皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

現在、令和2年船橋市議会第3回定例会が開会中です。

今定例会における議案の目玉の一つは、「新型コロナウイルス感染症緊急対策パッケージ第4弾」です。

主な内容には、

①医療従事者一人当たりに10万円の慰労金を給付すること、

②市の所蔵する貴重な美術・芸術品をウェブ上にアップして公開するバーチャル美術館の開設、

③公民館などの公共施設へのWi-Fiの導入、

④市内事業所のキャッシュレス決済導入支援、

⑤間仕切りや蓄電池など避難所備品の配備などがあります。

*詳細は市のウェブサイトをご覧ください。

主に国からの地方創生臨時交付金を活用し、補正予算額は約75億円となっています。

 

この緊急対策パッケージの中には、私がこれまでの議会で何度も何度も提案、要望をしてきた市立学校の児童生徒への一人一台の端末(パソコンやタブレット)整備の前倒しも入っていました。これまでの活動が報われた思いです。

 

9月4日にこれらのパッケージを含めた議案に対する質疑があり、私も質疑いたしました。様々な内容を尋ねたのですが、今日のブログでは、市立学校の児童生徒への一人一台の端末整備に対する質疑についてご紹介します。

 

(1)一人一台の端末整備と学校のインターネット光回線はいつまでに完了するのか?

市立学校の児童生徒に一人一台の端末整備が完了するのはいつまでか?そして、学校で全生徒がインターネットにアクセスしたとしても耐えられる容量の光回線の整備はいつまでに実現するつもりなのか?というスケジュールを尋ねたところ、船橋市教育委員会からは、全校でのネット回線(光回線)整備や令和3年2月までに、そして、児童生徒一人一台の端末整備は今年度中、つまり、令和3年3月末までに実現するつもりだという答弁がありました。

 

(2)端末を授業の中でどう活用していくのか?

せっかく一人一台の端末整備ができても、有効に使われなくては宝の持ち腐れです。実際の授業などでどのように活用していくのか尋ねたところ、「一斉学習の場面では、授業の冒頭に疑問が生まれるような教材を端末に提示して、問題解決への主体性を持たせる」ですとか、「個別学習では、自分の考えを端末に書き込むことで、試行錯誤がしやすい特性を生かして個人思考を促進する」、また、「協働学習では、機器も使いながら対話をすることで、情報を活用しながら学習内容の理解を深める」。最後に、総合的には、「主体的・対話的で深い学びを実現する手段として活用していきます」という答弁がありました。

 

あまりに抽象的な答弁だったので、よく理解できなかったというのが正直な感想です。ここからわかったことは、まだ船橋市教育委員会にも、そこまで明確で具体的な活用方法は見えていないのだろうということです。当初の計画では、一人一台の端末整備は令和4年度末に実現させることになっていました。それが2年も早まったわけです。教育委員会の内部の準備がしっかりと整っていないのであろうという一抹の不安を抱きました。

 

(3)端末の活用に対して、教員は準備が整っているのか?

準備が整っていないのは、教育委員会のみならず、教員の方々もではないでしょうか。コロナ禍における長期の臨時休校の際に、オンライン授業が本市でもなかなか進まなかった理由の一つに、先生たちのICTへの技術や意識の差があったからだと私は分析しています。来年度から急に、「はい、一人一台の端末が整備されました、授業で使ってください!」と言われて、有効に使うことができる教員が、果たしてどれくらいいらっしゃるのか。私は非常に心配しておりますので、その点について尋ねたところ、

●これまでのICT推進研究校(坪井小学校、古和釜中学校)での知見や好事例を生かして教員研修を行っていく。

●今年度、各校の管理職とICT推進教員を対象に、GIGAスクール構想についての研修やドリルソフトの活用についての研修をすでに実施している。

●上記の研修を受講した推進教員が、その技術を他の教員と共有するなどして自己研修を深められるようにする。

●各校の推進教員同士で指導案の検討をしたり、情報共有したりしながら、市全体で取り組みを進めたい。

●先進市の取り組みなども参考にしながら、教員の研修を充実させていく。

 

(4)教育委員会内にICT教育(GIGAスクール構想)推進課を設置したらどうか?

教員への研修などの計画については、答弁を聞いても一抹の不安が残ります。来年度の開始まではあと半年強しかないわけです。このままでは、学校によって、クラスによって、ICTを使った教育に著しい差が出てしまうのではないかと心配しています。そのような差を生じさせないために、教育委員会が、例えば、全教員が3か月後にはこれができるようになっている、半年後にはここまでできるようになっている、といったような明確な目標や指標、そしてスケジュールを示して、計画的に教員のICTに関する質の確保を図るべきです。

 

教員のICTスキルやリテラシーの向上はもちろん、ICT機器(端末はもちろん、電子黒板等)の有効活用策の検討、カリキュラムの作成など、GIGAスクール構想を実現するためには、本市もそれなりの体制をもって取り組まなければならないと考えます。船橋市教育委員会内にGIGAスクール構想を推進するための専門的な部署を新たに設置するべきだということを提案しました。

 

教育委員会からは、教員の研修は計画性をもって進めていくこと、各校で差が出ないように、ICT支援員の増員も検討しながら研修体制を整えていくという答弁がありました。しかし、GIGAスクール構想推進のための専門部署の設置については、「他自治体の事例等を参考にしながら今後研究していく」というあまり前向きではない答弁でした。GIGAスクール構想は、熊本市や札幌市など一部の先進自治体の例を除き、全国の自治体が、始めたばかりの、横一線の状況です。参考にできる自治体は数少ない状況です。船橋市の特徴として、すぐに「他市の取り組みを参考にして…」という言葉や態度が多いのですが、自分たちが全国の先進事例になるんだ!というぐらいの気概が欲しいといつも思っています。

 

GIGAスクール構想実現のために、船橋市がこれまでに投じてきたお金は、一人一台の端末整備だけで約50億円にも上ります。また、その他にも、端末の維持管理費や光回線の整備費用等もかかる予定です。GIGAスクール構想は国が音頭を取って進めている事業であるため、これまでは多額の補助金が投入されてきました。しかし、端末整備にかかった約50億円のうちでも、約23億円は市の負担でした。今回導入する端末も永久に使い続けられるわけではありません。何年後かには更新の時期を迎えます。その時にはまた多額の費用がかかり続けることになります。もちろん、国策ですので、国が今後もお金を出し続けてくれることを望みますし、そうあるべきだと思います。しかし、コロナの影響などで国も大きな打撃を受けており、今後の我が国の財政状況も不透明な中で、正直なところ、どうなるかわかりません。ワーストケースでは、全額市が負担することになるかもしれませんが、そのくらいの覚悟で進めていくべき課題だと思っています。

 

一人一台の端末の有効活用、教員のICTスキルの向上、市教委内への専門推進部局の設置など、GIGAスクール構想については、今後もしっかりと注視してまいります。

 

2020年9月11日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ