この詩は詩を作る仲間のひとことによって生まれました。
「あなたの詩には暴力的なものがない」
彼女はぼくの詩についてそう言ったのです。
暴力的ということばは誤解を生みやすいですが、
ぼくには彼女が言おうとしていることがわかりました。
ぼくの詩の書き方は読者を意識した詩の書き方で、
自分の思いや感情が読者に伝わるように、
あるいは読者の内に再現されるように、
詩を構成的に書きます。
つまり、思いや感情を詩の根本に起きながらも、
それを頭で再構成して、
読者に伝えようとするのです。
詩作というと、
自分に生じた感情を書き連ねる人もいますが、
それでは読者には伝わりにくいと思うのです。
ですからぼくは再構成するという書き方をしようと心がけてきたのです。
しかし、そういう詩の書き方をしながら、
ぼくは自分のすべてを詩の中に書いてはいなかった。
詩の世界は本来自由であるはずなのに、
ぼくは書けるものと書けないものをわけ、
内なる激しい衝動や、
怒り、憎しみ、強い感情などは、
最近のぼくの詩には現れなくなっていました。
そのことを詩の仲間は
「あなたの詩は暴力的じゃない」
ということばでぼくに伝えようとしたのです。
同じような調子の詩では飽きるでしょうと。
彼女のことばは僕に深く浸透しました。
そのときは二人で詩の朗読会の打合せをしていた席なのですが、
しばらくことばが出てこなくなったほど。
それはぼくの生き方とも関わることだったのです。
ぼく自身の生き方についてはまた別の機会にあらわしてみたいと思います。
その後、これまで詩にしなかったことばがあふれ出てきました。
まるでパンドラの箱を開けたように。
そのことばを書き連ねていく作業で生まれてきたのが『突破』です。