第21章(上)からの続きです。

先にビジョンありき」でない政党は淘汰され、自然と収斂されていくと思います。強い野党とは、そのときに初めて成立するのではないでしょうか。この文脈から、私が民主党の代表(海江田万里現代表になりそうですが)に期待するのは、代表の明確なビジョンを民主党の揺るがぬビジョンとして示すことです。このビジョンに賛同する人だけが今後の民主党を構成するべきです。そうでない人は、離党するなり、新党を立ち上げるなりするべきです。

 

このような言い方をしたくありませんが、私は、民主党は寄せ集めの政党だと思っています。ただ自民党に対抗できる巨大政党を作るという大義名分のためだけに結集した箱だと思っています。様々な(中には対立する)イデオロギーが混ざり合った、とても一つにまとまることのできる政党ではなかったのです。

 

民主党が真に一つの明確なイデオロギーを持つ政党になったほうが、現在の民主党議員にとっても良いことだと思います。民主党には、野田前首相、岡田元代表、前原元代表、玄葉元外相など素晴らしい政治家もたくさんいます。民主党の代表が、一つのビジョンを示すことによって、この人たちも態度を決められるのです。そのビジョンに共鳴して一緒に頑張る。あるいは、自身の考えとは異なるため離党して、より考えの近い他党に合流する。または、自身のビジョンを明確に打ち出して、新党を立ち上げる。民主党議員たちを現在の民主党というイデオロギーのるつぼの中に閉じ込めておくことは不幸だと思います。

 

そうなった上でも、引き続き自民党のイデオロギー、ビジョンが圧倒的多数を得て支持を集めるのであれば、それが現在の日本人を引きつけるイデオロギーであると同時に、民意でもあると思うのです。

 

ただ私は、自民党は一つのイデオロギーやビジョンによってまとまっている政党ではないと思いますし、今民意を獲得しているビジョンは、安倍首相とそれを取り巻く一部の自民党中枢の人たちのものだと思います。自民党内のその他の政治家は、今は圧倒的な勢いを得ている安倍首相だから自民党に付いているだけだと思います。

 

こんなことは言いたくありませんが、仮にアベノミクスが失敗するようなことがあれば、自民党がもう一度、以前のように野党に失墜するようなことがあれば、現在の自民党の政治家たちも、自分のビジョンに近い政党に鞍替えをする(もちろん、ビジョンや意思などなく、そのときに強い政党にただなびくだけの政治家もいると思いますが)。その時にこそ政界再編が起こり得ると思います。

 

「一強多弱」の状態に焦って無理やりくっつくのではなく、是非とも野党には、このような時だからこそ、ビジョンありきで勝負(再編)していただきたいものだと切に思います。

 

2013724日 石川亮(いしかわ りょう)