皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

201812月に出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)が改正されました。

今後、我が国における外国人受け入れの政策は大きく変わっていくはずです。今年の4月以降、たくさんの外国人が日本に入ってくることになるでしょう。

 

その時に備えて船橋市はどうするべきなのか?国だけが考えることではありません。先行する他の自治体を参考にするだけでもいけません。船橋市は船橋市独自にその受け入れ施策を考え始める段階にきていると思います。今日は、まだ具体的ではありませんが、そのことについて考えてみようと思います。

 

最初に私のスタンスから申し上げますと、外国人を受け入れると決めた以上、彼らは隣人であり、大切な住民です。彼らを受け入れるために国と自治体は環境整備の具体化を急ぐ必要があります。

 

私はこれからの日本に移民は必要だと考えます。

201911日の時点で日本の人口は12,632万人です。

日本の人口は2010年をピークにすでに減少が始まっています。

内閣府の予想によると2060年には約8,674万人に減少すると見込まれています。

さらに、国立社会保障人口問題研究所の研究によると、2040年代からは10年毎に1,000万人近い人口減少が続き、2100年の我が国の人口は5,072万人になると予想されています。80年後には現在の半分以下、5,000万人単位の人口になってしまうのです。

 

 

しかも、これから先、残念ながら人口が増える見込みも今のところありません。

日本の現在の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産むことが見込まれる子どもの数を示す指標)は1.43です。人口を維持できる水準が2.07と言われている中で、程遠い数字です。

 

さらに、下のグラフを見ていただきたいのですが、女性の年齢別人口を見ると、(表現の仕方が難しいのですが)子どもを産んでいただける可能性の高い方々を20代から40代の方々とすると、現在2,200万人ほどいらっしゃいますが、その下の年代を見てみるとどんどん少なくなっています。これはすなわち、これからどんどん、子どもを産んでいただける世代の女性が減っていくことを表しています。

 

【女性の年齢別人口】

 

 

もはや日本人だけで日本の人口を増やすことは不可能と言っても過言ではありません。それどころか、現在の人口を維持することだけでも相当に難しい。それでも、日本の人口を維持したい、生産年齢人口を増やして国を発展させたい、豊かさを維持したいと考える場合、移民を受け入れるしか方法は無いと思います。

 

そのようなことを言わずとも、すでに我が国における外国人の数は増加しています。

現在、日本に在留する外国人の数は約264万人であり、日本の総人口の約2%です。広島県の人口と同じくらいいらっしゃいます。人口増減に注目すると、2014年の日本の総人口は271,058人減ったのに対し、外国人は59,528人増えています。2017年の日本の総人口は40,3000人減ったのに対し、外国人は17,9026人増えました。日本の総人口の減少の一部を補う形で外国人が増えています。都道府県の人口変動を見てみると驚くべきことが起こっています。私の住む千葉県では、平成28年から30年の間に人口は33,093人増えました。しかしその内訳を見ると、日本人が9,971人、外国人が23,122人増えていて、人口増加に占める外国人の割合はなんと69.9%です。日本人より外国人の方が増えているのです。この傾向は、愛知県や埼玉県、神奈川県でも同様です。ちなみに船橋市ですが、平成3111日時点で、人口は前年同日より4,081人増えました。その内訳は、日本人が3,005人増えて、外国人は1,076人増えています。船橋市ではまだ日本人の増加率の方が高いですが、今年の4月以降はわかりません。逆転する可能性も大いにあります。

 

しかし、そもそも、日本人の中に誤解が多い言葉が「移民」です。

移民とは何か?

国連の定義では、母国以外の国に12か月を超えて居住する人々とされています。

それでは「移民政策」とは何か?

人口や労働力確保などの自国の利益のために、職歴、学歴、日本語能力、年齢、財産などの要件により、外国人を選択して居住を認めることです。ポイントは「自国の利益のために」という部分です。要するに、移民政策とは、受け入れ国の利益になる外国人、必要な人材を受け入れるための政策なのです。難民の受け入れとは異なるのです。

 

ちなみに、難民とは、迫害などにより母国を逃れ、人道上、支援が必要とされる人のことです。

よく日本人から聞かれるヨーロッパの国々に対する批判として、移民を受け入れたせいで国や経済が混乱しているというものがありますが、アフリカ大陸からスペインやイタリアなどに海を越えて渡ってきている人たちは難民であったり、不法移民であったり、といわれる人たちです。こういった人たちへの対応に苦慮しているのです。これは移民政策ではありません。

 

しっかりした移民政策が無いと、不法に入ってくる移民たちが増えて問題になります。自国に必要としている外国人のみ選別して受け入れる。移民政策は決して悪ではありません。むしろ率先して行わなければならないものだと思います。だから、政府は入管法を改正して移民政策を進める決断をしたのだと思います。昨年12月時点での法改正のやり方がどうだったか、改正法の内容自体にもまだまだ議論の余地はあるなど色々なことが言われています。しかし、与野党とも、中身ややり方は違っていても、基本的には移民政策を必要と考えています。これからの日本のために外国人の力が必要だと考えているのだと思います。

 

それでは、現在の日本に必要とされている移民はどのような人たちなのか?という問いになるのですが、それが今回の入管法改正により門戸が開いた分野である、介護、建設、外食、農業、漁業、宿泊などの14業種です。私はあまり好きな言い方ではないのですが、「高度人材」に対して「単純労働」という言い方がされています。つまり、現在、日本人の方々を募集しづらい職種です。

 

これまで我が国政府は、このような職種(単純労働)の外国人の雇用を基本的には認めない政策をとってきましたが、その例外として、日本人の配偶者、日経南米23世、技能実習生、留学生(資格外活動として週28時間以内)には認めてきたのです。しかし、これまでは、このような中途半端な移民制度の中で様々な問題が起こっていたため、単純労働の外国人に対するイメージが悪くなっていたのです。様々な問題とは、例えば、名目は日本語学校に留学するために日本に来ているはずが、実際は留学生の形をとった出稼ぎ労働者だったとか、日本で働くためだけの偽装結婚だとか、あまりにブラックな環境下での技能実習生が起こす不幸な犯罪などです。日本人の中には、移民が増えると犯罪が増加する、日本人の職が奪われるといったネガティブなイメージが流布している傾向があります。しかしそれは間違いです。外国人による犯罪は2005年がピークであり、現在ではその3分の1に激減しています(当時より外国人の数は圧倒的に増えているにもかかわらず)。また、今ではコンビニや外食チェーンなど、日本人がなかなかやりたがらない職種は外国人労働者によって支えられている現状があります。

 

ちなみに我が国では、これまでも、いわゆる「高度外国人材」(研究者や医者など)やその他のホワイトカラーの職種(大卒者など)に関していえば、ふさわしい雇用主(雇いたいという雇用主)がいれば、日本で就職することは可能です。そして、日本に10年間定住すれば永住権が得られるようになっています。そしてこれは今後も変わりません。

 

ここで少しだけ、今回の入管法改正のポイントについて触れておくと、上で述べた単純労働に就ける外国人の枠をもう2つ増やすのです。それが以下の2つです。

 

【特定技能1号】

条件:生活に支障のない会話ができる、一定の知識や技能を持っている

在留期限:最長5

家族の帯同:不可

 

【特定技能2号】

条件:生活に支障のない会話ができる、熟練した技能を持っている

在留期限:更新可能

家族の帯同:可

 

これら新しい2つの在留資格の創設により、5年間で最大345千人の移民の受け入れが可能になります。しかし、この人数というのは、一見すると、「え!こんなに増えるの!?」と思うかもしれませんが、現在でも技能実習生は年間で約5万人受け入れていますので、そこまで多い数字ではないと思います。

 

余談になりますが、今次法改正によりせっかく新しい在留資格を作った、つまり、しっかりとした移民政策を作ったのですから、制度の不備が多い技能実習制度は廃止すればいいのにと思います。しかし、政府は廃止する方針はないようです。これでは今後も、イメージの悪い外国人単純労働者が闇(非合法)ブローカーなどの斡旋により我が国に入り続けることになってしまいます。もちろん、多くの技能実習生の方々は真面目でまっとうな方々であるとは思っていますが

 

さて、移民の受け入れに際して必要になってくることはなんでしょうか?

改正入管法でも規定されていますが、定住する外国人に対して生活者としての総合的な対応策をとるということです。何をもって「総合的な対応策」というのかと言いますと、201812月に法務省が策定した「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」に書かれています。詳細はリンクを貼った法務省のホームページを見ていただきたいのですが、以下のようになっています。

 

(1)暮らしやすい地域社会づくり

行政・生活情報の多言語化、相談体制の整備

地域における多文化共生の取り組みの促進・支援

(2)生活サービス環境の改善等

医療・保健・福祉サービスの提供環境の整備等

災害発生時の情報発信・支援等の充実

交通安全対策、事件・事故、消費者トラブル、法律トラブル、人権問題、生活困窮相談等への対応の充実

住宅確保のための環境整・支援

金融・通信サービスの利便性の向上

(3)円滑なコミュニケーションの実現

日本語教育の充実

日本語教育機関の質の向上・適正な管理

(4)外国人児童生徒の教育等の充実

(5)留学生の就職等の支援

(6)適正な労働環境等の確保

適正な労働条件と雇用管理の確保、労働安全衛生の確保

地域での安定した就労の支援

(7)社会保険への加入促進等

 

もちろん、国がこのような指針・政策を掲げている以上、今後も国の具体的な施策内容を注視する必要がありますし、国の主体的な事業や自治体への補助も期待できます。しかし、外国人の生活支援や多文化共生といった分野については、これまでも自治体やNPO任せであったことを考えると、この分野は今後も自治体が主体的に取り組んでいかなければならであろうと予測されます。我が街・船橋市にも、改正入管法が施行される今年の4月以降、たくさんの外国人労働者が入ってくるでしょう。船橋市はその覚悟をもってしっかりと取り組まなければならないと考えます。「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」において、外国人の受け入れにあたっての国のスタンスはすでに明確に示されています。

 

2019129日 船橋市議会議員 石川りょう