まだ三段腹のオバさん日舞ストリッパーがはびこっていた80年代半ば、「若さと美貌(びぼう)」を武器にアッという間にアイドルになったストリッパーがいた。美加マドカさんだ。しかし、突如ステージから姿を消し、全国のファンを大いに落胆させた。今どうしているのか。
「平成元年に引退して以来、マスコミには一切出なかったでしょ。美加マドカは何をしてるんだろう? って心配してくださるファンが多かったみたい。ネットにワタシの消息がちょこっと出てるみたいで、時々、ファンだったという方から電話がかかってくるの。場所が場所だけに、なかなか飲みに来てもらえないのが残念だけど、フフフ」
岐阜市随一の盛り場、柳ケ瀬にあるスナック「ティアラ」で会った美加さん、こう言って笑った。
「早いもので、オープンして15年になります。最初は『美加マドカ』を隠してたんだけど、5年前、ふとしたことからバレちゃって、それからは隠しもしないし、大っぴらにもしないって感じかしら」
リーマン・ショックを境に、柳ケ瀬には寒い風が吹きっぱなしという。
「正直、えらいこっちゃ、ですよ。これまで経験した危機的な状況を上回る、超危機的状況ね。といって、お店をたたむなんて、一度も考えたことありません。だって、手に職があるわけじゃなく、パートに出たって、その収入だけでは生活できっこないですもの」
遠のいた客足を呼び戻す、自己流のおまじないがあるとか。
「徹底的にお店を掃除するの。いつもは見逃してるようなところも、ぞうきんがけしてきれいにする。それが終わったら、窓を開けて悪い空気を全部入れ替える。そうすると不思議なことに、2、3日するとお客さんがドッと見えてくださるんです。え~と、最近大掃除したのは、ちょうど1週間前かな、ハハハ」
●「正直、お店はえらいこっちゃ、ですよ」
さて、美加さんがストリップデビューしたのは82年。たった1年で東京・大阪・神戸にファンクラブが誕生し、アイドルストリッパーとして全国の劇場を熱波で包むと同時に雑誌、テレビ、ラジオなどで活躍。84年にはロマンポルノ「指を濡らす女」に主演した。
「20歳でデビューして、引退が27歳のとき。周囲がチヤホヤしてくれても、いつまでもこの人気が続くはずがない、とワタシ自身は冷めた部分があった。だから、きっぱり引退を決意できたんだと思います」
引退の直接の理由は、妻子ある男性の子供を身ごもったため。結果的にシングルマザーになり、女手ひとつで育てることになった。その男の子が今年4月、1浪の末に大学進学を果たし、東京でひとり暮らしを始めた。
「寂しくて寂しくて、1カ月くらい泣いてばかりいました。でも、卒業するまでの学費とか生活費とか、まだまだガンバらないといけないじゃないですか。ハイ、もう大丈夫です」
息子の入学式には“父親”も招いた。
「ワタシはこの子を授けてくれてありがとうと頭を下げ、カレは親らしいことを何もしてやれなくてゴメンと感謝する。けっこう感動的でしたね」
