.1%

浦安市:92.7%

千葉市:88.3%

 

*ちなみに、地域経済循環率が100%を超えている自治体というのは、東京都千代田区(770%)、東京都中央区(524%)、愛知県名古屋市(120%)、大阪府大阪市(146%)、福岡県福岡市(110%)等です。

 

千葉市は県庁所在地でもあり県内唯一の政令指定都市です。多くの産業が集積していますので、この高い循環率は理解できます。地方交付税の不交付団体である浦安市の圧倒的な数字は抜きにして、その他の近隣市と比較をすると、船橋市は悪くない値であるとは思います。しかし、今後、少子高齢化を迎える本市においても、先に述べた通り、域内での経済循環をもっともっと考えていっても良いのではないかと思います。私の今後の研究テーマの一つとしていこうと思います。

 

2020年11月6日 船橋市議会議員 石川りょう

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