今日の千葉県船橋市はどんよりと曇っていますが、雨は降らないそうです。昨日も一昨日も晴れていて、梅雨の中休みでしょうか。個人的には雨は降らないほうが嬉しいですが。

 さてさて、Twitterではすでに投稿させて頂きましたが、5月31日の合否発表で、ありがたいことに早稲田大学政治経済学術院公共経営研究科に今年の9月から通えることになりました。自身のことを「積極的ニート」などと呼んで、なんとか鼓舞していたいのですが(笑)、やはり所属先が無い状態というのは心細いものですね。(9月までだいぶ時間はありますが)決まって良かったです。

 日本国内の他の公共政策大学院ももちろん調べましたが、早稲田の公共経営大学院を選択した理由は、松下政経塾等の私塾ではない大学法人の中で唯一(私の調査が足りず、他にもあるかもしれませんので断定できないのですが)、本当に政治家を育てようとしているなと感じたからです。はっきりと大学院の指導方針の中にも、「公務員や国際機関、NPO/NGO、シンクタンク、政治家を志望する人に適したカリキュラムです」と記載されているのです。公務員や国際機関等について書いてある大学院はたくさんあるのですが、ここまではっきりと「政治家」と書いてある大学院はありませんでした(政策決定者等と書いてある大学院はたくさんありますが、大分ぼかしてありますよね?)。カリキュラムもそうで、東大や慶応は、確かに「政治学」や「行政学」、「地方自治」、「地方分権」等のアカデミックな講義はあるのですが、早稲田の場合は、そこにプラスして地方自治体でのインターンシップや、地域活性化・地域再生等のフィールドスタディ、そして「都市再生」等のケーススタディ等、地方議員を志す私には大変魅力的な科目や実習が充実しているのです。普通2年間で卒業するところを、私は1年制のコースなので、かなりハードな1年になるとは思うのですが、先日入塾した政策学校「一新塾」やこれから入会する予定となっている船橋青年会議所の活動と合わせて、松下政経塾の4年間に匹敵するくらいの、地元に密着した密度の濃い時間を過ごせるものと期待していますし、自分でそうしなければならないと決意を新たにしているところです。

 初心を忘れないために、なぜ私が早稲田大学公共経営大学院を志したのかをまとめて胸に刻み込んでおきたいと思います。

  大学卒業後の約10年間の大半を、海外での業務、生活及び学業に費やしてきて、改めて日本の素晴らしさと共に、自分は日本及び生まれ故郷である千葉県船橋市に強い愛着があるのだと実感した。しかし同時に、危機感を感じたことも事実である。幼少から英語を学び、臆することなく自分の意見を雄弁に語ることのできるケニア人。IT、英語及び専門知識を活かして一生懸命働く有能なフィリピン人。遠いスーダンの地にまで資源やビジネスチャンスを求めてやってきて、自動車や電化製品を売りまくる商魂たくましい韓国人。世界中にチャイナタウンを作り、彼らの姿を見ない国は無なかったバイタリティ溢れる中国人。外交及び国際協力の世界でも常に議論をリードし、自国の戦略に沿った新しいスタンダードを作っていく欧米人。このグローバル化の時代にあって、内向きになり、積極性を失ってしまった日本人が世界の舞台で彼らと太刀打ちできるのだろうかと危惧している。

 他方で、国内に目を向けると、地方自治の重要性及び必要性が声高に叫ばれ、右を目指す若く有能で影響力のある地方自治体の首長はじめ議員が続々と誕生している。私自身、今後の我が国の成長のためには、地域のことは地域で考え、独自性を活かして、各地域が切磋琢磨していく地方分権化時代が到来することと確信していると同時に、必要なことと考えている。地方自治の下では、これまで中央政府に任せておけばよかったことも各地域で考えて決定していかなければならないことになり、一人ひとりの市民(国民)にとって政治がより身近なものになると同時に、地域間同士の競争が促され、より魅力的な政策を打ち出せる地域には人が集まり発展するが、できない地域は衰退していってしまうと考える。

 この現状に対してただ指をくわえているわけにはいかない、何か自分がやるべきこと、貢献できることはないかと常に考えてきた。その中で辿り着いた一つの結論が、「日本人一人ひとりのレベルアップに貢献したい」ということだった。国民一人ひとりが、私たちの生活及び社会の基礎である政治や行政に関心を持ち、参加することを通じてレベルアップを図ることができると考えている。すなわち、政治や行政に関心を持つことにより、日本全体のこと、日本が世界で置かれている立場、また自分が生活する地域やコミュニティのこと等について勉強するようになり、現状への問題意識や将来への希望等を持つようになる。これに対して自分ができること、すべきこと等を真剣に考えるようになり、努力して、行動を起こすようになる。私の考える日本人一人ひとりのレベルアップとは右を通じて情報収集力、思考力(考える力)、行動力、そして努力する力を育てることである。政治や行政という分野の特性上、自分がすべきことやできることを実行する場合、それは地域やコミュニティとの協働になることが多々あると考える。このように国民一人ひとりが考えて、行動を起こすことにより、市民活動やコミュニティ活動が隆盛し、地域の活性化が促されるとともに、近所付き合い及びコミュニティ内のコミュニケーションが活発化されて人情味溢れる絆の強い地域の再生も期待できる。活性化した地域の増加が、ひいては日本全体の成長をけん引するものと私は考える。

 しかし、上記は自然と起きるものではない。必要なのは、国民が政治や行政に関心を持ち、参加するためのきっかけ作りであり、これを作るためのキーワードが「参加型」だと考える。私は、これまでの約10年間、世界各国で実施し、培ってきた参加型ワークショップの知識と経験、そして大学院在学中に徹底的に学習したいと考えている他の政治家、地方自治体及び国家による参加型の取組み手法を実践して、このきっかけを創出することの出来る政治家、あるいは市民活動家として「公共」に携わっていきたいと考えている。最初は私の地元である千葉県船橋市から取組みを始め、徐々にその流れを広げていきたい。

 とは言うものの、私はこれまで政治や行政に携わった経験の無い素人である。したがって、公共経営大学院にて、まずは政治学や行政学、そして最新の地方自治及び分権論等につき学際的に学びたい。そして、大学院生という立場を活かして、市民や役所、現職議員等の協力を得て、参加型ワークショップを実践し、市民の考え方、アイデア、そして本音を引き出したい。これを修士論文の中で市政への提言及び私自身の政策として昇華させることにより、千葉県船橋市議会議員を志す心積もりである。また、市民の声を引き出す中で、緊急性があり、市民の意識も高く、実現可能性も高い事業案ができあがれば、それを基に、市民活動としてNPO等の組織を立ち上げることにより、その事業の実現及び組織の育成に携わりたいとも考えている。いずれにしても、大学院で得る知識及び在学中に実施するワークショップでの経験を活用して、市民の参加を促し、地域の活性化及び市民一人ひとりの成長に貢献したいと考えている。

もちろん現実は厳しく、残念ながら政治や行政を政府及び役所任せになってしまって久しい多数の市民を、手間も時間もかかり、ともすれば「面倒くさい」と感じられるワークショップに参加してもらうこと、そして、主体的に行動を起こしていけるマインドセットに変えることは容易ではないと覚悟している。しかし、諦めずに市民にその重要性を説明し、「参加」を促していく媒体になることこそが、これまでアフリカ及びアジア諸国を飛び回り、国際開発の世界ではあるものの、様々な人種、国籍、文化、考え方を持つ人々の考え及びアイデア等を引き出し、プロジェクトを創出してきた私にできることであり、今後「参加型」が強い国民と活力ある地域・日本を実現するためのキーワードになるものと信じている。

2013年6月2日(日) 石川りょう