皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

今日のテーマは、船橋市の公共施設における受益者負担についてです。

昨年の1227日に開催された「船橋市行財政改革推進会議」のテーマの一つでした。そのご報告になります。

 

最初に簡単に申し上げますと、船橋市の公共施設の使用料が今後上がる可能性があるということです。そのポイントは2点です。

(1)全ての公共施設で、原価の算定にあたり資本費の算入を検討すること

(2)受益者負担割合について改めて精査し、見直しを行うこと

 

1点ずつ解説させていただきます。

 

(1)全ての公共施設で、原価の算定にあたり資本費の算入を検討すること

現在の本市における公共施設の使用料の算出方法は以下のようになっています。

使用料=原価×受益者負担割合

この原価の中に、これまで「減価償却費」は算入していませんでした。

 

しかし、関東圏内中核市と県内近隣18市を調べたところ、原価に資本費を算入している自治体は15市(83.3%)、していない自治体は3市(16.7%)と、算入している自治体が圧倒的に多い状況がわかりました。

 

本市がこれまで原価に資本費を算入してこなかった理由は、財政状況に余裕があったため、公共施設の使用料を市の負担(税金)で賄うことができたからだと推察します。

 

しかし、本市の財政状況が厳しくなり、行財政改革が検討されている中で、ついに本市も全ての公共施設で、原価の算定にあたり資本費の算入を検討することになりました。

 

先ほど紹介した、現在の使用料の算定方法ですが、使用料=原価×受益者負担でした。

この原価について、現行は、

原価=人に係る経費+物に係る経費

で算出していました。

*人に係る経費:貸出事業や施設を維持管理するための業務に直接従事する職員に要する費用

*物に係る経費:貸出事業や施設を維持管理するために要する費用

 

見直し後には以下のような計算式になります。

原価=人に係る経費+物に係る経費+資本費

つまり、資本費(施設の建設や改良などに係る費用)を新たに算入することになります。

 

それでは、この資本費はどのように計算するのかと言いますと、

資本費=(施設の取得価格-国庫補助金等)÷減価償却資産の耐用年数

*減価償却期間の耐用年数は公会計上の耐用年数とするので、施設によって異なる年数になります。

 

使用者の皆さんにこれまで負担をお願いしてこなかった施設の建設や改良などに係る経費(資本費)を、今後はお願いをさせていただくという方向に舵を切るということです。そういうことになれば、使用料は当然上がります。

 

 

 

(2)受益者負担割合について改めて精査し、見直しを行うこと

 

先ほど、公共施設の使用料の算定方法の公式を

使用料=原価×受益者負担割合

とご紹介しましたが、(2)では、この「受益者負担割合」について解説します。

 

受益者負担とは、国または地方公共団体が行う事業により特別の利益を受ける者に対して,特別の利益を基準に,それを限度として,その事業費の全部または一部を負担させる目的で課せられる金銭給付義務のことです。例えば、公民館の集会室という船橋市の施設を利用する場合、市は利用者(利益を受ける人)に使用料を払わせることができるということです。

 

しかし、公共施設の中には、民間も運営しているような市場性の高い施設(例:テニスコート)や低い施設(例:児童ホーム、体育館、子育て支援センター等)、公益性の高い施設(例:市道、リハビリセンター、男女共同参画センターなど)や低い施設(例:茶華道センター)があるため、一律に受益者負担の割合を定めるわけにはいかないということはご理解をいただけると思います。

 

船橋市は平成28年に「使用料・手数料の算定の基本的な考え方」を策定し、上述した市場性と公益性という2つの視点から分類するマトリックスを作りました。

 

 

まずは市場性について解説すると、

「市場的」というのは、同種または類似するサービスが民間で供給されている施設、収益性が高い施設のこと、「非市場的」というのは、同種または類似するサービスが民間で提供されていない(ほとんどない)施設、収益性が低い施設のことです。

 

次に公益性について解説すると、

「公益的」というのは、市民が日常生活を営む上で必要となる施設、社会的、経済的弱者等を擁護、支援するための施設、安心安全な社会を形成するために必要となる知識や教養を普及・啓発するための施設などのこと、「私益的」というのは、日常生活をより便利で快適なものにするため、個人の価値観や嗜好の違いによって選択的に利用する施設、主に個人が趣味やレクリエーションの場として利用する施設のことです。

 

したがって、公益的で非市場的な施設ほど受益者負担割合は低くなり、私益的で市場的な施設程受益者負担割合は高くなります。

 

船橋市の公共施設は、マトリックスで分類すると以下のようになります。

 

【各施設における受益者負担割合について(現行)】

茶華道センター

環境学習館

三番瀬海浜公園野球場

総合体育館

武道センター

運動公園野球場

運動公園陸上競技場

運動公園弓道場

若松公園野球場

学校運動場夜間照明灯

法典公園球技上

行田運動広場

高瀬下水処理場上部運動広場

市民活動サポートセンター

子育て支援センター

児童ホーム

大神保青少年キャンプ場

市道

公園

 

市民センター

放課後ルーム

北部清掃工場余熱利用施設

勤労市民センター

アンデルセン公園

視聴覚センター

市民ギャラリー

青少年会館

運動公園プール

法典公園集会所

公民館

市民文化創造館

市民文化ホール

男女共同参画センター

リハビリセンター

プラネタリウム館

少年自然の家

霊園

霊堂

三番瀬海浜公園庭球場

高根木戸近隣公園庭球場

北習志野近隣公園庭球場

運動公園庭球場

若松公園庭球場

法典公園庭球場

 

 

船橋市は、これから他市における同種の施設の受益者負担割合を調査し、施設毎に市場性と公益性の考え方を再検討します。

 

おそらく見直しが必要となるであろう施設には以下の施設が考えられます。

運動公園(野球場、陸上競技場、体育館、弓道場、プール、庭球場)

法典公園(球技上、庭球場)

若松公園(野球場、庭球場)

高根木戸近隣公園庭球場

北習志野近隣公園庭球場

三番瀬海浜公園(野球場、庭球場)

総合体育館

武道センター

学校運動場夜間照明灯

行田運動広場

高瀬下水処理場上部運動広場

大神保青少年キャンプ場

 

ほとんどがスポーツ施設です。

船橋市は昭和58年に「スポーツ健康都市」を宣言しており、スポーツ施設の利用を促進してきた側面があります。そのため、各スポーツ施設の公益性が高いとみなされてきており、使用料が低くなるように設定されていました。しかし、これからの見直しの中でこの点についても検討がなされることになると思いますので、おそらく、公共のスポーツ施設の使用料は上がるものと予想されます。

 

*スポーツ健康都市宣言

私たち船橋市民は、地域に根ざしたスポーツ活動を通じて健康で豊かな心とからだを育て、活力ある近代的な都市をめざして、ここにスポーツ健康都市を宣言します。

一 市民一人ひとりがスポーツに親しみ、健康な生活を営もう。

一 みんなでスポーツを楽しむ機会をつくり、こどもを健やかに育てよう。

一 スポーツを通じて、いきいきとした地域の輪を広げよう。

一 スポーツを通じて多くの仲間とふれあい、はずむ心を世界に伸ばそう。

 

見直しが実際に始まるのはこれからですので、私自身、本件についてしっかりと研究していきます。それと同時に、市民の皆さんの声にも耳を傾けたいと思っておりますので、ご意見やご感想などをお寄せください。

 

2019118日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ