高崎市綿貫町の県立歴史博物館第99回企画展「集まれ!ぐんまのはにわたち」展に、東日本初公開の埴輪『正装男子』の埴輪が展示されています。この埴輪は今まで、専門家・研究者にすら知られておらず、図書や書籍など刊行物にも全く登場していなかった、幻の人物埴輪で、いくつかの特徴から群馬県地域産の埴輪である可能性が極めて高いと考えられます。

 

集まれ!ぐんまのはにわたち展

 

【正装男子】正装する男子の全身像で、見事な出来栄えです。腰に見える鈴のついた帯や、ズボンの脚結(あゆい)の鈴などの特徴的な表現などは、群馬県の前方後円墳から出土する例と共通します。手の籠手や、腰の左につけた大刀の丁寧な表現も目を引きます。ズボンの鮮やかなデザインは、伊勢崎市安堀町の挂甲武人とよく似ています。(伝・群馬・6世紀後半、奈良国立博物館蔵)

 

 

【挂甲武人(けいこうぶじん)】頭に衝角付冑をかぶり、胴部に挂甲(小札甲)をまとった、武装人物です。左手は弓を持ち、腰には大刀を佩(は)き、胡ろく(腰に下げる矢筒)を下げています。脚は赤や白の色彩と線刻で鋸歯文(三角形の模様)をデザインした袴をはいています。実は国宝の挂甲武人(東京国立博物館蔵)と極めてよく似ていて、同じグループの工人の手による可能性が高いとされています。「伝・伊勢崎市安堀町・6世紀後半、国立歴史民俗博物館蔵」