地域の旧道を歩くと、道の辻や三叉路に自然石で出来た「道祖神」(どうそじん)や「庚申塔」(こうしんとう)と字彫りされた石、また「二十二夜供養塔」を見かけます。今回はこれらの石造物について髙山勇氏調査の「南八幡地区石造文化財調査表」に基づき山名地区を散策しました。

なお、現存する石造物は多数あります。記載のものは全体のごく一部です。

 

1 金井沢碑入口  道祖神

 

2 金井沢碑入口  念仏供養塔 庚申供養塔

  

3 中っ沢渕    二十二夜供養塔

 

4 寝小屋駅近く  二十二夜供養塔

    

5 下組      馬頭観音・庚申供養塔

6 下組 商科大近 青面金剛供養塔・観世音菩薩

 

※文字等の道祖神 一般的には自然石や角柱に「道祖神」の文字を彫ったものが多い。「塞神」「岐神」も同じ道祖神です。

 

※庚申塔 中国の道教では人体に3匹の虫、三尸(し)が宿っているといいます。この虫は60日ごとに来る庚申の日の夜に、寝入っていた人体を抜け出し、天帝に宿主の罪業を報告します。庚申の日に宿主が寝なければ三尸は人体を抜け出せない。そこで 庚申の晩は当番の家に集まり不眠で過ごすことで三尸の報告を阻止して治病・長寿を得る庚申待ちの行事を行いました。その祈念碑として庚申塔があります。

 

二十二夜塔 二十二夜待(講)は「二夜様」と呼ばれ、女人講となっています。二十二日の夜に人々が集まり、飲食を共にして月の出を待つ行事です。主尊は如意輪観音を刻んだ塔が多い。

如意輪観音の「如意輪」とは、「車輪をもつ如意宝珠」の意で、「車輪がどこへでも転がって行くように意のままにどこへでも現れて衆上を救う」観音という意味です。右手は「ロダンの考える人」のようなポーズをとる。これは地獄道に堕ちた衆生を如何に救うべきかを考えている思惟の姿です。左手は修羅に堕ちた衆生救済のため不動の山を押して、それを鎮めるという意味です。

 

※青面(しょうめん)金剛 室町時代に僧侶などが「庚申縁起」と題する文書を作りました。こは道教の三尸説に仏教思想を加えたもので、これが日本の庚申信仰の基礎となります。忿怒相で、多くは六臂(ろっぴ)、その功徳は治病・延命や貧苦・災難除け、現当二世安楽等です。

 

※馬頭観音 江戸時代、牛馬は農耕や輸送の手段といて家族同様に扱われてきました。「馬頭観音」は牛馬の無病息災、長寿安産などを願う供養塔です。

 

参考資料:南八幡地区石造文化財調査表