皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

今日は、今月7日に行った藤沢市への視察のご報告を。

藤沢市は人口約43万人を抱え、船橋市と同じ中核市です。

この大都市では、ごみの収集を、各家庭を回る戸別収集として実施しています。

都内でも、品川区や台東区、大田区、武蔵野市など、戸別収集を実施している例はありますが、市域の全てがオフィス街や住宅地というわけではなく、農地や田園地帯があったりという地域特性からも、藤沢市は船橋市の参考になると考えています。

 

住民ニーズは多様化し、働き方も多種多様、地域やご近所付き合いも昔のようにはいかない。そんな現代においては、ごみの収集に関して、従来のように町会や自治会が管理するステーション型ではなく、戸別収集型が当たり前になる日もそう遠くないのかなと考えています。しかし、そんなことを話してみると、「この船橋でそんなことできるわけがない!」、「経費はいくらかかるんだ!?」という話ばかり。とても実現性のあるアイデアではないという雰囲気が支配的です。

 

しかし、藤沢市ではそれができているんです。

藤沢市のような街でもごみの戸別収集ができるのか!?というのが私の率直な感想であり、驚きでした。藤沢市でできるのであれば、船橋市でもやろうと思えばできるはずです。

 

藤沢市のゴミ分別は大きく分けて4種類です。

①可燃ごみ、②不燃ごみ、③大型ごみ、④資源ごみです。

このうちの④資源ごみの、新聞・折り込み広告、段ボール、飲料用紙パック、古布類だけは資源集積所での回収になりますが、それ以外の全てを戸別収集してくれます。驚きです。

 

そもそも、なぜ、藤沢市が戸別収集を始めようと思ったのかといいますと、以下のような集積所(ごみステーション)の課題があったからだそうです。

(1)維持管理(カラス対策・清掃等)

(2)集積所の移設問題

(3)不適正排出

(4)歩行者等の妨げ、事故等の危険

(5)事故処理が原則である事業系廃棄物の混入

(6)まちの景観が損なわれる

 

これらの課題を解決するために、戸別収集を始めました。

その結果、

(1)排出者が明確化され、

(2)集積所の諸問題が解決され、

(3)集積所廃止により、不適正排出や不法投棄が減り、

(4)歩行者の危険の減少、

(5)まちの美観の向上につながっているということです。

 
他方で、デメリットも当然あります。それは、
(1)収集車両が増えたため収集経費は増大した(藤沢市では14台増)。
(2)収集の未回収が発生しやすくなった。
 
藤沢市では、一気に市内全体を戸別収集に切り替えたのではなく、まずはモデル地区を指定して、そこから始めました。この実証実験後のモデル地区におけるアンケート調査の結果です。
(1)戸別収集になってごみ出しは楽になりましたか?
「楽になった」が75%
(2)戸別収集とステーション方式を比較すると?
「戸別収集が良い」が63%で、「ステーションが良い」が16%
(3)戸別収集は街の美観につながりましたか?
「つながった」が58%で、「つながらない」が15%、「変わらない」が27%
 
戸別収集の方が、圧倒的に市民の好評を得ていることが明白です。
藤沢市の担当職員の方に、「戸別収集になって、作業員の方々は大変になっていませんか?」と尋ねたところ、むしろ楽になったという意外なお答えが!どういう意味かと言いますと、以前は、不法に出されたごみや、ごみ袋の中に混入物などがあった場合には、収集員がメモ書きをして置いていくという措置をとっていたそうです。さらに、ごみがカラスなどに荒らされて散乱している場合には、収集員が清掃をしていたそうです。戸別収集になって排出者が明確化されると、不法投棄や混入が無くなり、さらには、自宅の前が汚れるのを嫌って、しっかりと出すようになった結果、収集員のメモ書き作成や清掃といった余分な仕事などが減り、楽になったというのです。これは興味深いですね。
 
藤沢市では、戸別収集とセットで、ごみの有料化(ごみ袋の値上げ)を実施しています。
その目的は以下の通りです。
(1)ごみの発生抑制、減量・資源化の促進
(2)公平性の確保
(3)財源の確保により環境の保全と創造
(4)最終処分場の延命化
 
詳細は割愛しますが、その目的通りの効果が実際に出ています。
船橋市でも、今後、ごみの有料化が検討されることになっています。
その際には、戸別収集とセットで考えてみるべしと考えます。
 
船橋市の場合、ごみの分別がかなりゆるいため、「不適正排出」に対する危機感が薄いのだと思います。一応、ペットボトルは別に回収しますし、雑紙に関しても資源ごみにしてくださいと呼び掛けてはいます。しかし、プラスチックや雑紙類を燃えるゴミの袋に入れて出しても回収してくれる。むしろ、プラスチックは清掃工場でごみを燃やす燃料になるから…くらいの勢いで考えている。このために、なかなか分別の意識や不適正排出に対する意識が高まらないのだと思います。
 
昨日のクローズアップ現代でやっていましたね。
中国が資源ごみの輸入を全面的に禁止するなど、ペットボトルやプラスチックなどの行き場は無くなってきています。地球環境を考えた場合、リサイクルや資源化を真剣に考えていかなければならない時代です。船橋市も、ごみの分別を厳格化し、その時に戸別収集、そして、有料化についても考えてみる。そういう時期に来ているのではないでしょうか?
 
船橋市は、今年の10月からごみの収集回数を3回から2回にするという大転換期を迎えていますので、市役所としては、今はそれどころではないという感じでしょうが、我々議会の方は、5年後、10年後を見据え、今から検討していかなければならないと思います。
 
船橋市民の皆さんはどのようにお考えになりますでしょうか?
是非、ご意見をお寄せください。
 
2018年5月10日 船橋市議会議員 石川りょう