皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

さて、昨日のブログでお伝えした船橋市議会臨時会ですが、会期の予定は明日までだったのですが、本日で閉会することになりました。

 

理由は、今臨時会にかけられている議案を責任もって審査するためには3日間では短すぎるということで、継続審査となったからです。

 

今臨時会にかけられている議案は「船橋市市税条例等の一部を改正する条例」です。

内容については昨日のブログをご参照いただきたいのですが、本日の議案質疑を聞いていて、

(1)租税法定主義の原則をもっとしっかり研究しなければいけない

(2)今回の条例改正を今年の4月1日まで遡及適用させてしまっていいのかをもっと考えないといけない

(3)市税条例と市債の発行についての関係についてもっと調査しなければいけない

と思いました。

 

昨日のブログでは言及しておりませんでした(3)について解説させていただきます。

船橋市は、毎年度、市債を発行して(お金を借りて)事業を実施しています。今回、執行部からいただいた説明ですと、今回の条例を改正しないと、来年度の市債が発行できなくなる可能性があるということでした。

 

なぜか?

昨日ご説明したように、地方税法に定められている標準税率は9.7%です。そして、船橋市は、本当は、この標準税率通りに、市内1億円以下の資本金の会社に対して税率を適用したかったのですが、ミスにより、条例の改正をしておらず、8.6%という標準税率未満の税率をかけていました。

 

標準税率未満で徴税している団体が市債を発行するためには、地方財政法第5条の4第4項の規定により、知事の許可が必要となります。そして、知事が許可するためには地方財政審議会の意見聴取を経た総務大臣の同意が必要となるのです。

 

なぜ、こんな面倒くさい手続きが必要かと言いますと、標準税率未満で税金を徴収しているということは、あなたの団体はお金持ちなんですよね?標準税率で課税しなくてもやっていける市なんですもんねということです。普通に考えたら、お金がある市であれば、借金(市債発行)する必要はありませんよね?なので、上述のような大変なプロセスが必要になるのです。

 

その際に、上記の地方財政審議会が考慮する基準は二つあって、

(1)その市では、行財政改革がしっかり行われていますよね?

(2)その市の地方税の徴収率が類似団体(船橋であれば中核市)の平均を上回ってますよね?

ということなんです。

 

船橋市は、(1)については大丈夫なようです。しかし、(2)をクリアーできていません。

したがって、執行部としては、来年度発行予定の181億円強の市債が発行できなくなる可能性を恐れています。私も恐れます。なぜなら、181億円ものお金を調達することができなければ、来年度に実施する予定だった船橋市の事業に大きな影響を与えます。それだけは避けたいと思います。

 

確かに、上記の審議会が考慮する2つの要件は理にかなっていますし、道理上は船橋市は(2)の要件を満たさないため、審議会と総務大臣、そして千葉県知事が、船橋市の市債発行を認めてくれない可能性はあります。しかし、名古屋市のように市長の政策判断で意図的に減税をしている自治体とは違い、船橋の場合は、行政のミスによる結果的な減税です。船橋市が市債を発行できなければ重大な影響が出ることは必至ですので、そのあたりは、審議会も総務大臣も知事も理解・租借してくれるのではないでしょうか?

 

そうなると、「来年度市債を発行できなくなる可能性があるから」という理由をもって、今臨時会での議案を通してくれというのは、根拠として弱い気がします。

 

このあたりをもっと調べる時間が、議会にも執行部にも必要だろうと思います。

このことも含めて、今回の議案には、やはり慎重になって、もっとしっかり調査するべきだと思います。その上で結論を出さなければ議決できない議案だと思いますので、私は、今回の「継続審議」という議会の判断を支持します。

 

それにしても、今回のミスは、市民の皆さんの、船橋市の税務行政への信頼を大きく損なってしまった重大な事件であり、今後、船橋市には、その信頼回復に全力を尽くしていただかなければならないと思います。

 

2017年10月28日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ