昔々、人間のように話ができる鳥を捕まえた狩人がいました。「もしも私を放してくだされば」と鳥は訴えました。「私は貴方に三つの賢いことをお教えいたします」。

 

 

「それを教えてくれ」と狩人は言いました。「そうすればおまえを自由にしてやる」

「第一のことは」と鳥は言いました。「自分のしたことを決して後悔しないこと、第二は可能でないことは信じないこと、そして第三はあなたの目線を高い所に置かないことです」

「良く教えてくれた」と狩人は言って鳥を放しました。鳥はすぐさま木の上に飛んでいくと、くちばしを開いて言いました。

「おバカさん、なぜ私を放ってくれたの?私の餌袋には百万ドル以上の価値のある真珠が詰まっていたのに!」

これを聞いた狩人は、その木に登って枝から枝に飛び移り、追いかけまわしたが、ついには落下し、脚を折り、全身がすり傷だらけになってしまった。

「おやおや、おバカさん」と鳥は言いました。

「あなたは私があげた三つの助言のどの一つもまじめに受け止めていないのね。自分のしたことを決して後悔しないと助言しましたよ。なぜあなたは私を自由にしたことを後悔しているの?可能でないことを信じてはならないと助言しました。ではなぜ私の餌袋に真珠が詰まっているなどということを信じたの?自分の目線を高い所に置いてはならないと助言しました。なぜ、あなたは木の上に登ろうとしたの?」

 

 

この寓話の一つ目は「後悔しない」ことです。後悔は過去を変えようとすること、反省は未来を変えようとすることです。過去は変えられない。変えることにとらわれて、自分の思考方法や行動を嘆いても仕方がない。二つ目は、「可能でないことを信じない」ことです。三つめは「自分の目線を高い所に置かないこと」です。これは、解釈の幅が広い助言です。「志は高くても、常に目線は低く、地道に生きよ」という教えもあります。貴方はどう思いましたか。

 

参考文献《物語は、「座右の寓話」(戸田智弘)を参考にしています。イラストは、インターネット上に掲載されているフリー画像を使用しています》