皆さん、こんにちは。

8月になったというのに、千葉県船橋市はまるで梅雨のような天気です。

 

さてさて、本日81日、私は野田佳彦前首相の講演会を拝聴してまいりました。そして、この講演会をさらに充実して聴けるようにするために、前日には「素志貫徹~内閣総理大臣野田佳彦の軌跡」(松下政経塾著)を読んでのぞみました。

 

同じ千葉県船橋市出身でありながら、野田さんのお話を今日のようにしっかり聴ける機会は今までありませんでした。お話を聞かせていただいた感想は、ただ一言、「立派な方だな」と思いました。

 

皆さん、野田さんが「どじょう宰相」と呼ばれていたことをご存知でしょうか?これは彼自身が自分のことを「どじょう」に例えた発言から命名されたものです。20118月の民主党代表選に際して行われた演説で、相田みつをの「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」という言葉を引用して、野田さんは「どじょうはどじょうの持ち味があります。金魚のまねをしてもできません。赤いべべを着た金魚にはなれません。どじょうですが、泥臭く国民のために汗をかいて働いて、政治を前進させる」と言ったのです。

 

失礼ですが、確かに、野田さんに派手さは無いかもしれません。しかし、間違いなく「最強のどじょう」だと思います。

 

私は、まだまだ全然野田さんのことを知りませんが、本日のお話と、「素志貫徹」の本、そして、ニュースや新聞といったマスコミを介して得た情報から、恐縮ながら野田さんを表すとすれば、①信念の人、②大忍の人、③演説の名手だと思います。

 

(1)信念の人:野田佳彦

野田さんは、間違いなく「信念の人」だと思います。その判断が正しいか否かは別として、「税と社会保障の一体改革」により、消費税増税に道筋をつけたということだけでも、並のポピュリスト政治家とは一線を画しています。「日本のため、国民のために本当に必要な政策だと考えたのであれば、自分が次の選挙に落選しようとも、実行しなければならない。」これは私自身が描く理想の政治家像であり、政治家はこうでなければならないと思います。野田さんは、まさに私が描く理想の政治家像を体現されている方です。

 

そもそも、野田さんは、腐敗した金権政治をペンから変えたいと思い、学生時代はジャーナリストを志していたそうです。それが、大学卒業を間近に控えていた矢先、経営の神様・松下幸之助が開いた松下政経塾の存在を知ってしまった。今でこそ有名な松下政経塾ですが、このときは発足直後。つまり、野田さんは第一期生になったのです。

 

この松下政経塾での5年間の様々な経験を経て、野田さんには自らが政治家になることを志す覚悟が出来たのです。当時は、地盤(組織)、看板(知名度)、鞄(資金)のいわゆる三バンが無ければ政治家になどなれなかった時代。そのような時代にあって、かなり勇気のある決断だったことと想像します。これも野田さんの「信念」によるものだと思います。

 

松下政経塾時代の野田さんの「信念の活動」の中で、私が特に「すごいな~」と思った一例を紹介させてください。

 

野田さんの描く理想の政治家像は、「台所から教育を、路地裏から都市政策を語れる政治家」なのだそうです。つまり、国民に近く、国民一人ひとりの声をしっかり聴ける政治家になりたかったのです。そのために、自分のまち(船橋)をじっくりと歩いて見てみたいし、じっくり町の人と話をしてみたいと考えて、ある行動を起こしたそうです。想像できますか?

 

なんと、一軒一軒の家を、「ガス漏れ点検」してまわったのです。いきなり、一人の青年が自分の家を訪ねてきて、「政治の話をしたんですけれども~」とか、「私の話を聞いてください」と言ったって、怪しいだけですよね?絶対に家にあげませんよね?私なら絶対に嫌です!しかし、「無料のガス漏れ点検です」ということであれば、喜んで家にあげるでしょう。ガス漏れ点検をし終わった後に、野田さんは、台所で、主婦や高齢者の方々と、自分の政治信条や、国民が望む政治や政策について話したり聞いたりしたそうです。ここからたくさんのことを学んだそうです。そうして自ら見聞きしたこと、考えたことを手作りの新聞にまとめ、毎月市内に三千部ずつ手配りをしてきたということなのです。

 

ある主婦の方と話をしていたとき、突然その方は、「あなた、是非政治家になってください」と言ったそうです。別に野田さんが政治家を志しているとか、そういうお話をしていたわけではありません。世間話を通じて自分が考えているまちづくりとか、教育の話について一生懸命、率直に語っていただけだったのです。しかし、ようやく松下政経塾入塾以来5年目にして、少数ではあるが、政治家になってくださいという声を聞けるようになってきた。このとき、野田さんは、基本はこれだなと思ったそうです。すなわち、いたずらにテクニックに走るのではなく、率直に自分の思っていることを一生懸命語ること。そして、一人、二人と心の底から私利私欲なく応援して下さる方を作っていくこと、これだと思ったそうです。

 

このエピソードを読んで、私は本当に感動しました。同時に、私にもこのやり方しかないと思いました。ここに野田さんの原点が詰まっている。今の私と同じだ。あとはこれを、私が野田さんのようにやるかやらないかで、私と野田さんの差がでる。想いだけでやらなければ、私は野田さんに絶対に勝てない。想いも一緒で野田さんと同じことができれば同じ器。しかし、野田さんよりもっと実行できれば私は野田さん以上になれる。そうならなければいけないのです。

 

(下)に続く。

 

201381日 石川亮(いしかわ りょう)