皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

現在開会中の船橋市議会平成29年第2回定例会における市民環境経済委員会が、本日行われ、委員として出席しました。本日の委員会で審査された議案は、10号「船橋市客引き行為等防止条例」と14号「損害賠償の額の決定及び和解について」の2案でした。

 

このうちの第10号「船橋市客引き行為等防止条例」について、私は1年前から調査研究を行い、りょうCaféでも取り上げて、市民の皆さんと直接議論してきた関係もあり、並々ならぬ決意で審査に臨みました。

 

まず、結論から申し上げますと、本条例案については、日本共産党と研政会(私が所属する会派)以外の賛成多数で可決されました。私は、継続審査を希望しましたが、否決されてしまいましたので、やむを得ず反対という流れになりました。

 

私がなぜ、本条例案(議案)について反対せざるを得なかったかという理由を以下に書かせていただきます。なお、この主張は、私が、本日の委員会にて「反対討論」として示したものです。

 

本議案には改善の余地が残っているため、今回の条例案には反対をせざるを得ないという立場から討論をさせていただきます。

 

 議案質疑や本日の委員会にて明らかなったことですが、本条例には4点の不備があるものと考えます。

 

 まず1点目は、本条例の重要なステークホルダーである「市民等」に対するニーズ調査、需要の把握が不十分であったことです。そもそもニーズが無ければ本条例は必要ありません。「市民等」というのは、条例にも定められている通り、「市内に居住し、勤務し、通学し、もしくは滞在し、又は市内を通過するもの」です。本来であれば、これらの人々から幅広くニーズ調査を行わなければ、本条例の需要もわからないところを、地元の商店会や駅周辺地区の町会連合会等といったほんの一部の「市民等」からしかニーズの把握を行っていないことに大きな瑕疵があると考えます。パブリックコメントを実施したとおっしゃるかもしれませんが、パブリックコメントでは幅広い市民の意見を求められないことは、これまでの経験から、執行部の皆さんこそが誰よりもご存知のことと推察します。実際の市民等の皆さんには、客引き行為自体、そして、本条例に対して様々なご意見があります。行政からの、より積極的なアウトリーチにより、もっと幅広い意見収集と事前の合意形成を図ることができたと考えます。

 

 2点目は、これまた本条例の重要なステークホルダーである「事業者等」、特に、本条例で、指導、勧告、公表、過料といった規制の対象になる可能性のある事業者、つまり、すでに船橋市内で客引き行為等を行っている事業者に対する事前の周知やアプローチが不十分であったことです。私の感覚では、いきなり条例を作って取り締まるというのはあまりに乱暴な話であって、少なくとも関係者に対しては、事前に周知や説明があって然るべきだと思います。仮にも5万円という過料を科す可能性のある規制条例です。すでに客引き行為等を行っている事業者を把握していたにもかかわらず、事前に何のアプローチも無いまま条例の制定に踏み切ってしまうというところに、私の感覚からは違和感を覚えます。もちろん、条例の公布後、施行までの約3ヶ月間を周知のための期間としていますが、あまりに短いと考えます。やはり、条例制定に対する事前の合意形成と雰囲気の醸成が何より大切だったと考えます。

 

 3点目は、現時点で費用対効果が不透明であることです。今年度は条例の周知と職員による指導等を重点的に行うとされておりますが、それら周知と指導にかかる明確な費用が示されませんでした。さらに、来年度以降になると、今年度の状況を検証した上で、業務委託などの方法を検討するとおっしゃっておりましたが、これまた具体的な費用は示されなかった。条例案が上程されているのに、その条例を施行するにあたってかかる費用がわからないというのは問題ではないでしょうか?そして、これは他議員からの指摘ではありましたが、土地や店舗場所の提供者等の契約解除規定や立ち入り調査時の撮影規定、条例順守の誓約書の提出を求める規定の整備など、条例の実効性を高めるための施策を考える余地はまだまだあります。このままでは、費用対効果が不明であるのみならず、本当にこの条例が実効性を持つのかという点に大きな不安が残ります。

 

 最後の4点目は、本条例の条文の中身に再考の余地があるということです。他議員による議案質疑の内容からも明らかになったように、本条例は、その適用に際して、条文の解釈をする人により、市民や事業者の権利を侵害してしまう可能性を完全には排除できません。そのことを防ぐために、「この条例の適用に当たっては、市民等及び事業者の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」といった条文を設けている先進自治体も多くあります。もちろん、この条文で規定されていることは当然のことなので明記する必要は無いという意見もあると思いますが、このことが当然だとわからない市民や事業者の方々も大勢いらっしゃることと推察します。自分たちの、役所のスタンダードで物事を考えるのではなく、多くの市民や事業者の皆さんにとって、より丁寧でわかりやすい条例とするために、このような条文はあった方が良いと考えます。さらに、3点目の費用対効果の部分で提言した、条例の実効性を高めるための施策についても条例にきちんと盛り込むことが適当であり、こういった点を踏まえても、本条例の条文について再考の余地があるものと考えます。

 

 我が会派としては、本条例には、以上4点の不備があるものと考えます。条例の趣旨に反対するものではないのですが、より良くできる可能性がまだ残っていると判断する議案に対して賛成することはできません。執行部の皆さんには、これらの不備を補った上で、再度上程してきていただきたいと考え、反対の討論といたします。

 

 なお、本条例の制定までの過程においては、市民環境経済委員会が平成27年12月より深く関わっており、船橋市商店会連合会や安全推進協議会などとの意見交換会や、本条例に関する先進自治体である千代田区への視察など、精力的に活動されていたと伺っております。その点について敬意を表しつつ、今後は、二元代表制の一翼を担う議会の「自治立法機能」の向上を図るべく、同様の案件に関しては、委員会または議会側からの発議も期待する旨、付言させていただきます。

 

2017年7月19日 船橋市議会議員 石川りょう

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