さまざまな細胞や組織に分化する能力を持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)をウイルスを使わずに、英国とカナダの研究チームがヒトの体細胞から作成した。ウイルスを使わない作成方法は、ヒトでは初めて。1日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
iPS細胞は、体細胞に数種類の遺伝子を導入する方法などによって作る。導入の際、レトロウイルスを使う方法が最初に開発された。ただ、レトロウイルスは遺伝子を体細胞の染色体に組み込むため、遺伝子異常を起こしてがん化しやすいと指摘されていた。
研究チームは、染色体に遺伝子を組み込んだり消去もできる遺伝子「トランスポゾン」を使い、四つの遺伝子をヒトの胎児の線維芽細胞に同時に導入、iPS細胞の作成に成功した。また、マウス実験では、染色体に組み込まれた4遺伝子を特定の酵素を使って消去することに成功、消去後もさまざまな細胞に分化する能力が確認された。導入した遺伝子を消去できれば、がん化の危険性が低くなる。実用化に向けた作成法として注目されそうだ。