平成21年度第2次補正予算案の編成をめぐる政府・与党内調整では、少数政党の国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相の言動に振り回される鳩山由紀夫政権の脆弱さが浮き彫りになった。
「連立大事にしなければ元の木阿弥」と鳩山首相
4日夕、第2次補正予算案など新たな経済対策を検討する基本政策閣僚委員会に出席するため、関係閣僚らが続々と首相官邸に集まった。しかし、定刻を10分すぎてもメンバーの亀井氏が姿を現さない。
この直前、亀井氏と面会した国民新党幹部は「(官邸側との)交渉はストップだ」と周囲に述べ、亀井氏が閣僚委員会に出席しないと表明していた。これでは、閣僚委の後に予定された補正予算案の閣議決定も行えない。
あわてた首相官邸から、平野博文官房長官が、都内の個人事務所にいた亀井氏のもとに駆け付けた。
亀井氏「予算編成は自民党時代に嫌というほどやった。(経済の)非常事態には非常事態にあるべき予算がある。いい解決策を考えたらいいじゃないか」
平野氏「がんばります」
自民党時代以来、数々の駆け引きを経験した亀井氏が閣僚委や閣議に出ないと開き直ったのに対し、平野氏は説得の材料を持たなかった。
何の成果も得られずに、亀井氏の事務所を後にした平野氏は、直後の記者会見で補正予算案の決定を8日に持ち越すと表明せざるをえなかった。
「(国民新党は)鳩山政権の中で数は少ないが、政策を完璧にリードしている」
亀井氏は3日の講演でこう豪語した。
さらに亀井氏は「2・7(兆円)と菅直人副総理が言うから、『認めない。青天井だ。積み上げでやるべきだ』(と言った)。スパッと蹴飛ばした」と予算交渉の内幕を暴露。「きっちりとしたものでない限りは私は蹴飛ばす」と宣言していたが、政府側は「4日にはまとまるだろう」(財務省幹部)と甘い見通しを持っていただけだった。
衆院選で圧勝し、衆参400人以上の大政党となった民主党に対し、国民新党は衆参合わせてわずか8人。その小政党に政権全体が振り回され、補正予算案の編成がずれ込む異常事態となっている。
調整能力を欠く複数の政府高官は「亀井さんはさすがだねえ。ある意味」「平野さんは首相の代理で行っているのに…」などと、自嘲気味に語った。