昔々あるところに旅のお坊さんがいました。そのお坊さんが道を通りかかると、蛇が雀を丸飲みしている場面に遭遇しました。雀はお坊さんを見かけると「お坊さん助けてください。私はもっと生きていたい」と命乞いをしました。

 

              

気の毒に思ったお坊さんは、蛇に向かって「お前は腹が減っているだろうが助けてやってくれないか」、「その代わりに私の腕の肉をやろう」と言いました。それを聞いた蛇は、命の天秤というものを取り出し、「お坊さんあんたの肉をこちら側に乗せてくれ、反対側にはこの雀を乗せよう。もし貴方の肉がこの雀より少しでも重かったらそれで勘弁してやる」と言いました。お坊さんは「分かった」と言って、痛い思いをしながら腕の肉をそぎ取り、雀の反対側の天秤に乗せました。

 

ところが、雀の方が重い。お坊さんは「おかしいな、雀よりかなり多くの肉を削ったのに、もっと肉を削ろう」と言って、肉を削ったのだが、それでも雀の方が重かった。天秤の横で蛇はニャニャ見ている。お坊さんは「しょうがない」と言って、片腕を切り落として天秤に乗せたが、それでも、雀の方が重かった。そんなはずはないと、お坊さんは自分が天秤に乗りました。そうしたら初めて天秤は釣り合ったのです。その様子を唖然としてみていた蛇はお坊さんに「お前たち人間は何て傲慢なのだ。雀の命と、貴方の腕の肉では釣り合うわけがない。貴方の命と雀の命。命は同じだ。貴方たち人間はいつも傲慢な取引を持ち掛けてくる」と言い、蛇は雀と腕の肉を飲み込んで去って行きました。

 

 

この話から、社会においては色々な取引を持ちかけたり、提案があるが、本当に相手の必要としているものと釣り合っているか、どこか傲慢な取引を持ち掛けているのではないか。そんなことを連想させる話でもありました。

 

参考文献《物語は、インターネット上に掲載されている動画を基にアレンジしています。イラストは、インターネット上に掲載されている無料画像を使用しています。》