ETC(自動料金収受システム)車載器の販売が好調だ。高速道路の「1000円乗り放題」が帰省や旅行が集中するお盆には、平日に実施されたこともあって、品薄状態は続いたままだ。
品薄を解消するには、増産が不可欠だが、電機メーカーの間には「高速道路の無料化を打ち出した民主党が政権を取れば、ETCが不要になることも考えられる。本格的な増産体制には踏み切れない」と困惑の声もあがっている。
自動車用品大手のオートバックスセブンでは、6月のETC車載器の販売台数は前年同月に比べて3倍に達した。ETC割引が導入された3月には前年比で6倍の販売を記録するなど、「てんてこ舞いの状態」(経営企画室)からは落ち着いたが、依然品薄が続いており、電機メーカーに追加注文を出しているという。
これに対し、電機メーカーも生産は手いっぱいの状態にある。パナソニックでは、昨年12月から24時間体制でフル生産を続けており、月産10万台だった生産規模を20万台超に倍増したが、それでも「注文に対応しきれない」と悲鳴をあげる。
三菱電機も2月から前年比倍増となるペースで増産を継続しているほか、半導体大手のルネサステクノロジでは、ETC車載器向け半導体の生産を月産60万個と、通常の3倍に引き上げている。
しかし、先行きについては不透明だ。民主党がマニフェスト(政権公約)で高速道路の無料化を掲げているからだ。
民主党は高速道路を段階的に無料化するとしているため、たとえ民主党政権が発足しても、すぐにETC車載器が不要になることは考えにくいが、電機業界では「高速道路の無料化を見越して、一気にETC車載器を買い控える動きが広がらないともかぎらない」と警戒している。
このため、当面は「工場増設など本格的な増産投資には踏み切りにくい」(大手メーカー)としており、衆院選の結果をにらみながら、各社とも対応に苦慮している。
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