おはようございます。今日の千葉県船橋市は朝から曇っていますね。昨日の天気予報では、今日からいよいよ関東も梅雨入りか?ということでしたね。

 そんなぐずついた天候の下、今、国会では生活保護法改正案が審議されているようです。今回の改正では、受給申請する際に収入や資産などを記載した書類の提出を義務付けた規定になるところだったのですが、口頭での申請も認めることで合意される見通しになったということで少し安心しています。

 日本の生活保護受給者は、215万5,218人(2015年2月時点 厚生労働省)。この人数だけでもこんなにいるのか?と驚いてしまうかもしれませんが、OECDが発表しているデータ(2011年報告書)を見ると、日本の貧困率は国際的にみても高く、OECD加盟国平均が11.2%であるのに対し、14.9%もあるのです。生活保護を受けられる世帯のうち、保護を受けている実際の割合に関する国の調査結果は存在していないのですが、右貧困率を考えると、本来であれば生活保護を受けるべき人たちの数はもっともっと多いものと考えます(28日付の朝日新聞の30面によりますと、厚労省が2010年に推計したところによると、保護水準の世帯のうち未受給は229万世帯にも上ったそうです。現在の数の倍になってしまいます・・・)。本来、生活保護を受けられるはずの人々が受給できていない。そして、厳しく苦しい生活を送っている。これは由々しき事態です。なぜなのでしょうか?

 大きな理由の一つに、生活保護はダメな人が受けるもの。「恥ずかしい」という恥の概念があると思います。有名芸能人の親族が生活保護を受けていたという報道もあり、大バッシングを受けていましたね。こういうことも手伝い、「生活保護」=「悪」というイメージが今の世の中の大半を占めているのではないでしょうか。もちろん、上記のような、近しい親族に裕福な人がいるにもかかわらず、生活保護を受けているというのは議論の余地が大いにあると思います。しかし、人と人との絆やつながりが薄れ、親族であっても情けが薄れつつあるこの「無縁社会」において、果たして家族だからといって無条件で助け合えるのでしょうか?もちろん、私ならば親族にそういう人がいれば支援しますし、仮に私がそうなってしまった場合でも、うちの家族は支援してくれると胸を張って言えます。しかし、そういう家族(親族)がすべてではないこともまた事実なのだと思うのです。

 適切に運用されるならば、受給者の自立のために、生活保護は必ず必要な政策だというのが私の考えです。単なる社会的セーフティネットとしての役割のみではなく、「誰もが健康で文化的な生活を送ることができる」という憲法にも謳われている権利、人間の尊厳のためにもです。

 私は、だからこそ、個々のケースをマンツーマンでしっかりと審査、チェックできるケースワーカー(生活保護の申請があった場合、申請者の身辺を調査して受給資格があるか否かを判断する人)がもっと必要であり、生活保護受給のための審査をしっかりと行ってその透明性及び説明責任を高めることが重要だと思うのです。生活保護受給のための審査は、申請書類一枚や口頭での面接だけで決められるほど簡単なものではない。一人ひとりの申請者の状況によってまったく違うもっと俗人的なものだと考えるからです。

 通常、このようなケースワーカーは各市町村の役所に配置されています。しかし、圧倒的に不足しているのが現状です。一応、国の基準で、生活保護世帯80に対して一人を配置しなければならないと社会福祉法で定められていますが、9割の自治体が同基準を満たしていません(これは船橋市も同様で、平成24年2月時点で、生活保護受給者が8,654人いますが(平成25年5月14日付 船橋市HP)、ケースワーカーの人数は77人で足りていないというのが船橋市生活支援課の回答でした)。私は、個々の事例をしっかり検証し、生活保護受給基準の透明性を確保するためには、現在の80世帯に一人という配置でも足りないと考えていますので、もっとケースワーカーを増やす必要があると考えています。

 現在の不況下で、公務員の人数や待遇について厳しい議論が行われています。潮流は、間違いなく公務員の人数削減と給与の引き下げです。しかし、ただ単に公務員の人数を削減すればいいのでしょうか?もちろん、業務に対する適正な人員配置や、給与をはじめとした待遇の見直し等はしっかりと行うべきだと思います。しかし、右を行った上でも本当に必要であり、組織改編を行った上でも人数が不足するようであれば、公務員の人数を増やすことだって必要なはずです。私自身が公務員を経験したことがあるからというわけではありませんが、世の中の人たちが言っているほど公務員の仕事は楽ではないと思います。私も一部しか知りませんが、本当によく働いていると思います。ケースワーカーに関して言えば、専門的な知識や経験も必要となりますので、今後は、そのような専門性をもったNPO法人や市民ボランティアの力を借りるといった取り組みも必要となるのではないかと思います。

 生活保護の受給は悪。決してそんなことは無いと思います。生まれ育った生活環境、勤めていた会社が倒産したなどの社会事情・・・いろんなことがあると思うのです。生活保護を受ける人の努力が足りない?絶対にそれだけではありません。

 私であれば、まずケースワーカーを増員する。のみならず、研修や専門知識をもつNPO法人等の力も借りて彼らの業務の質を上げ、申請者と共に、マンツーマンに近い形で、書類だけでなく、状況をしっかり調査してもらった上で支給の判断を行う。そうすることで、真に必要な人が自立のために受給できるようにする。受給者にはケースワーカーがその後もきめ細かな監督や指導を行い、確実に自立を支援して実績を上げる。そうなれば審査の透明性が高まるし、生活保護に関する世の中のイメージも改善していくのではないでしょうか。排他的な社会より、優しく包み込んで自立を支援する社会。私は後者を望みます。