大館駅は2021年7月から2年かけて駅舎を改修、2023年10月に駅なか交流センターとして供用を開始した。旧駅舎は道路と駅前広場を挟む形で南北自由通路の若草ロードと隣接するような形だったが、新駅舎は駅前広場の秋田寄りに建てられ、道路に面するようになった。駅前広場の残った青森寄りの部分は仮設駅舎が建てられ2022年1月から供用していたが、新駅舎が供用になった後は取り壊されて、新たな駅前広場を整備、2024年8月から供用されるようになった。新駅舎は秋田寄りに移されたので、跨線橋は旧駅舎より近くなった。
駅舎のデザインコンセプトは、『木目を基調とした地域住民がつどえる駅舎』大館は秋田杉の産地であるから新駅舎は木調の軒をデザイン、外壁はレンガ調の時期タイル、内観も秋田杉を利用した木調となっている。名産品コーナー周辺の壁は十和田石を採用、床面のタイルも十和田石をイメージしたものになっている。名産品コーナーには曲げわっぱは勿論、秋田犬のぬいぐるみもあった。駅舎は2階建てだが、1階と2階が分かれているのはホーム側の売店辺りのみで、待合スペースは天井を高く確保、2階の窓から光が差し込んでくる。駅舎とホームは自動ドアで仕切られ、その雨に自動改札2レーンが設置されている。秋田寄りの券売機は通常の券売機と指定席券売機がある。出口は駅舎の青森寄りに抜ける東口とホームと逆側に抜ける南口があり、他の駅と比較すると小さい。南口の前には小さな広場がある。待合スペースの一角にはチケットカウンターがあり、高速バス、路線バスのきっぷ、定期券を販売している。東口が面する駅前広場には、バス停2か所を駅舎側に、タクシー、マイカーの乗降場をホーム側に整備、細い上屋があるが駅舎にはつながってない。
バス停の1番乗り場からは、扇田、鷹巣、小坂方面への秋北バスの他、循環バス『ハチ公号』、コミュニティバス『さわやかみなみ号』が発車する。2番乗り場からは盛岡方面への『みちのく号』、仙台方面への『仙台・大館号』、大館能代空港へのリムジンバスが発着する。
駅を出て右側の小坂製錬のヤード跡地には大館市観光交流施設『秋田犬の里』が2019年5月に建てられ、屋内施設で秋田犬を間近で見ることができる。その裏には東急5000系『青ガエル』が静態保存されている。これは2020年8月に渋谷駅ハチ公口から移設、2021年4月から公開されているもので、車体後部と車輪を含めた足回りは撤去されている。車内は飾り付けがされ、渋谷から移設した時のビデオが流されている。公開されているのは4月から11月まで、12月から3月までの冬眠時は寝袋を着て外観も見ることができない。
駅前から出ている盛岡行高速バス『みちのく号』は大館発5時台から17時台まで14時台を除いて1時間毎に設定されており、地方都市を発着する高速バスとしては多い方だ。大館から盛岡までの所要時間は2時間半足らず、これから乗る花輪線は3時間足らずだから30分ほど速い。鹿角花輪駅前までは下道を走るので、花輪線52分に対し、『みちのく号』63分と花輪線優位となる。しかし、『みちのく号』は鹿角八幡平ICから東北道に入る。そのため、鹿角花輪駅前から田山(PA)までは26分と花輪線と大差ないが、安代から盛岡駅までは50分と、80分近く花輪線に対してだいぶ早い。自分の乗った大館発13時36分の花輪線の場合、13時55分の『みちのく号』より田山まで20分くらい早いのだが、安比高原に停車していた時間に安代に寄っていた『みちのく号』が、盛岡に12分早く着く状況だ。だたし、『みちのく号』で16時19分に着いても、花輪線で16時31分に着いても、乗り継ぐ東京行の『はやぶさ』は16時50分と同じだ。下り『はやぶさ』から『みちのく号』への接続は良く、午後時間帯は13分で固定されているが、上りは余裕を見ているためか、午前中40分、午後30分となっている。
大館発13時36分、先行列車との間隔は3時間07分、後続との間隔は2時間44分だが、鹿角花輪止りなので、その先は4時間ほど開くことになる。大館を出た花輪線は、奥羽本線を越えて南下、東大館までは大館の町はずれを走る。米代川を渡り扇田に到着、扇田からは米代川と山に挟まれ走るようになる。土深井駅を出ると、すぐに鹿角市へ、大館から37分かかって十和田南着14時13分、方向転換のため5分停車する。標高は113mと大館から55m登ってきた。十和田南から10分て鹿角花輪到着、交換待ちで4分停車する。この先、好摩までの花輪線内では列車の交換はない。鹿角花輪と大更の間で交換可能なのは荒屋新町のみ、荒屋新町から鹿角花輪、大更まで両方とも40分だから80分以下の間隔で列車を走らせることはできない。
鹿角花輪を出ると勾配はきつくなり、鹿角花輪132mに対し、5.5キロ離れた八幡平は167mとなっている。八幡平から先は、渓谷の狭い部分を国道と共にカーブを走行することになる。鹿角花輪から14キロの兄畑から岩手県に入る。256mまで登ってきたが、まだ米代川と並行する。その次、田山の先、藤倉トンネルの手前が分水嶺で標高400mまで登ってくる。藤倉トンネルは645mと短いが、花輪線では最も長い。藤倉トンネルを出ると、横間まで322mまで降りてくる。田山から横間までは8.8キロ羽れており、花輪線で最も長い駅間となる。盆地が左側に開けてきて、右カーブで曲がると15時13分に荒屋新町に到着した。鹿角花輪からは41分かかった。
標高300mの荒屋新町からは安比川沿いを南下しながら登ることになる。赤坂田は384mで荒屋新町からの7.6キロで84m登ってきた。赤坂田を出ると、右カーブで安比川から離れ、竜ヶ森トンネルに入る。この辺の最大勾配は33.3‰、豊肥本線の立野~赤水間と並び、JRの非電化区間は最も厳しい勾配だ。竜ヶ森トンネルを出てすぐの安比高原駅の標高は504m、赤坂田からの5キロで120mも登ってきた。安比高原から先は下ることになるが、次の松尾八幡平までは7.2キロと峠越え区間より駅間距離が長い。安比高原からは長川と並行しながら狭い区間を走るので、線路沿いに集落はないからだ、松尾八幡平駅の標高は288m、荒屋新町を下回るくらい、7.2キロで216mも降りてきた。松尾八幡平を出ると、急に周囲が開け、岩手山を眺めながら、盆地を直線で緩やかに下ることになる。大更駅は松尾八幡平から8.8キロだが、標高は254mと30m下っただけだ。大更の駅前では『顔づくり施設』という図書館や子育て支援の交流複合施設の工事を行っていた。大更の先で左に曲がり、進行方向は東へ、好摩トンネルを抜けると右カーブでいわて銀河鉄道に合流し、標高206mの好摩に16時04分に到着する。荒屋新町からは50分かかった。大更からの9キロで48m下ってきたので、松尾八幡平~大更間より急になっている。渋民で200m以下まで下るが、滝沢は229mまで登る。滝沢の中線には20分後の始発電車が停車していた。盛岡の盆地に入っても、211mの巣子から163mの厨川と、4.8キロで50m近く下っていく。
盛岡着16時31分、交換時間少なめでも大館から3時間近くかかった。IGRで八戸まで1時間50分足らず、宮古や釜石まで2時間ちょっとだということを考えると、ずいぶん長い旅だ、盛岡の標高は124mと十和田南と鹿角花輪の間くらいになる。
東京へ向かう最速は16時50分発の『はやぶさ』だが、余裕をみて18時36分の臨時『はやぶさ』を予約しておいた。時間が2時間ほどあったので、雫石川の向こうの銭湯へ行くことにした。20分以上歩くことも考えたが、googleで調べたら近い時間にバスがあるので、それに乗ることにした。帰りはバスの時間が読めなかったので、歩いて盛岡駅へ向かった。
盛岡発18時36分の『はやぶさ394号』は新青森始発、お盆のこの時期以外は、連休の最終日のみの設定で運転頻度は低い。いわて沼宮内は通過するが、一ノ関も停車する。そのため、盛岡から仙台間は46分と通常の『はやぶさ』より7分余計にかかる。新幹線は1駅追加停車でプラス4分だから、少し遅く走行している、現に平均速度は新花巻から北上間で280キロ、北上から水沢江刺間で250キロと310キロを超える他の『はやぶさ』より低い。一ノ関を出ると他の『はやぶさ』と変わらない駅間平均速度310キロとなるが、新白河を通過すると270キロまでに速度を落とし、小山を出ると190キロまで速度を落とす。そのため、通常の『はやぶさ』なら64分かかる仙台~大宮間を、70分かけて走ることになる。遅い分、時刻を繰り下げても良さそうだけど、これ以上盛岡発を遅くすると、41分の定期『やまびこ』の発車も遅れる。仙台以南でも、白石蔵王で仙台始発の各駅停車『やまびこ』、郡山で盛岡発『やまびこ』を追い抜くのでダイヤは縛られることになる。ちなみにこの盛岡発『やまびこ』は、この臨時『はやぶさ』より22分早く一ノ関を出るが、大宮以南の到着は12分遅くなる。臨時『はやぶさ』は新白河で減速するので、盛岡を14分後に出た定期『はやぶさ』からは、大宮で4分差まで詰められる。定期より時間がかかり、上野着20時54分、盛岡からは2時間18分かかってしまった。