新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染者は全世界で拡大を続け、29日、米国テキサス州を訪問中のメキシコ人幼児が新型インフルエンザで死亡したことが確認された。
米国内で初の死者で、この幼児を含め米国で感染が確認された患者は10州91人となった。メキシコでは、新型インフルエンザによると見られる死者は159人に到達。感染が確認されたり疑いがあるのは31か国・地域に広がった。世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は29日、記者会見で、新型インフルエンザが「収束する様子はない」として、警戒レベルが「『フェーズ5』に迫っている」との認識を示し、警戒レベル引き上げを協議する緊急委員会が29日中か30日にも開かれると述べた。
米テキサス州保健当局者が、新型インフルエンザで1歳11か月の幼児が27日に死亡したことを明らかにした。幼児はメキシコから4月4日に入国して州内の親戚(しんせき)を訪ね、4日後に発病、治療を受けていたという。
国内で死者が出たことを受け、オバマ米大統領は29日、「最大限の警戒を要する深刻な状況だ。引き続き、全米で感染の厳重な監視にあたる」と述べた。
メキシコ旅行から帰った生徒に感染者が出ていたニューヨーク市の私立高校では28日、感染が確認された生徒は45人に増えた。近くの公立高校でも感染の疑いが浮上。AP通信によると、市当局は、数百人の感染疑い例について米疾病対策センター(CDC)に、調査を要請。人から人への二次感染が広がっている様相だ。
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ドイツ国立ロベルト・コッホ研究所は29日、メキシコ旅行帰りの3人の感染を確認したと発表した。オーストリア保健当局も1人の感染を確認。欧州で感染確認は4か国となった。韓国では同日、感染の疑いがある人が計17人になった。