カーナビゲーションシステム(カーナビ)に蓄積されたデータから、道路の交通状況に問題がある地点を割り出す取り組みを埼玉県とホンダ(本社・東京都港区)が始めた。ホンダが提供するデータを基に、県が急ブレーキが多い地点を一部地域で抽出して注意を促す路面表示をしたところ、急ブレーキが約7割減った。県は09年度から県全域で実施することにしている。
県内に工場があるホンダと県は07年12月、道路交通データを相互利用する協定を結んだ。これによりホンダは、インターネットを通じて情報を入手できる会員制カーナビ搭載車(09年1月で県内に約6万1000台)から集めた走行データを県に提供している。
県は、朝霞市など南西部4市の急ブレーキ多発27地点について、県警と共同で道路の構造上の問題点を分析。スピードが出やすい直線道路のうち、右折専用車線の起点などで多発していることが分かった。県は15地点に「追突注意」など路面表示し、別の1地点は歩道の植え込みを剪定(せんてい)して視界を確保した。
今年2月、この計16地点を再調査したところ、1カ月間の急ブレーキの回数が105から29に激減していた。残り11地点についてもデータを分析中だ。県道路政策課の担当者は「初めて急ブレーキが多い地点を把握できた。事故防止に有効だ」と話している。
学者や企業技術者でつくる社団法人自動車技術会(本部・東京都千代田区)副会長で、安全技術に詳しい永井正夫・東京農工大教授(車両工学)は「急ブレーキは少し誤っただけで事故になる。客観的データに基づいた新たな取り組みとして意味がある」と評価している。