![yuuhi](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/21/0000061221/43/img2f0a3c425h0pbk.jpeg)
西岸良平の言わずと知れた代表作。
古き良き昭和30年代の町並みや生活を描いたほのぼの漫画。
ビッグコミックオリジナルで長期連載されていた。
最近、堤真一や小雪が出演する映画
「ALWAYS 三丁目の夕日」で実写版として公開。
..学生の頃、友人から「読んでみない?」
って「三丁目の夕日」の単行本を数冊貸してもらった。
すごく面白かったのを覚えている。
..僕らが幼い頃は近所の人が仲がよかった。
僕らは3歳くらいでも、まったく安全に外で遊べた。
遠い記憶だけど、知らない大人からよく叱られた。
「道路へとびだすな!」とかね。現代よりも人の心と
心の距離が近かったかもしれない。
さて、漫画「三丁目の夕日」だけれど
印象に残っている話がある。
☆
昭和33年ごろ。テレビも家庭に普及していなかった。
..季節は冬。もうすぐクリスマス。
父ちゃんは季節労働者。この寒い時期には仕事が
ないので、家で酒を飲んでごろごろしてる。
だからいつも母ちゃんとケンカばかりしている。
僕と弟はいたたまれなくなって、外へとびだすのだ。
僕と弟は小学生。家にテレビがないので
近くの電気屋さんまで見に行くのは楽しみだった。
ショーウインドウにへばりついて
テレビを見る。なにやら外国のドラマだ。
テレビの中の家族はとても仲がよく..
綺麗なお母さんが作る豪華な食事。
クリスマスなので飾り付けられたツリー。
可愛いドレスをきた幼い子供の手には
大きな箱のプレゼントが。
「兄ちゃん..あれなあに?」
弟は見たことも無い、煌びやかなシーンに
何度も僕にたずねた。
「(..あーあ。僕もあんなお金持ちの家に
生まれたかったなぁ..)」
いつも、かなわぬ夢を描いたものだ。
......
ある日の朝、なぜか上機嫌な父ちゃんの姿が
あった。ひさびさ競馬に勝ったらしい。
「おー坊主ども、きょうは外へ飯を食いにいくぞ!」
「母ちゃんも早くしたくしな。」
ニコニコ笑顔でそう言われて、母ちゃんも困惑気味だ。
はじめての外食!
..胸おどらせて、町へ出る僕ら。
母ちゃんが近くのラーメン屋を指差して。
「ここでいいよ..。」
「なに言ってるんだい。あっちのレストランへ行こう。」
父ちゃんは母ちゃんの手をとっていった。
..初めて見るレストランはなんだか別世界に見えた。
そこで食べたハンバーグステーキ。すごい!うまい!
弟が
「..あのテレビでみた親子みたいだね..。」
「そうだな。ほんとうにそうだね。」
僕らは最高にしあわせだった。
............
..それから1ケ月後。父ちゃんは死んだ。
酒に酔って、道で寝ていて車に轢かれたのだ。
母ちゃんは 号泣していた。
僕ははじめて母ちゃんは父ちゃんを
大好きだったのだと知った。あんなにケンカばかり
していたけど。
...あれから、多くの時が過ぎた。
僕にも今は家庭がある。
あの時のように貧しくは無い。ハンバーグステーキ
くらいいつでも食べられる。
でもあの時食べたハンバーグの味が一番だった
っていまでも、そう思うんだ。
☆